《嫁ぎ先の旦那様に溺されています。》一つ屋の下での事2(5)

社務所の手伝いをしたのは母親が生きていた小學生の頃だったので、記憶を必死に思い出しながら授與品・頒布品に関して可能な限り高槻さんに説明していく。

ただ、小學生の頃の記憶はかなり曖昧の部分もあるので――、

「なるほど……」

「私も、小さい頃の記憶なので、不確かな部分がありますから」

「――なら、神社庁に確認を取るのがいいな」

「神社庁ですか?」

「簡単に言うなら、神社を包括している宗教組織みたいなだな。一応、都道府県には一つは存在している」

それなら、そこに確認した方が早いのでは? と、心の中で思ってしまう。

「そういう顔をするな。どういう形で社務所に置かれていたのかは、さすがに神社庁も分からないからな」

「そうですね」

お茶を飲みながら言葉を返す。

「――それと、先ほどの大和君だったか?」

いきなり話題が代わった事にし驚いたところで――、「風邪で見舞いに行くかどうか悩んでいると言っていただろう?」と、私の顔を覗き込んできたので私は頷く。

「莉緒には、悪いが変な噂が流れるのは好ましくない。分かったな?」

「はい……」

つまり、大和の見舞いにはいくなと言う事。

斷られることは分かっていたけど、実際に面と向かって言われるとモヤッとした気持ちになる。

「さて、今日はこのくらいにしておこうか。莉緒は、何か俺に聞きたい事などはあるか?」

「いえ。特には」

「そうか。気になったことがあったら、すぐに相談してくれ」

「分かりました」

部屋に戻ったあとは、宿題を終えて布団の中にる。

々と頭を使った影響からなのか、すぐに眠ることが出來た。

――翌日、車で學校まで送ってもらった後は、穂と大和に関しての會話をする。

どうやら、大和は39度近くまで熱が出たらしく、しばらくは學校を休むらしい。

「莉緒は、どうするの?」

大和の近況を教えてもらったところで、穂が今日の放課後について聞いてくる。

「私は、すぐに帰らないと」

「友達のお見舞いに行かないで?」

「……それは……」

いつも、にこやかに話してくる穂だけど、今日はよく分からないけど真剣な眼差しで私を見てきていた。

「うん……」

私はそっと目を逸らしながら返答する。

「そう……」

穂?」

「私、大和のお見舞いに行くから。莉緒は、來なくもいいからね」

「――え?」

いつもとは違う雰囲気の穂は、カバンを手に持つとそのまま教室から出ていってしまう。

穂、怒っていた……よね?」

馴染だから分かる。

間違いなく穂は怒っていたと思う。

理由は、想像がつく。

大和のお見舞いに私が行かないから。

だけど――、そんなことを言われても私には私の立場があるから気軽に行けない。

モヤモヤした気持ちを抱えたまま、私は迎えにきた車に乗り神社への帰路についた。

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