《嫁ぎ先の旦那様に溺されています。》一つ屋の下での事4(3)高槻総司side

俺の名前は高槻 総司。

紆余曲折あり、現在は子高生と一つ屋の下で暮らしている26歳のいい歳をした大人である。

「それでは行ってきます」

「ああ、気をつけてな」

昨日の事が心に引っかかってはいた。

だが――、親戚に隙を見せるわけにはいかなく――、彼を學校へと送り出した。

その後ろ姿が見えなくなるまで見送ったあと、

「櫟原」

「はい。それでは、出発します」

車は走り出す。

人口4000人ほどの鳴神村の路面を走り支社がある駅前へ。

「高槻様。何かありましたか?」

「なんだ? 藪から棒に――」

「いえ。宮さんを見ている表が何時もと違ったように見えましたので」

「……何でもない」

「……そうですか」

俺が否定すると、すぐに櫟原は詮索を止める。

それが雇用者と労働者との正しい在り方なのかも知れないが、俺としては……。

車から見える外の景を見ながら、昨日のことを思い出す。

それは、俺が彼に背負わせてしまった問題であり、それを一人抱え込もうと耐えているの姿。

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莉緒と出會ったのは、奇跡と奇跡が絡み合った偶然に近いものがあった。

それは高槻神社を相続する為に、姓を瑞穂から高槻に変更したあと、神社に寄った時のことだった。

そこで――、廃社となった神社で一人の男と出會った。

男の名前は、#宮__みやうち__# #宗助__そうすけ__#。

莉緒の父親であった。

祖父の廃された神社に居た男に俺は興味を持って話しかけた。

そこで、男はどうやら高槻神社に思いれがあるようで、毎日通っているということで――、俺も懐かしくなり話をした。

宗助という男が、神社を懐かしむのは、その男の妻が神社で巫をしていたからで――、その娘も巫見習いと言う事で巫舞をしていた事も聞いた。

実は、高槻神社の神主を継ぐにあたって巫舞を奉じる人間が必要だと言う事に姓を変えてから気が付いた俺は々な伝手を使い巫舞が出來る人間を探していたが、見つけることが出來なかった。

それを、偶然とは言え神社前で出會った男の縁者が出來ることは運命だとも言えた。

俺は巫舞が出來る人間の紹介を頼んだところ宗助という男は、娘の莉緒なら出來ると言ってきたので、俺は彼に巫舞をしてもらえるように頼んだのだ。

その時に、莉緒の父親は條件を出してきた。

それは、娘たる宮莉緒の面倒を見てしいとのことであった。

妻を亡くした男は、疲れ果てているのは自分でも分かっていたようで、娘を見ると妻を思い出すと言う事で親子仲は良くはないらしく、それなら俺に面倒を見てほしいと。

俺は神社を継ぐために巫舞が行える人間が必要。

そして、宮宗助は娘から離れたいという考えがあり、それぞれの思が一致した結果、俺は宮莉緒と一緒に暮らすことになった。

その際に、宮宗助には多のお金を貸し出したが……、それが一人のを苦しめる結果になるとは――、俺にも罪悪じさせるほどになるとは思いもよらなかった。

だから、莉緒の悲しそうな表を見るのが、まるで俺の父親が政略結婚で母親に酷い仕打ちをしていた時の事を思い出してしまい辛い。

――いや、これも自己満足なのかも知れない。

――自分の罪悪に酔っているだけなのかも知れない。

「俺は最低だな……」

櫟原に聞かれない程、小さな言葉を口にした。

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