《男がほとんどいない世界に転生したんですけど》授業が始まった。

私は……ゆっくりと目を開く。視界には見慣れない天井。そして、隣には保健室の先生が椅子に座っているのが見えた。

「まぁまぁ、ようやく起きたの?大丈夫かしら?あなた気絶してまた運ばれてきたんだけど、その事は覚えてる?」

保険の先生は私が起きた事に気が付くと聲を掛けてくれた。

「えっと……い、いえ。全然覚えてません。誰かとぶつかって……気付いたらここに寢てました。」

「そうなの……?すごくもったいない。…………って、これは本音ね。まぁ、わかりました。今日は一応休んで行きなさいね。お母さんには連絡しとくから。」

「わ、わかりました。何から何までありがとうございます。」

 先生は「いいからいいから。」と言って私の親に電話をかけるために保健室を出ていった。

「……………………っ。」

私はガバッと布団を被った。なんだろう、今は頭の中では大混が起こっている。

あの男の人?の事を思うだけで顔が熱くなり、心臓がドキドキする。何でだろう!?

私は意外に早く意識を取り戻していた。でも、その時は男の人に丁度おぶられている時で、がすごく著していた。

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それに気付いた時は、顔が一気に熱くなり心臓もドキドキし始めた。聲を出さなかったことだけは自分を褒めたい。

それで……私はその男の人に聲を掛けて、この人から降りようと思った。でも……何故か聲が出ない。ギュッと彼にを任せてしまう。な、なんで!?

この人ともっともっと著したい。今離れるのは惜しい。後で絶対後悔する。

その時は自分でも分からないくらい気分が謎に高揚していた。そのため、変な事も思ってしまった。

結局、そのままおぶられた狀態で保健室に著いてしまった。

今まで起きていた事を知られるとなんだか、その後この人に自分を運ばせたなんて思われ、嫌われたくないと思ってしまった私は、気が付いていないフリをするため目を瞑りの力を抜き力した。

その後、お姫様抱っこでベットまで運ばれるとは思わなかったけど、自分にとってとても有意義な時間だった。

私、神崎 葵あおいは生まれた頃から不幸質である。どんな事をしても失敗し、周りに迷を掛けてしまう。

そのため、稚園の時は自分のせいで友達の子に大きな怪我を負わせてしまった事が原因で葵は極力人と関わらない事にしていた。もう自分のせいで傷付く人を見たくないためだ。

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そのため葵は小、中、そして高校生になった今でも友達がおらず、孤立の學校生活を送っていた。

でも、葵はそれに適応していた。

でも、極力関わらないようにしていたとしても、つい誰かに迷をかけてしまう時もある。どうしても巻き込んでしまう。こんなダメで頼りにならない。自分はもう嫌いだった。

葵は時たま、夢を見る。

白馬にまだかる、カッコイイ王子様が自分を迎えに來てくれる……そんなマンガのようなドラマチックな夢だ。

でも、そんなものはただの夢。自分には永遠に、そんなハッピーエンドなんてものは來ず、王子様は現れないものだと確信していた。

……でも、私は王子様を求めて、この學校に來た。

たまたま自分の住んでいる地域の學校に男の人がいたのだ。

もしかしたら自分がその婚約者の中にれるかもしれない、という淡い期待は持っていた。でも、ほとんど諦めている狀態だった。

だが、今日ぶつかったのは男の人だった。いつも不幸質で巻き込んでしまう人に運命で男の人が選ばれてしまったのだ。

あの時は相當、焦った。初めて見た男の人。それが自分の夢に出てくる王子様によく似ていたからだ。

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一瞬で自分はその人の虜となってしまう。

こんなの初めてのだった。

「あぁ……せめて名前ぐらい聞きたかったです。でも、また會える気がします……私の……“王子様”」

葵は布団の中その王子様のことを思い続け、1人で勝手に悶えていた。

☆☆☆

俺はとぼとぼと歩いて教室に戻った。さすがに來た道を戻るだけだったので迷うことは無い。けど、はぁ……なんかすごく疲れた。

教室にるとクラスの皆は既に育著から制服に著替えていて擔任の奈緒先生が既に授業を始めていた。

「ずいぶん遅かったですね。何かあったんですか?」

これで「の子とぶつかって遅れました。」なんて言ったら問題になって、ぶつかったの子が特定され、責められてしまうかもしれない。そんな気がしたので適當に誤魔化すことにした。

