《冷徹曹司の無駄に甘すぎる豹変》6
25歳。
経験ゼロ。
男の人が苦手なわけ……じゃないと思う。
でもピアノばかり弾いていて、なんとなく機會を逃してしまった。
「ふ……んっ……」
頬にれた手のひらが、そっと上下する。
心臓が早鐘を打っている。
無理やりを奪われているというのに、私が気にしていたのは、拙すぎるリアクションに、彼が呆れているのでは、ということだった。振る舞いの正解がわからない。
そんなこと、どうだっていいはずなのに。
私が今すべき事は、この場所から逃れる事。ただそれだけ。
なのに、がしびれたようになってけない。
長い睫が頬にれた。
厚い舌が口の中を丹念になぞっている。
その度に私のは激しく上下した。
彼の態度は余裕たっぷりで……真意がつかめない。
何が彼をかしているのか……私には全然わからない。
差しこまれた舌が口腔をまさぐり、その度にお腹の下のあたりが甘だるく疼く。
濡れた舌が口腔をまさぐり、サラサラした唾が流れ込んできた。
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くちづけが深くなるほどに、悸が激しくなる。
思いっきり 首を仰け反らせて、私はそっと目を閉じた。
初めてでもはっきりわかる。このキスは巧みだ。流されてしまう……。
「ん……っ……う……」
手慣れたキスの気持ちよさに、頭の中がぼーっとなる。
私みたいに、免疫のない世間知らずには危険すぎる、恐ろしいキス。しいところにしいきが與えられる。そんな覚に目眩がした。
ちゅっちゅっという粘著質な音が鼓に響く。
長くて熱い、そして意味不明なキスの後、烏丸さんは一度背筋をばし、再び私の顔を覗き込んできた。
私は両目を瞬かせながら、真っ赤になってその顔を見返した。
表の読めない彼の造形はやはり、かけねなしにしくて、尚更怖くなってしまう。
繊細な指が私の濡れたをそっとなぞる。けなかった。
なぜこんなことを許してしまっているのだろう。彼の魔力にきを封じ込められたとしか思えない。
「どうして……?」
それでも恐る恐る尋ねれば、
「……ったのは君だぞ」
彼が囁きかけてきた。
ブワッと全のが顔に上がっていく。
「そんなの……噓です……いつ、私が」
「ピアノだよ」
彼は言った。
「俺のことを思いながら弾いたと言ってただろう? 君の気持ちはちゃんの屆いた」
「ってるつもりは……」
「ああ、わかってる。俺が勝手に……そそられただけだ。けど今もそうだろ?」
「えっ……?」
「目で……俺を煽ってる」
彼の聲が不自然に甘く掠れ、私の鼓は妖しく高まる。
そんなの、ひどい言いがかりだ。でも、『君はこうだろう?』と斷定されれば、そうなのかも、と思ってしまうのが私の癖で、きっとこの人はそれを見抜いている。
の側が熱くなり、私は後退る。
とん、と背中が壁についた。
當然のように、両方の肘が壁に付けられ、私は彼の腕という小さな檻に囚われてしまう。心臓の音が更にうるさくなった。
ドキドキしすぎて怖いくらいだ。このままじゃ、きっと倒れてしまう。
「……君がしい」
はっきりと。
私の目を真っ直ぐに見て。
彼は言った。
間近にある彼のから、熱いものが伝わってくる。
私は息を飲み込んだ。耳たぶまで、赤くなっているのが気配でわかる。キスの次にある行為。そんなの……認められるわけがない。
思いの外あたたかい手のひらが私の頬をそっとでる。
「最初君を見たときに無駄に怯えるだと思った。しかし不思議だな。今はそこがいい……もっともっと怯えさせたくなる」
耳たぶにを近づけられ、けるような聲で囁かれる。ゾクッとの芯が震えた。彼は私の手を握るとスタスタと廊下を歩き突き當たりのドアでどこからか出してきたカードをかざす。
「あ、あのっ」
ドアが開き、中へと押し込まれた。
カチャリと鍵の閉まる音がした。私はくるりと彼に向き直る。
彼の目が眩しそうに細められた。目が合った瞬間から恥ずかしいくらいにがざわめく。
「君は可い」
烏丸さんは私の髪のに右手を突き刺すと、再びを重ねてきた。
今度は啄むようなキスだった。くしゃっと髪のをまとめて摑み、反対側の手のひらは背中をでる。
拒まなければと思っているのに、はしどけなく綻ぶばかりだ。
甘い香りに包まれて、私はあっけなく流されてしまう。
ちゅくちゅくと舌が吸われ、子宮がきゅーっと収した。
本當に本當にやめてほしい。烏丸さんみたいな人にせめられて、平気でいられる人間なんているわけがない。こんな……らな気持ちに揺れてしまうのは、私だけのせいじゃない。
しむようなキスの後、ふわっとが宙に浮いた。
彼に橫抱きにされたのだ。
「きゃっ……」
悲鳴を上げ思わず彼の肩口にしがみつく。
くくっ、という、楽しげな笑い聲と共にこんな聲がかけられた。
「拒絶しないってことは、君もその気か?」
「ちが……っ」
否定しながら私はじろぐ。そんな私を楽しげに見つめながら、烏丸さんは広くゴージャスなスイートルームを悠々と橫切り2つ目の部屋のドアを開けた。
間接照明だけの暗い部屋。
中央に據えられたキングサイズのベッドが目の中に飛び込んできて、心臓が跳ね上がる。とうとうここまで來てしまった。
もう、これ以上はダメ。はっきりとノーを突きつけなきゃ。
私は彼の肩に片手を回して、瞳を覗き込んだ。
嫌だ、と言おう。
心に決めて口を開く。
それなのに。
「……この先に進むなら、理由がいります」
震える聲が紡いだのは、そんな言葉だった。
「理由?」
彼は不思議そうに首をかしげる。
「はい」
真っ直ぐに彼の瞳を見つめながら、私は頷く。
「バカだな。そんなの決まってるだろ。いや、バカは俺か」
彼はきっぱりとこう告げた。
「君が好きだ」
その場限りの軽い言葉。
意味なんてない。ただの言い訳。
それなのに……彼の目は真剣そのもので、噓を言っているようには見えなかった。
いけない。危険なゾーンに近づいている。
上っ面な告白の余韻に浸っている間に、ベッドに橫たえられた。
髪のがふわっとシーツに広がる。
彼はスマートなきでジャケットをぎ、ネクタイを外した。
流れるようなきに見惚れていると、今度はシャツのボタンを外して、前立てをはだけたセクシーななりで、私の上におおいかぶさってくる。
二人分の重でマットレスが沈み込み、私のに不安がよぎる。
今から始まってしまう。もう戻れない。
どうかしてる。私はおかしくなってる。
目の前にいる、この人のせいで……。
手首をシーツに押し付けられ、じっ、と見つめられた。
麗しい、としか表現のしようのない、寶石のようにきらめく瞳に心が激しく掻き立てられた瞬間、が首筋に落とされる。
手首を膝に押し付けられ、じっ、と見つめられた。
麗しい、としか表現のしようのない、寶石のようにきらめく瞳に心が激しく掻き立てられた瞬間、が首筋に落とされる。
「あ……!」
じん、とした快が全に走り、私は思わず聲を上げた。こんなところに帯があるなんて。今までちっとも知らなかった。
ねちょねちょと首筋を舐めあげられる。溫が一段と上がった気がする。
「んっ……」
甘だるいくすぐったさに、聲が止まらない。
「いい聲」
烏丸さんはほくそ笑みながら、私の背中に手のひらを添えて浮かせると、ドレスをがせた。
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