《嫁ぎ先の旦那様に溺されています。》一つ屋の下での事4(12)

穂には……、教えられないから!」

腕を振りほどき、私は教室から出ると昇降口に向かって走る。

そして――、靴箱からローファ―を取り出し履いたところで、カバンを手に持った穂が――、「莉緒! 待ちなさいよ!」と、駆け寄ってくる。

カバンを取って追いかけて來たにしては早すぎる!?

すぐさま、私は校門前に向けて走るけど……、背後から追いかけてくる穂の気配がグングン近づいてくる。

「私が! ハァハァ――、陸上部だってことを――、忘れたの?」

このままでは追い付かれる!?

そう思ったところで私を迎えにきていた車が見えてくる。

「櫟原さん! すぐに車を! 車を出して!」

「宮さん、お疲れ様です。ところで、ご學友の東間様が走って來られておりますが、何かありましたか?」

「話をしている時間はないの!」

「……分かりました。それでは宮さんは、お車の中に――」

車に乗り込み、ドアを閉めると同時に穂が追い付いてきた。

穂は、私に話しかけようと車のドアに近づいてきたところで櫟原さんに制止されてしまい――、二人して何かを話し始めたけど聲が聞こえてこない。

「もしかして……、この車って防音だったりするの?」

しばらく二人が會話をしているのを眺めているだけで――、そして……ガチャリとドアが開く。

「宮さん」

「櫟原さん……、どうして穂が車に乗ってくるんですか?」

きちんと説得してくれたのでは? と、私の頭の中では疑問が浮かび上がるばかりで――。

「あまり問題が拗れてしまっても問題かと思い、高槻様にお伺いを立てた方が宜しいと思いまして――。それに観関係に攜わっていると伺いましたので」

「莉緒、やっぱり何か隠しているのよね?」

「うっ……」

「――さて、東間様。私の主――、高槻様との會話までは、あまり宮さんと話をしないようにお願いできますか?」

「どうして、そんなことを貴方に強要されないといけないのよ?」

「お約束できないのでしたら車から降りて頂きますが宜しいでしょうか?」

「……わかったわよ……」

渋々と言った表穂はコクリと頷いた。

「宮さんも、思う所があると思いますが今後のことを含めてご理解ください」

「分かりました……」

紳士的に頭を下げた櫟原さんは、運転席に戻る。

そして車は高槻神社の階段下に到著。

「それでは、私は車を置いて參りますので、先に母屋の方へ帰りください。高槻様には私の方から連絡をしておきました。本日は、すでに帰宅されておりますので、宮さん――、宜しくお願いします」

「はい……」

面倒ごとにしかならない気がする。

私は、後ろから付いてくる穂を連れて境を通り抜ける。

「うわぁ――、こんなに綺麗になったの? 廃社みたいにボロボロだったのに……大和が言ってた通り綺麗になってる……」

後ろの穂の獨り言が聞こえてくる。

そういえば穂と大和と私は小さい頃はよく神社の境で遊んでいて、神主さんによく怒られていたんだっけ……。

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