「えっと。保健室の場所が分からなくて、迷ってました。この學校広くてまだ全然慣れていなくって。」

「そうなんですか、分かりました。確かにここの學校はバカみたいに広いですもんね。さぁ、早く席についてください。授業を再開しますので。」

「はい。わかりました。」

俺は自分の席についた。

確か奈緒先生は數1の先生だったはずだ。

それは教科擔當一覧に書いてあるのを確認していた。

俺は、カバンから用意してあった數1の教科書とノートを取り出し、開く。

お、これわかるやつじゃん……

まだ全然簡単だな。 

家でずっとやっていた勉強は無駄では無かったらしい。途中から參加したにもかかわらず容が全て理解することが出來き、奈緒先生が効率良く授業を進めて行ったが楽々ついて行くことが出來た。

──キーンーコーンーカンーコーン

學校のチャイムが鳴り奈緒先生の授業が終わった。

ふぅ、もうひと踏ん張り。

俺はこのままもう1時間授業をし、ようやく晝休みになった。

授業が終わり、晝休みになった途端。クラスのの子達が俺の周りにノートや教科書を持って集まって來た。

え?……え!?何?

なにがなんだかよく狀況が分からず、意味もなく揺する俺。

あー、カッコ悪いな。

「優馬君、さっきの授業で分からない事があった?よければ私が教えるよ。」

「いやいや、私の教え方上手いし丁寧だから、私が教えるよ。」

「私の方が完璧に教えられるよ。」

……と俺に授業の容を更に深く教えるために集まってくれたようだ。でも俺は高校3年生までのは勉強は完璧に終わっている。普通の男だったら分からなかったかもしれないけど、俺は別に分かるんだよなぁ。

「あ、う、うん。じゃあ……お願いしよっかな。」

俺は空気を読める男だ。今斷ったらその話しかけてきたの子を傷付けてしまう事になる。それは何としても避けたいところだったので、教えてもらう事にした。うん……復習の復習になるからいいだろう。

そこから數分……しっかりと教えてもらった。の子なりに分かりやすく纏めて教えてくれたので、すごく分かりやすかった。やっぱり俺みたいに凡人で必死の努力で勉強を完璧にしたやつなんかより、生まれた時から秀才や天才で、それにも関わらず努力に勵み、難関の月ノ高校に學して來た子達。この子達と俺の頭では能もスペックもまるで違うんだろうな。

俺はここら辺の範囲を完璧にする時は、何日も掛かったのに、どうやらこの子達は授業の時間で自分の知識としているようだった。

たまに……俺は才能を羨むことがあった。

「ありがとう。とっても、分かりやすかったよ。また頼むかもしれないけどいいかな?」

「うん。任せて。」

「また教えるね。」

「でも優馬君、理解するのがやけに早かったね、もしかして初めから分かってたりして……?」

「あ、い、いやー、勿論わからなかったよ。皆の教え方が上手かっただけだよ。」

「そう?それならよかった。」

の子達は俺に謝されて頬を赤く染め、喜びながら俺の席から離れていった。

「はぁ……」

俺は疲労のため息を吐いた。

ちょっとなぁ……気遣いはすごく嬉しいんだけど……ちょっと、神経を使うからしんどいなぁ。

☆☆☆

次の授業は確か……蕓という教科で、か音楽の選択だったはずだ。

この選択は學校が始まる前に決めるもので俺はを選択していた。理由は、音楽自があまり得意では無かったためだ。それには割と好きな教科だったからだ。

室、音楽は音楽室で別れての移教室だ。

俺は教科書と筆箱を持ち室に向かった。

あ、勿論、室までの道が分からなかったのでの教科書を持っているクラスメイトについて行った。

室に著き、指定されていた席に座る。

室の機は普通の機より大きい、そして椅子も丸椅子で、背もたれが無い。このじ……とても懐かしかった。

室は様々な道があり、2人1組で機が設置れている。後で聞いたが席順はの先生の厳正なる選で決まったものらしい。

辺りを見渡したが雫や由香子はいないようだった。

あー、2人とも音楽を選択したっぽいな。

正直、寂しかった。まだ気軽に喋る人かいないと不安だし暇だ。

今更、を変えて音楽にしたとしたら恥ずかしいし、なんと言ってもカッコ悪い。それに俺とが一緒で喜んでいたクラスメイトをガッカリもさせたく無かったのでから音楽に変える訳にもいかない。

