《嫁ぎ先の旦那様に溺されています。》一つ屋の下での事(9)
もう、どうしたらいいのか分からない。
そんな狀態で仕事なんてがるわけもなく、私は母屋に戻り私服に著替えたあとは気を紛らわすように家事をする。
どれくらいの時間が経過したか分からない。
だけど、朝食を作っていたところで玄関の戸が開いた気がした。
たぶん、高槻さんが帰ってきたと思う。
でも、迎えにいく気にはならなくて――、臺所で気が付かないふりをして朝食作りを続行する。
「莉緒」
高槻さんの聲。
「おかえりなさい」
振り向かずに、私は調理をする。
「何かあったのか?」
「何もないです……」
「…………その様子から、何も無いという事はないだろう?」
「本當に、何でもありませんから」
心の中が、整理できずにぐちゃぐちゃな狀態で、私は何て言葉を選んでいいのか分からずにいた。
だからこそ、無難に何でもない! そういう言葉を選択する。
「――莉緒!」
彼が私の肩を摑む。
そして――、無理矢理に正面に向けさせてくる。
「――ッ!!」
彼の顔を直視できなかったけど――、高槻さんが息を呑むのは雰囲気から伝わってきた。
きっと、いまの私の表は酷いことになっていると思う。
「やっぱり、何かあったんだろう? 俺でいいのなら聞くが?」
そう語り掛けてくるけど、高槻さんに話すことなんてない。
何故なら雇用主と従業員という関係だから。
「高槻さんには関係ないです。それに、私は仕事で此処の家に住んでいるだけですから」
「それは……。だが! 従業員の仕事に差し障りがあるようなら、話を聞いておくべきだろう? そうでなくとも、借金が――」
「分かっています! 言われなくても分かっています!」
思わず聲を荒げてしまう。
でも、ここ數日で溜まった鬱憤と積もった苛立ちを吐せずにはいられなかった。
「お父さんの借金で、私が此処に住んで仕事をしないといけないことくらい理解していますし、我慢もします! それに私のような高校生と見ず知らずの赤の他人である総司さんが一緒に暮らす訳にはいかないから、表向きは婚約者という裁を取りたいという気持ちがある事も分かっています!」
「莉緒……」
「だから、もういいじゃないですか……。これ以上、私を――、私を苦しめないでください。優しい聲をかけないでください。期待を持たせないでください。もう、痛いんです……」
一言ずつ、涙聲になりながら――、それでも私は言葉を紡ぐ。
それが無意味だと知っていても。
話して解決できる事なんて何一つ無いという事を分かっていたとしても。
それでも、心の中に積もり積もった淀んだ気持ちは勝手に口からり落ちる。
「……そうか。すまなかったな」
「――え?」
「裁を保つために、莉緒と婚約者という立場を持っていたが、それが……、そこまで君の負擔になっているとは思わなかった。婚約者という立場は困るということだろう?」
「それは……」
もう……、今更の話で――。
そんなことを、今頃言われても困る。
それに、此処で住み込みの仕事が無くなったら私は一人では暮らしていけない。
親戚もいないのだから。
「私は……」
「無理をしなくていい」
彼は、それだけ呟くと攜帯電話を取り出し、どこかに電話を掛けているようで――。
それから數分後、櫟原さんが私を迎えにきた。
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