《男がほとんどいない世界に転生したんですけど》茉優との仲直り
雫を送った後、俺は家にる。
は既に冷えきり、いま出ていった雫がし心配だけどまずは自分の心配もしなくちゃな。
「はぁ、はぁっ、ハアックションっ!」
俺は大きなくしゃみをする。鼻水も勢いよく出てきてもう最悪だ。もしかしたら、風邪を引いたかもしれない。
週末は週末で國からの用事とかで忙しそうなので風邪なんて絶対に引けないんだけどな。
それに、風邪が悪化し學校を休むことにでもなったら……皆と……雫に會えないじゃないかッ!そんなこと、絶対に嫌だ。
「よし、すぐに風呂にるか…!」
俺は床を濡らさないように自分が使ったタオルで足裏の水分を拭き取り、浴室まで急いで行った。
制服はかすみさんが乾かしてくれると思うので、ハンガーに掛けておき下著などは俺専用のカゴにれた。
そして、浴室にる。
☆☆☆
「うぃぃぃぃ。気持ちぃぃぃぃなぁぁぁ。」
おっさんみたいな聲を出して湯船に浸かる俺。
冷えきったを溫かいお湯が一気に溫めてくれる。
家の風呂は手足が充分過ぎるほどばせて、ちょっと泳げるくらいの規模の大きさだ。
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まあ、広くて気持ちいいのだけど何処か落ち著かない。元々、俺は狹いところが好きな庶民的な人間のためだ。手足はあまりばせないし狹いけどあの落ち著く湯船にいつかまたりたいものである。
「ふぅ……怒濤の5日間。長いようで短かったな……」
全で湯を堪能しながら考える。
この世界に転生して初めての學校。それは俺が思う學校とは全くの違うものだったけど、楽しくやれていて毎日がとても楽しい。
まぁ、勿論大変な事も々とあるけどね。
今日はいつもより長めに湯船に浸かって俺は風呂をあがるのであった。
☆☆☆
俺が洗面所から出ると、俺のパジャマとバスタオルが畳まれて置いてあった。
恐らくかすみさんだ。俺が風呂にっているときに用意してくれたのだろう。
ありがたい。
「よし。風呂もってリフレッシュした事だし、その良い気分のまま宿題もぱぱっと終わらしておくか。そうすれば土日が楽になる。」
俺は著替えて自分の部屋に移し、カバンを開ける。俺のカバンは防水仕様で表面を軽く拭けばすぐに乾く萬能なやつだ。なのであんな雨なんてもろともしてないし、中の教科書なども全て無事だ。
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カバンから宿題の道を取りだし機に座って宿題をやろうとペンを持った時……
……あ!
俺はふと気付く。
「そうだった。今日時計を壊しちゃったんだっけ……」
俺は時計のことを思い出す。
時計のことをきちんと報告してちゃんと謝らないと……
俺はお母さんに言う誤る言葉を頭で考えながら時計を探す。
家に著いた時に、時計が壊れているのを雫に言われて気付いた。その時には確実に俺の手首にあったためあるはずなんだけどなぁ。
あれ?………あれれ!?無い。………無いッ!!!
俺の……大事な時計が無いッッ!!??
カバン、制服、そして玄関。部屋から出て、至る所を探しても時計は見つからない。
な…なんで?確か………………え、でも?
俺はお母さんに言う言葉を考えるのも忘れて、必死にさっきの出來事を思い出し、ようやく時計の行方を知る犯人を特定した。
雫…か?いや雫しかいない。
間違って持って行っちゃったんだな……
これじゃあ、お母さんにまだ報告する事がまだ出來ないな。
壊れた実がないのに「時計、壊れたから買って」なんて言ったら[この時計飽きたからまた別のをしがっている]と思われる。お母さんはそういうのをじる所があるから絶対にそう思う。つまり、お母さんの俺へのを傷つけてしまう。
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俺は1度死んで転生した親不幸者だ。なので、新たなお母さんだけは絶対に、絶対に親不幸にはしないと心に決めている。なので雫に時計を返してもらうまで時計の事は黙っていて改めて言う事にした。
☆☆☆
次の日の土曜日。
「…………………暇だ。」
宿題もさっき終わり、特にこれといった趣味も無い俺は暇を持て余していた。
「あーあ、學校で本でも借りてくればよかったなぁ。」
電子機械に疎い俺は、電子書籍を上手く使いこなせず斷念していた。やっぱり紙の本を読みたいのだ。
現代人では普通ありえないことだろうけど……マジなのである。サッカーをやりすぎてしまった前世のツケである。
あ、確か學校には大きな図書館があって様々な本があるらしい。今度行ってみてもいいかもしれないな。余裕がある時……だからしばらくは行けないかもしれないけど。
───ボンッ!ボンッ!ダダンッッ!!!
