《男がほとんどいない世界に転生したんですけど》相談

俺は大地先輩の後をついて行き階段を登った。

し疲れるくらい階段を登って著いたのは學校の屋上だった。

外に出てみると、今日はそよ風程度の風しか吹いていなく天気も晴れ。ポカポカと暖かく、決して寒くは無い。そのため大変居心地が良かった。

すぐにこの場所が好きになった。

今すぐ寢転がって晝寢をしたいほどだ。

まぁ、大地先輩がいるし、ピカピカな制服も汚れそうだったからやめておくけどね。

俺は屋上のフェンス越しから景を眺める。この學校はとにかく大きく高さがあるので多怖いけど、その分景がとてもキレイだった。

遠くから街の方を見ると、何か大きな鉄塔のような建が見えたり、その近くに沢山の大きなビルが連なっている所が見えたりと初めてまともに見る外の景は俺の興味をくすぐった。

いつか……行ってみたいなと思った。

1人で……いや、彼と……いや、この世界だと、彼達と……との方がいいのかな?

そんな、楽しそうに笑いながら青春を送る自分の未來を頭の中で想像しながら數分ほど景を楽しみ、興味があった建を頭のメモに記憶しておいた。

「いい眺めだろう?」

大地先輩が聞いてきた。

俺はすぐに頷く。

「でも、こんなにも屋上は良い場所なのに、晝休みに1人もこの場所にいないはちょっとおかしく無いですか?」

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ふと俺は疑問に思った事を聞いてみた。

「お、いい所に気付くな。優馬の考える通り、おかしいってじるよな。」

大地先輩は俺の気付きに心しているようだった。

「まぁ簡単に言うとだね、ここはまず人の立ちりが止されているんだ。だから誰もここに來ないのは當たり前だし、この場所はほとんどの生徒や先生は知らないはずだよ。」

つまりの場所と言うわけか。

そう聞き、なんだか男心をくすぐるなぁと思った。

「なるほど……」

「だから、優馬が來る前までは僕はほぼ毎日ここで弁當を食べてたんだよ。ここには誰も來ないし安全だったからね。」

そうなんだ……まぁ、その時は學校に大地先輩1人しか男がいなかったわけで、俺なんかよりも々と大変だったんだろうな。

それに比べると俺は環境に……人に、すごく恵まれているんだなと思い、なんだか嬉しくなった。

「そう言えば、止って大丈夫なんですか?もしバレたら怒られませんか?」

よくよく考えてみると焦り出す俺。

學早々に先生に目をつけられる訳にはいかない。

そうなると評価にも関わってくるからだ。

「うん。まぁ、大丈夫でしょ。実際、僕がここを見つけて利用し始めてもう約1年ぐらいになるけど、1度も生徒や先生が屋上に來た時は無いよ。それに危ないって優馬は言うけど、こんな頑丈なフェンスがあるんだからそんな、危険なんて無いんだよ。」

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うん……まぁ……いいの……かな?

「あ、それとどうやって屋上に出りしてるんですか?」

立ち止という事ならば、普通は鍵がかかっていて當たり前のはずだ。

鍵が掛かっていなかったら不用心だしね。

でも、俺と大地先輩は普通に屋上にった。

もしかして大地先輩はピッキングでもして無理やりったりとかしたのか………?でも後ろからでは手元が見えなかったし、そんなことをしている素振りはなかった。

「え?どうやってって……普通に鍵を使ってだけど?それがどうかしたのかい?」

そう言って大地先輩は制服のポケットから“屋上”と書かれた名札が付いている鍵を取り出して俺に見せてくれた。

俺はそれを見てし安心し、自分の考え過ぎを反省した。

「いえ……なんでもないです。」

あれ?でも普通、生徒は屋上の鍵なんて持っているはず無いと思うんだけど?

「それは僕が生徒會に所屬しているからだよ。」

俺が疑問に思った瞬間に、大地先輩は何かを察したのか、俺が質問をする前に答えを言ってくれた。

──生徒會。それは學校の頂點に立つ組織の名前だ。でも実際どういう仕事をしているのかは俺はよく知らない。

だって、転生する前の時の関わりはほとんど皆無だったからだ。

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まぁ……朝挨拶を校門の前でするとか……?全校でやる朝會とかの司會進行とか……?生徒會総會でなんかするとか……か?そんぐらいしか俺は思い付かない。

「あ!付け足すけど、僕は生徒會の用管理という仕事についているからこそ、この鍵を持っているんだよ。この仕事は簡単に言うと學校の行事で使う道や用、それから様々な教室や部屋の予備の鍵を管理するのが仕事だよ。

