《男がほとんどいない世界に転生したんですけど》嫌な予
月曜日の朝。
制服に著替えて朝ご飯を食べ、家を出ようと靴を履いていたらお母さんが背中に抱きついてきた。
「優くーん!」
「お、おはようお母さん。あれ?今日は朝早くから仕事なの?」  
お母さんはいつものこのぐらいの時間なら、寢起きのパジャマ姿が普通だ。だけど、今日のお母さんは昨日の黒いスーツをビシッと著ていた。
「うん。ちょっと仕事でね。というか、優くんもう行っちゃうの?」
「うん。そうだよ。」
もうって、いつも通りの時間だけど。
「もっと、家にいようよぉ。」
まるで子供のように駄々をこねるお母さん。だけど、俺もそろそろ行かなきゃ遅刻する。
以外と皆勤賞を狙っている俺からしたら遅刻なんて論外だ。
「いやだよ。それに……」
「それに……」
……っと。危ない危ない。雫の名前をうっかり口に出しそうになり口を塞いだ俺。
「もしかしてあのの子と?」
 
でも、お母さんは何かを察し、雫の事を話に出す。
ちょ、お母さん………?顔が怖いよ。
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「う、………うん、そうだけど?」
「ふーん。いいね。………私も高校生に戻りたい。甘酸っぱくて歯が解けちゃいそうなくらいの青春を送って見たい。」
「いや、それは無理だよ。年齢的に。」
「なら私だけが時を遡れば、私も高校生よ。」
「それなら俺は生まれてすらないよ。それに意味がわからないよ。」
相変わらずのお母さんワールドだな。
「うう、いいなぁぁぁ。そのの子ぉぉ。羨ましいぃぃぃぃ。」
「まぁ、諦めてよ。俺のお母さんは、お母さんのままでいてね。」
「うん。優くんがそんなに言うんだったら分かったよ。」
ふぅ……お母さんの対応は々と疲れる。決して面倒では無いのだけどね。疲れてる時に來たりすると中々しんどい。
「あれ?…………ところであの時計はどうしたの?
付けてないようだけど………」
──ギクゥッ!!!
「あ、うん。それはね。えーっと…………」
「もしかして、無くしちゃったの?」
まぁ、今は雫が持っている。でも、それを説明している時間が今の俺には無い。
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「…………うん。ごめん。でも絶対見つけるから。」
「いいよ、いいよ、気にしないで。
そうだ!GPS機能で時計の場所が分かるから後で優くんのスマホに送っておくね。これで探すのが楽になると思うよ。」
でも多分、時計は壊れてるからGPS機能も壊れてるだろうし別に雫が持ってるって分かるから探してくれる意味はないんだけどな。
まぁ、その好意はありがたくけ取っておく。
「ありがとうお母さん。」
「ふふ、いいわよ。でもそれなりにご褒はくれるのよね?」
お母さんはずいっと頭を俺の前に差し出してきた。時間も無いって言うのに……お母さんはお母さんだな。
俺がお母さんの頭をなでなでしようと腕を上げた時……
「──お母様そろそろ行きますよ、社員達が待っています。」
どこからともなく現れたかすみさんが、俺とお母さんの間に無理やりってきた。
「うぅ。かすみぃぃ!どうしていつも私の邪魔をするのよぉぉぉ。」
俺になでなでされなかったお母さんは、半べそで言うが、雇われののかすみさんは全くじない。淡々と要件だけを言う。
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雇い主、弱え………な。
「それが私の仕事だからです。それでは優馬様行ってらっしゃいませ。」
かすみさんはお母さんの事をズバッと擔ぎ行ってしまった。お母さんは最後の最後まで喚きながら、俺に助けを求めたが俺は全てを無視した。
だって俺はかすみさんを止めることが出來ないからだ。それにお母さんの仕事はかすみさんが管理しているから口出しとかは出來ない。
結局、お母さんは行ってしまった。
まぁいっか。帰ってきたら、なでなでしてあげよう。 
よし、そろそろ俺も行くか。雫が待ちくたびれてるはずだ。もしかしたら先に行ってるかもしれないな。
俺は雫、待っててくれと思いながら、勢いよく家を出た。
「ごめん雫遅くなった……………………あれっ?」
いつも俺が家から出てくるとスマホをいじって待っているはずの雫の姿が今日はどこにも見當たらなかった。
「やっぱり……先に行っちゃったんだな。」
雫が寢坊とかをするようには思えない。なので、雫が先に行ったと判斷し、俺は走って追いかけることにした。
──數分走った。
でも、雫の姿はどこにもない。先に行ってるとはいえ歩いているのなら、そろそろ追い付いてもいいはずなんだけどな?
しだけ不安になった。
もしかして、行き違いになってしまったのか?
雫がもし俺の家の前で待っていたとしたら……そう考えると罪悪が半端ない。
すぐに電話しよう。
俺はコトダマのアプリで雫に電話をかける。
「プルプルプル……………ただいま電話に出ることが出來ません、ピーッとなったら、お名前と──」
ピッ。
俺は電話を切る。
「なんで?雫ならすぐに出てくれそうなのに。
もしかして、1番ないと思うけど寢坊なのか?
あの雫が?有り得るのか?」
まぁ、しょうがない。まずは俺の遅刻を阻止しないと。
なので、一応コトダマで「先に行っているよ。」と、メールを送り俺は走って學校に向かった。
なんだろう。ずっと心臓がムカムカする。不安なのか?
