《嫁ぎ先の旦那様に溺されています。》一つ屋の下での事2(6)

家に戻ったあとは巫服に著替えてから境に向かって掃き掃除を開始する。

しばらくたったところで、私は小さく溜息をつく。

理由は、年若い作業員の方が私の方をチラチラと見てきているから。

服裝が変なのかな? と思ったりもしたけど、私を見てきていた理由は、先ほど話しかけてきた大工さんからの言で分かった。

すごく単純で現役子高生の巫さんは、すごく珍しいみたいという理由。

男の人は、仕方ないよねと思いつつ掃き掃除を終えて母屋に戻る。

高槻さんは、まだ戻ってきていないので家事を始めて、一通り終えたところで高槻さんが帰ってきた。

「おかえりなさい」

「ああ、ただいま。何か、問題とかは無かったか?」

「特には――」

穂とはあったけど、それは高槻さんには関係の無い話。

「……そうか」

し間が空いたけど、彼は特に追及することもなく土間で靴をいで上がり框に上がる。

「お風呂は沸いていますので、食事の前にどうですか?」

今日は、宿題がそれなりに出ているので、さっさと夕食まで済ませたいという思から先に高槻さんをお風呂にれることにする。

し困した表を見せながらも頷いた高槻さんから背広とズボンを預かった。

ハンガーに背広を掛けたあと、夕食の準備をしておく。

すでに下ごしらえは済んでいたので、お皿に盛りつけて居間のテーブルの上に並べていく。

しばらくして、ドライヤーの音が聞こえてきたのでお風呂を出たと思い、お味噌とご飯を用意し配膳を終える。

「風呂を上がったぞ」

「はい、夕食が出來ていますので食事にしましょう」

「……今日は、ずいぶんと手際がいいな」

「學校の宿題がし多めに出たので――」

「なるほど……」

彼は納得したようで、畳の上に胡坐をかいて座る。

私も正座をしたところでお互いに「いただきます」と、食事を始める。

「莉緒、そういえば大工の中に若い連中がいるようだが、言い寄られたりはしていないか?」

「大丈夫です。珍しいと思われているみたいですけど」

「それなら良かった。とにかく、何かあったらすぐに攜帯に連絡を寄こすようにな」

「はい」

それからは黙々と食事を摂るわけだけど……。

「そういえば総司さん」

「何だ?」

「総司さんは、スーツは部屋にある分だけですか?」

「そうだな」

「経済的に余裕があるのでしたら、もう一著か二著用意して頂けると助かります」

「どうしてだ?」

「著た切りスズメになってしまいますし、何よりスーツの痛みが早くなりますので、ローテーションを組んで著て頂けた方が長持ちしますから」

「そしたら買えばいいだろう?」

思わず私は額に手を當ててしまう。

「そうではなくてですね、洗うことも考えますと何著があった方がいいんです」

「そんなものか?」

「はい。そんなものです」

「分かった。それでは、今度の休日に一緒にスーツを買いにいくとするか」

「どうして一緒に……」

「お前から言い出したことだ。責任はとらないとな」

思わず余計なことを言ってしまったとしだけ後悔してしまった。

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