《嫁ぎ先の旦那様に溺されています。》一つ屋の下での事2(3)
まだ春先と言う事もあり、らかな日差しで私は薄っすらと目を開ける。
「いけない、いけない」
何時も間にか私は寢ていたようで――、居間から外を見ると桜の木が花を咲かせているのが見えた。
それは、とても綺麗で――、に照らされていて幻想的ですらあった。
そこでハッ! と、して居間の時計を見ると時刻は午前7時。
とっくに家事や神社の清掃を終わらせていないといけない時間。
「総司さん、総司さん」
「――ん……」
高槻さんは、まだ寢足りないのか私の膝に頭を乗せたまま。
私も、耳かきのあとにしだけ寢かせておこうと思っていたので自業自得ではあるけれど、足が痛い。
「もう朝ですよ? 起きてください」
私の聲に、彼はゆっくりと目を開ける。
そして視線が絡み合うと、彼の顔が赤く染まり――、
「す、すまない」
バッ! と、起き上がると彼も時計を確認し小さく溜息をついたかと思うと――、
「ずいぶんと迷をかけた。足は大丈夫か? ずっと――、そのなんだ……」
「膝枕の勢だったからですか?」
「あ、ああ……、そうだ。大丈夫か? 同じ姿勢を取っているとに負擔が掛かるからな」
「大丈夫です。それより、よく眠れましたか?」
「そうだな……」
彼は、髭を生やしていない顎に手を當てながら、し私から視線を逸らしてぶっきらぼうに答えてくる。
「それでは、私は朝食を作ってきますので、総司さんはお風呂にってきてください。たぶん、湯舟の湯は冷めてしまっていると思いますので――」
「ああ、シャワーで十分だ」
「はい。それではよろしくお願いします」
私は、立ち上がる。
「莉緒、すまなかったな。助かった」
居間から出る時に彼は、私の背後から言葉を掛けてきた。
私は、心の中で「仕事ですから」と付け加えるのを忘れなかった。
高槻さんがお風呂から出てきたあとは、二人して朝食を摂ったあと、櫟原さんが運転する車に一緒に乗り學校まで送ってもらう。
學校前まで車で送ってもらう景は、田舎の町とはいえ既に何日も続いた事なので、誰もが普通だと思っているようで、特別な視線を向けられる事が無かったのは幸いだった。
「莉緒っ!」
「ど、どうしたの?」
教室に著くなり、穂が抱き著いてくる。
「あの背の高い人って莉緒の婚約者なんだよね?」
「うん……」
まぁ、一応は――、対外的には……。
「いいな。すっごいカッコいいし、あの車ってすごい高いんだよね?」
「高いって何が?」
「値段!」
「そこは私、知らないから」
「へー。でも莉緒って、もしかして玉の輿?」
「さあ?」
そこは、曖昧に答えておく。
そもそも、婚約者の振りだし結婚する事もないから、玉の輿という訳でもないから。
「ふーん。でも、莉緒のお父さんは許可しているのよね?」
「そうだね」
許可というか、親に売られたから違うけど。
大きな枠で見るならそうかも知れないけどね。
「あれ?」
穂と話をしていて気が付いた。
もうすぐホームルームが始まるというのに、大和の姿が無い事に。
「大和は?」
「やっぱり気になるの?」
「うん……。だって、友達だから――」
「風邪だって言っていたから大丈夫だと思うよ」
「そう……なんだ……」
「今日は、お見舞いに行く予定だけど莉緒も來る?」
「――え?」
「だって、心配なんだよね?」
「そうだけど……」
いまの私の立場から言ってお見舞いにいくのはマズイと思う。
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