それでたまたま屋上の鍵を見つけて、今に至るんだよ。」

ということは、無斷でその役職の特権を利用しているってことか。

うーん?いいのだろうか。

「そ、それってバレたら相當やばいんじゃないですか?」

「うん、そうだね。先生ならまだなんとかなると思うけど生徒會長……僕の姉に見つかったりでもしたら、かなりやばい事になるね。考えたくも無いけど……」

若干想像してしまったのか顔が青ざめる大地先輩。

あっ、そうか。この學校の生徒會長は大地先輩のお姉さんだったっけ。いくら男の大地先輩でもお姉さんには勝てないものなのか……?それに、お仕置という言葉もやや気になる。

「でもな、姉は晝休みは友達と一緒に教室で弁當を食べたり、生徒會の仕事をしたりしているから晝休みの姉はほとんど、教室から外に出ないんだよ。

僕も姉にバレないように何回も監視してデータを取ったらから恐らくは大丈夫なはずだよ。」

大地先輩はお姉さんの事を完璧に把握しているらしいな。自信を持って言い切った大地先輩。

そんな事をするぐらい大地先輩はお姉さんに相當恐怖の対象として見ているのか?

1度もそのお姉さんとは話したことは無いけど、大地先輩のイメージだけで俺は人間像を作り上げてしまい、今では若干俺も怖い。

「さぁ、そろそろ弁當を食べようぜ。」

「そうですね、もうお腹ペコペコでしたよ。」

俺と大地先輩は近くのベンチに腰掛け、俺は茉優の作った弁當箱を開けてみる。弁當箱の中はキレイに並べられた、俺の大好がたくさんれられていた。1品1品がとても味しそうだし、彩りも素晴らしく食のバランスも取れていると思う。

「お!優馬の弁當はかなり手が込んでるな。すごく味しそうだ。」

「はい。俺の妹が作ってくれたんです。」

自慢の妹の事を大地先輩に自慢する俺。

ついでに最近の妹の事も話してしまった。

「へぇー。いいなぁ、僕なんて自分で手作りだよ。

それも毎日だ。それに、姉の分も作らなきゃなんないし。嫌いなれたら怒られるし、毎日早起きしなきゃなんないし大変なんだよな。」

そう、弁當をせっせと口に運ぶ大地先輩がボヤく。

「え?大地先輩が弁當作ってるんですか?すごいじゃないですか。」

大地先輩の弁當を見てみるとまさかのキャラ弁っ!?

なんのキャラかは知らないけど、思ったより大地先輩って子力が高いんだな……

と、先輩の意外に驚く俺。

「いやいや、優馬の妹に比べたら僕は全然ダメだよ、料理の腕も全然だし……ね。あーあ、僕もあんな怖い姉なんかより優しい優馬の妹が家族だったら良かったのになぁ……」

大地先輩は愚癡を挾んだけど笑いながら言った。

々雑談を挾み弁當を半分くらい食べたところで大地先輩が本題に話を変えてくれた。

「そろそろ時間もあるから相談の話をしようか。」

「あ、はい。」

俺は一旦弁當を食べるのを辭め、大地先輩の話を聞く。

「優馬の相談って部活の事だよね。」

 「はい。」

俺は頷く。

「あ、先に言っとくけど僕は部活には所屬はしてないよ。生徒會の仕事が忙しいから、部活どころじゃないからね。

それで、昨年はこの高校に初めての男が學したってなってね、この學校は大きく荒れたよ。毎日大変だったし、々な事もあったよ。」

大地先輩は何かを思い出したのか、暗い表になる。

「まぁ、部活の勧も半端なかったし、すごく辛かったよ。それでもし、僕が多くある部活の中の1つの部活にりでもしたらその部活が妬まれたりしてその部活に多大なる迷をかけてしまう事になる。

だから先生にも部活にるのは遠慮してくれと言われたんだよ。まぁ僕は元々運とかは不得意だったし、特にりたい部活もなかった。だから、部活に所屬しなかったんだ。別に僕はそれが良かったから萬々歳なんだけどね。それにの人と極力関わらなくて済むからいいしね。」