「ん?何だこの音?……外から激しめの音が聞こえるけど…………外で竹とかでもやってんのかな?」
外から何かが壁にぶつかって跳ね返るような音が聞こえた。その音は、俺の頑丈で家の奧の方にある俺の部屋まで聞こえてきているのでそれなりに大きい音が出ている事が分かる。
まてよ……この音?聞いた覚えがある。
俺の記憶に微かに殘るこの音が俺の興味を沸き立たさせる。
俺は窓から外を見てみると……!?
ポニーテールに髪をまとめた茉優がサッカーボールを蹴っている姿が俺の目にった。
スポーツウエア姿の茉優からは、真剣さと必死さがひしひしと伝わってくる。
茉優は全國1位のチームのキャプテンを任されるほど、サッカーが上手いらしいので一つ一つの作が綺麗で洗練されている。絶え間ない鍛錬を積んでいる事が分かった。
……というか、初めて茉優のサッカーをしている姿を見たけど、すごいなぁ。あんなにも今も昔も可い妹だったのに、サッカーをしている時だけは俺に見せたことの無いくらいカッコイイっ!
茉優がサッカーボールを蹴っている姿を見て、俺も何だかボールを蹴りたくなってきた。 今まで転生して以來サッカーボールを蹴ったことが無くうずうずして、しょうがなかった。
1度だけさりげなくお母さんに頼んでみたけど、まず男は運をすること自がタブー見たいなそうで全力で止められた。なので、ボールを蹴るという行為を斷念していた。
まぁ、聞いたのは小學生ぐらいの年齢の頃だ。今はもう高校生。も程よく鍛え、ちょっとやそっとでケガはしないし、大丈夫だろう。
そう判斷し、俺はかすみさんがオーダメイドで作ってくれた服の中できやすそうな服をチョイスし、タオル2枚を持って外に出た。
今日は快晴、昨日が雨だったこともありしだけ水溜理があるけど、十分なサッカー日和である。
茉優がボールを蹴っていた所は……門から正反対の方の庭。俺がほとんど行ったことのない場所だ。
茉優は既に壁當てをやめ、リフティングを行っている。
俺が近くに行っても茉優は気づかず真剣にリフティングを淡々とこなしている。らかなきで左右互に一定の高さ、一定のリズムやっている。
これは邪魔してはいけない。
俺は茉優のリフティングが終わるまでぐっと蹴りたい気持ちを抑えながら待つ。
──數分待ち、やっと終わったのか茉優は息を切らしながら、サッカーボールを地面に転がし近くにあった長椅子に腰をかけて水筒を飲み始めた。
汗は垂れ、スポーツウエアをパタパタさせに風を送っていた。タオルを忘れたのだろう。
妹の姿で興とかはしないけど、の子なんだからもっと、そういう事にはしっかりとしててしいな。
「茉優、お疲れ様。はい、これ。」
俺は気さくに聲を掛ける。
「う!?うわぁぁっっ。お、お兄ちゃん!?何で?」
茉優は飛び起き、焦る。
焦りすぎて転んでしまうほどに……
「はは。気づいてなかったの?集中してた証拠だね。」
俺は茉優を立ち上がらせ、タオルを渡す。
「あ、ありがとうお兄ちゃん。」
素直に茉優はタオルをけ取り、汗を拭く。
今の茉優にはさっきまでのカッコイイ茉優では無く、いつもの可らしい茉優だ。
「でもどうして……?お兄ちゃん、勉強してたんじゃないの?」
「あれ、よく知ってるね?」
普通、男は勉強しない……そういうイメージがこの世界で定著している。男というだけで勝ち組なので勉強をしなくても、働かなくても自墮落な生活を送れるだ。
まぁ、もちろん俺は勉強をする。後々は働きたいとも思っている。そのために勉強はやっていて損ではない。
俺は“頭がいい”とい事はクラスや學校の人は課題テストの事で知っているかもしれないけど、家族の茉優は知らないはずだと思うんだけど?
「あぁ、うん。何となく。そうなのかなって。」
「ふーん。そうなんだ。」
しだけ噓っぽい仕草をする茉優だったけど……あまり気にしない事にした。
「それで、お兄ちゃんどうしたの?こんな汗臭い所に?」
ここは茉優の練習場という事もあってか、外でもしだけ汗臭い。でも、別に気にならない程度だし今の俺の頭の中はサッカーしか無かった。
「たまにはをかしたくてね。茉優が外でサッカーをしているのを見て俺もやりたくなったんだ!」
「そっか。」
茉優はし不機嫌そうになって俺を見つめる。
本當は、茉優目當てで來てしかったのかな?
