《嫁ぎ先の旦那様に溺されています。》これからのこと

「まずは、神社を守るに當たっていくつかの約束事がある」

「約束事ですか?」

頷く高槻さん。

「まず、お前のことに関してだがこれまで通り婚約者という立場をとってもらいたい」

「理由があるんですよね?」

「一応、親族が舞うのが規則となっているからだ。あとは、余計な詮索をされるのは面倒だからという點もある。それに、下手な橫やりをれられても困るからな」

「そうすると……學校には……」

「婚約者の立場として過ごしてもらいたい。あとは友人へ本當のことを伝えるもの控えてほしい。どこかられるか分からないからな」

つまりは大和には言えないと言う事になる。

だけど……今更――、どうにかなるとは思えない。

そう思うと、がチクリと痛む。

「分かりました」

「それと、呼び方は総司で統一してしい。婚約者のお前が、他人行儀では何かと勘繰る者も出てきかねないからな。それと――」

高槻さんは、懐から財布を取り出すと一枚のカードを取り出してくる。

「これは……?」

「クレジットカードだ。見た事がないのか?」

「実は見たことないでです。CMとかなら見た事がありますけど……」

「そ、そうか……。このカードは、お前に渡しておく。何かり用になったら使うといい」

畳の上に置かれたのは、クレジットカードのは黒。

普通のクレジットカードは、銀とか金だと思ったけど……。

「お預かりします」

「とりあえずは、家のことに関しての取り決めはこのくらいだな。あとは巫舞についてだが、8月中旬と年末年始にかけてだが、大丈夫か?」

「はい。それなら、やっていましたので」

「家のことについては、隨時説明していくとして、お前からは何か聞いておきたい事はあるか?」

「えっと、社務所の方ですけど手直しとかはされますか? 年末年始で札やお守りを納めする必要が出てくると思うんですけど」

「そうだな……。たしかに……」

「それでは夏祭りまでに何とかしましょう。神社を守りたいのでしたら、きちんと社務所も使えるようにしないと駄目ですから!」

「分かった。何とかしてみよう」

「よろしくお願いします」

「それと最後に――」

彼の提案してきた容。

それに私は思わず驚いた。

――翌日。

昨日あった話し合いが噓のように朝起きて、巫服を著て境の掃除を行う。

その後は學生服とエプロンという姿で朝食を作り高槻さんと一緒に食事をした後、學校まで送ってもらった。

「莉緒! 會いたかった!」

小走りで駆け寄ってくる穂が私に抱き著いてくる。

「どうしたの? 穂」

「大和と喧嘩したって聞いたから」

校庭で抱き著いてきた穂が周りには聞こえない聲で聴いてくる。

「えっと……、そういう意味じゃないんだけど……」

「それじゃ、何かあったの?」

「ううん。それより穂! 喧嘩したって誰に聞いたの?」

「#芹菜__せりな__#ちゃんから」

「妹から聞いたの?」

「うん、SNSでお兄ちゃんがすごく不機嫌だったから何かあったの? って。それで大和が不機嫌になるのって莉緒絡みかなって思ったの」

どうして、そこで私が出てきたのか分からないけど。

やっぱり近しい人には分かってしまうのかも知れない。

下手に隠しておくよりはいいかも……。

「うん。し口論になって……」

「理由は……言えないか……」

「ごめんね」

「はぁ――。莉緒、もうし素直になった方がいいわよ? そうしないと、大和は人気あるから他の子に取られちゃうからね」

「――え?」

どうして、そこで私が関係あるのか分からない。

穂ったら何を言っているの?」

「これは自覚なしか……」

穂ったら!」

「ほら、授業に遅れるから急ご!」

穂が私の問いかけに答えずに、昇降口に向かっていく。

私は、その背中を見ている事しかできなかった。

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