大地先輩は々と大変だったらしいな。

今年の俺はその分恵まれてるんだなと思った。

もし俺が大地先輩よりも早くこの學校に學していたとしたら……地獄だったのだろうな。

そう思うと、ゾッとする俺。

「だからな、優馬は興味がある部活にればいいよ。僕の事なんか気にせずにね。やっぱり自分で選んだ部活だと楽しいし後悔もないからね。」

「はい。わかりました。じっくり考えて決めたいと思います。」

相談に乗ってもらえてしは心が楽になった気がした俺。

そこからまたし雑談しながら弁當を食べた。

「今日はありがとうございました。相談に乗っていただけてすごくすごく助かりました。」

「あぁ、全然大丈夫だよ。また何か相談とかあったら連絡をくれてもいいし、晝休みにここに來ても構わないよ。大僕はここで弁當を食べてるからさ。」

「はい。了解です。」

弁當を食べ終わった俺と大地先輩は揃って立ち上がった。

「それじゃあ。」

大地先輩と屋上を出てし降りた階段の所で別れた。

自分の腕時計を見てみるともうそろそろで晝休みが終わる時間だ。俺も早く戻らないとな。

俺は教室まで早足で向かった。

───ちょうどそんな時だった。

曲がり角を勢いよく曲がろうとした時。

俺と同時に誰かが曲がり角からすぅと出て來た。

「うおっ…!」

急に出て來て急いでいた俺はわせなかった。

──ドンッ

誰かと強くぶつかった。

「きゃっ!!」

の子は悲鳴を上げた。

の子と男の俺がぶつかったら俺の方がが頑丈なので勝ってしまうのは當たり前だ。俺はそこまで勢が崩れなかったが、の子は大きく倒れ込みそうになった。

でも、俺がぶつかるのはこれで2回目だ。

1回目の時はの子が倒れて気絶してしまった。完全に俺が悪かった。

だからそんな事が2度と無いように何度も何度もシュミレーションを重ねた。

俺は腕を一杯ばし、の子の手を摑むと思いっきり自分の方に引き寄せた。

そして両手でそのの子を抱きしめて、俺の方に倒れる。こうすればケガをする可能があるのは俺だけでの子は確実守れるはずだ。

それが……俺が導き出した答えである。

────ドサッッ!

「くっ……」

 

背中には大ダメージ。も取れていないし2人分の重が乗ったダメージだ。実際すごく痛いが、歯を食いしばって耐える。それに、の子が傷付くのを見て心のダメージを負うよりかは全然マシだ。

「はわわ。また、ぶつかってしまいました。すいません。それに庇ってもらって、ケガはないですか?ってえぇ?まさかっっ!?またっ、お、お、お、男の人ですか!?」

そのの子はぶ。

「痛って、ててっ。……ってあれれ?もしかして、前もぶつかった子じゃないか!」

──そう。なんと1回目の時と同じの子と再びぶつかったのだ。

そのの子は俺のの中で、両手で顔を隠して「はわわ……はわわ。」と言ってモジモジしていた。今回は気絶しないようだ。

「あ、あのー。悪いんだけどさ。……どいてもらっていいかな?これじゃあ、起き上がれないもんで……」

俺はの聲にかき消されないようにし大きめな聲で言った。

「はわわわっ。すみません。」

そのの子と俺は馬乗りの狀態になっていたのだ。

そのの子は今気付いたようで素早く俺から離れた。

そのきは、ものすごく俊敏だった。

ふぅ……危ない所だった。

俺がゆっくりと起き上がるとの子は謝ってきた。

あの時と同じ土下座でだ。

「すいませんすいませんっ!!まさか、まさかでぶつかってしまうとは思っていませんでしたっ!!」

の子はブンブンと風を切る音を立てながら頭を上下させた。

なんで、このの子は誤っているんだろう?悪いのはよそ見をしていた俺なのに。

「全然大丈夫だよ。こっちも急いでいたから。ごめんね。」

俺がそれを言い終わった後……

──キーンコーンカーンコーン

チャイムが鳴った。

午後の授業が始まる時間になったのだ。

人気のない廊下にそのチャイムの音は響いた。

「うわっ、急がないとな。」

「本當にすいません、すいません!!」

「いや、いいからいいから、君もすぐに行った方がいいよ。本當に気にしないでいいからね。」

本當に、なんだろう、気が弱いのかな?そこまで謝らなくていいのに。

最後にの子はまた、「すいません!!」と謝って走って行った。

の子の後ろ姿を見て、行ったことを確認し、俺も走らないとなと思い振り向くと……

「ん?なんだこれ?」

廊下の真ん中に何かが落ちていた。

それを拾い上げて見てみると、それはあのの子の生徒手帳だった。顔寫真を見てあの子本人のであることを確認した。

ぶつかったときか?それとも、の子が謝って頭をブンブンと上下させていたときにでも落としたのかな?

あの子……結構ドジっ子なんだな。

と……し笑ってしまう。

「えっと、あのの子の名前は……“神崎 葵”って言うのか。」

顔寫真の隣には名前とクラスと學年が全て書かれていた。

神崎さんは同級生で俺の隣のクラスの2組だったのか。俺は上級生かと思っていたよ。あの大きな的に……な。

なら、またすぐに會えそうだしこの生徒手帳を返せそうだな。

後を追わなくてよいとすぐに判斷した俺は、その生徒手帳をポケットにしまった。

「やばい、こんなことしてる場合じゃない。早く教室に戻らないと!!」

俺は走り出した。

☆☆☆

結局、俺は授業には遅れてその教科の先生からし怒られた。

授業中、俺はふと大地先輩の言葉を思い出す。

後悔しないように………か。だったら………やっぱり俺は………自分の意志を貫き通し、あの部活にろう。

そう心の中で俺がる部活を決めた。

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