まぁ、いいや。
俺は転がっていた、サッカーボールを右足のつま先でポンと持ち上げ、右足のインサイドに軽く乗せる。
「ほぉ、よ、ほぉっと、と。」
自分の記憶を思い出しながら軽くリフティングをしてみる。右足、左足、右膝、左膝、、頭の順にリフティングを重ね、順々にそれをループさせる。まだ、全盛期には程遠いが転生して初めてのサッカーでこのぐらい出來ればまぁ、及第點だろう。
しばらくの間ボールを蹴り続け、
「やっぱり難しいけど……楽しいな。」
久しぶりのこの“運をしている!”というは俺の神的な疲労を消し飛ばし、頭をクリアにさせてくれる。でも、こんなに急にをかしたら明日は筋痛になってるかもな。
しばかり調子に乗りすぎたかな?と後悔をするも今の俺は楽しさで頭がいっぱいだった。
「それで、どうかな?日本一のキャプテンの目から見て俺ってどんなものかな?」
俺は茉優に自分の実力がどのぐらいなのか聞く。
まぁ、元々本気でサッカーをする気では無いし男とでは筋の量もガタイも々と違うから比べるのは間違っていると思うけど……
「…………………………………」
「茉優?どうかしたの?ぼーっとしてるよ。おーい?おーいって、」
ちゃんと、茉優に聞こえる聲で言ったのに反応が無い。なので、茉優に近づき手を目の近くでヒラヒラさせた。
「うひゃぁっ、ごめんお兄ちゃん。カッコよすぎて見とれてたよ。…………でもなんでそんなにサッカーが上手なの?……もしかして影で練習でもしてたの?」
ようやく反応を見せた茉優は顔を真っ赤にして慌てふためく。
「いや……、あ、うん。そう。そうだよ。」
そうじゃないと普通おかしいもんな。
「でも、すごいよ、お兄ちゃん!こんなに運神経がいいなんて!サッカーのテクニックも本當にすごいし、初心者には見えないよ!」
「うっ、茉優顔が近いよ。」
茉優は興気味でずいっと俺に顔を近づけて來る。
今の俺はそれなりに汗をかいてるから汗臭いはずだ。なのであまり近づいてしくないんだけど……
「いいじゃん。別に。たまには妹にも甘えさせてね。……えいっ♪」
そう言って茉優は俺に抱きついてきた。
「ま、茉優……さん!?」
茉優のが俺の腕に吸い付くように當たる。茉優はまだ中學3年生なのにそれなりにに膨らみがある。なのでたとえ妹だとしても興してしまいそうになる。だが、俺は”お兄ちゃん“なんだ!鉄の心で耐え抜く。
「お兄ちゃん、カッコよくて優しくて……大好き。」
「そ、そう?ありがとう。俺も茉優の事が大好きだよ。」
茉優には好きな人がいるという事を知っている。だから俺には“妹”として、という風にしか聞こえない。なので余り、意味を気にせずに言葉をけ取り、返した。
「それって……本心?」
茉優は慎重に聞いてくる。
「あったり前だろ?俺は茉優の事が大好きなんだから。」
“家族”として……“妹”としてな。
「そっか……………………」
茉優は恥ずかしそうにしながら、笑をこぼす。
頬を赤面させながら、両手で顔を隠す仕草もする。
昨日までの茉優とは大きく違い、元のかわいい妹に戻った。兄妹喧嘩?みたいなのが噓みたいだった。
自分でも分かる。俺のシスコンがどんどんこじらせていっていることに………
雫にもすぐにバレたんだし、直したいとは思っている。
いつかは茉優だって好きな人の男の所に行くかもしれない。そう考えると慨深いものがあるけれど……
そろそろ俺も妹離れをしなければならない時期なのかもしれない。俺もその事は自覚している。
…………でも……まだ………もうしかわいい妹を可がりたいのだ。
「それで…まだ、茉優はサッカーをするの?」
「あ、うん。そうかな。もうしだけやろうかな。」
「わかった。さすがに俺は疲れたから休むよ。無理する必要も無いし。」
「うん。わかった。そうだ、…………ねぇ………お兄ちゃん。」
俺が立ち去ろうとした時、茉優から呼び止められた。
「ん?どうした茉優?」
「また……ボール蹴りに來てね。私、部活がない日は毎日ここで自主練してるから。」
茉優は必死にしゃべっているじがした。
だけど、そのいは俺にとってとても嬉しいものだった。
「うん!わかった。暇な時に行くよ。」
「うん。呼び止めてごめんね、お兄ちゃん。ありがとう。」
「いやいや、いいよ。茉優も自主練頑張ってな。」
そう言って俺は家に戻る。
息は若干切れ、汗もダラダラ。ふぅ……ゆっくりと休む事にしよう。
我が妹は、最高に可い。それだけが十分に分かった休日であった。
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