そうだ!まず最初に隣のの子と仲良くなって今の所不安で暇なの時間を楽しく有意義な時間に変えよう!

そう思い、隣に座っているの子の方を見た。

「………………!?」

正直俺はビビった。

なぜなら、俺の隣にいるの子は黒髪黒目。綺麗なサラサラの髪が肩まであり、トレドマークなのか月のヘアピンを付けている。このの子はクラス……いや、俺が今まで見たすべてのの中で1、2を爭うくらい人だった。さらに雰囲気が清楚系とクール系が混ざったじだった。もちろん!俺の好みドストライクだった。

「ん……!?」

その子が俺の視線に気づいたのかあからさまに席を離した。

なんでかは知らないけど、明らかに俺の事を避けている。なんでだろう?この世界で出會ったの中で雫や保健室でぶつかった時のあのの子みたいな不思議なじがする。

別に嫌われるような事もこの子にした覚えも無いし、まずこの子とは話した事すらない。

多分俺の勘違いだと思うな。それに、俺は男だからすぐにこの子とも仲良くなれると思うから、たぶん大丈夫だけどね。

「隣の席だね、よろしくね。」

 

軽くその子に話しかけた。

「…………………」

軽く無視された。

ていうか、視線もかさないし……っ。

な、何でだろう?

聞こえなかったのかな?それかもっと丁寧に話しかけた方が良かったのかな?

もう一度話しかけてみるか……

「隣の席の神楽坂優馬です。よろしく!」

今度はすこし聲を大きく出して丁寧に言ってみた。これなら絶対に聞こえてるだろ!

「はぁ……そんなの知ってますよ。後、今後一切私に話しかけないで下さい。近づくのもダメです。るのも無しです。」

「え!?」

いきなりの完全拒否宣言ですか……俺が何をしたって言うんだよ。

「えっとその理由を聞かせてくれない?」

「そんなの私は男という生が大嫌いだからです。それに私今言いましたよね、話しかけるなと。」

あ、これはダメだ。完全に拒否されてるや……

これ以上會話が立しないと思い、俺は話しかけるのを一時諦めた。

そのの子とはそこからの會話は一切無く、の授業が終わってしまった。この時間かなり気まずかった。

俺はの教科書を持って教室に戻ってきた。雫達はもう既に帰ってきていた。

今日のはオリエンテーションで先生の話を聞いて終わったが気まずかったせいで普通より長い時間だった気がする。

「優馬君~~。どうだった?音楽はとっても楽しかったよ~~。」

「あ、そうなんだ良かったね。」

由香子が音楽の教科書を、持ったまま話しかけてきた。後ろには雫もいた。

「優馬君の方はどうだった~~?」

「あぁ、うん。まぁまぁかな………」

「曖昧だね~~。何かあったの~~?」

俺はでのことを由香子と雫に話した。

「……それって北桜 夜依さんね。私も喋った事は無いけど、普通に大人しい人だと思うけど。何かあるの?」

「私知ってるよ~~。夜依さんはね名家の北桜家の娘なんだよ~~。でも何で男の人を嫌っているのかはわからないけどね~~。優馬君の事を嫌うなんて有り得ないよね~。」

あのの子は北桜 夜依と言うのか、しっかりと覚えておこう。夜依はこの世界に転生して初めて拒否されたの人だ。男だから全ての事が思い通りに行く訳ではなかった。だけど逆に燃えてきた。この世界に転生してからんな人に會ったけど夜依みたいなタイプは初めてだった。

いつか絶対に口説いて仲良くなってみせる。

そのために積極的に話しかけないとな。俺は心の中でそう思った。

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