そんな嫌な予が何処となくだけど……確かにしていた。
☆☆☆
朝、遅刻ギリギリで到著した俺は、すぐに教室に行く。でも雫はいない。先生が來て出席を取る時間になっても雫は來ない。なので雫は無斷欠席となった。
奈緒先生も何で欠席なのかは、一切聞いていないらしく後で家に電話してみるそうだ。
うーん?やっぱり。なんだろう。不安だ。
「ねぇねぇ、優馬君~~」
1時間目の前の時間に、雫の親友の由香子が話しかけてきた。
「ん?どうしたの、由香子?」
「あのね、雫ちゃんの事何か知らないかな~?」
「もしかして、由香子も知らないのか?
俺も雫から何にも連絡が無くてさ。ちょっと心配なんだよなぁ。」
「うんうん。そうなんだよね~~
土曜日に雫ちゃんに課題の範囲を教えてしいなぁ~って思って、連絡してみたんだけど全くの音信不通で、しかも今日は休みってなんだがおかしいと思わない~?」
純粋に心配している由香子。いつものゆったりとした話し方もいつもよりキレが無く、雫の事を本気で心配していると分かる。
「うん。絶対におかしいと思う。」
「だよね~~。でね、心配でさ。雫ちゃんに付いて優馬君は知ってることはない~?どんな些細な事でもいいから。」
まるで、探偵のように著々と報を集めるその姿勢は、親友の鏡だな。いい親友を持ったな、雫。羨ましいぞ。
「うーんっと。金曜日に一緒に帰ったぐらいかな?」
「別れた時の様子とかは?いつも通りだった?それとも違ってた?」
そう聞かれ、俺は金曜日の事を思い出すが日曜日の子バンクの出來事の方が印象強く、金曜日の事は若干曖昧だ。
「雫って余り表を表に出さないけど、あの時はすごく嬉しそうだったと思うよ。」
あの赤面した顔。可かったなぁ。
「へぇ、それは珍しいね~」
雫のの変化に「あ~程ね。」と俺を見て、愚癡をこぼす由香子。
な、なんだよ?
「でもまぁ雫ちゃんの事だから明日にでもしれっと學校に來るかもね~~」
思考停止したような普通の答えだけど、それも由香子らしいし、実際風邪を引いてるんじゃないのかな?
金曜日は雨で濡れちゃった訳だし。その可能がそれなりにあるな。連絡が取れないのは……それぐらい風邪が酷いって事なんだろう。多分。
「はは、確かにそうかもね。」
俺も由香子も笑ってはいるが、実際は心の底からは笑っていない。何故ならば……しだけ気掛かりだからだ。
「ところで次は化學だよ~。準備はした~?」
化學の荷を持ちながら由香子は教えてくれる。
「げっ!そうだった。うぅ、今日は雫もいないっ。
マジでヤダなぁ。憂鬱だよ。」
前回は雫に助けて貰って何とかなったが、今日は雫がいない。クソ……どうすればいいんだ!
……どうすれば、あの毒味先生の奇怪な話を違う話に差し替えられる?どうやったら俺から興味を無くさせる?どうやったら逃げられる?
「うーん、難しい案だけど、授業が終わったらすぐに走って逃げちゃえばいいんじゃないのかな~~?」
「うん。そうだね、走って追いかけてきたらトラウマものだけど。由香子の案を採用しよう。」
「じゃあ決まり~~。さ、行こ優馬君。授業遅れちゃうよ~~」
「そうだね。急ごう。」
俺と由香子のしだけ珍しい組み合わせで、化學室に向かうのだった。
☆☆☆
化學室。
俺も由香子も時間通りに間に合った。
皆はもう席に座っていて、毒味先生が來るのを今か今かと待っている。
──でも、何かおかしい?
授業が始まって大5分が経過しても、毒味先生は來ない。毒味先生が授業の準備をしていると思われる準備室に化學の教科係の子が聲を掛けてみても、準備室から返事は帰ってこず、人がいる気配はしない。
「どう考えても遅いな。」
「そうだね♪でも私はその時間、優馬君とお話できるから全然いいよ♪」
「そうかな?」
春香は相変わらずだな。
化學の席は教室の席と余り変わらない。なので前の席に春香がいる。
春香は俺がいつ毒味先生が來るかドキドキしているのにも関わらず元気な笑顔で話しかけて來る。
まぁ、楽しいからいいんだけど。
そんな、春香と話して時間を潰していると……
──ガラガラガラガラ。
ドアが開く音が聞こえ、誰かがってきた。
やっと來たな毒味先生っ!と思いながらそのってきた人を見る。
「えぇっ!?」
つい、言葉に出る。だって、化學室にって來た人は毒味先生では無く、擔任の奈緒先生だったからだ。
もしかして授業変更か何かか?
「どうしたんですか、奈緒先生?」
なんとなくクラスのまとめ役であり頼られる存在の夜依が代表して奈緒先生に聞いた。
「今日の化學の授業は自習になりました。毒牙先生は今日はお休みです。というか無斷欠勤です。何度も電話を掛けたんですけど音信不通で。
もう同じ先生として恥ずかしい限りです。」
奈緒先生は怒ったように言った。だけど、その見た目からして可らしさしかじられなかった。
「おっしゃぁ!」
俺は小聲だが心の中でガッツポーズをとった。
普通に嬉しい。辛い化學の授業が削れたからだ。
「ラッキーだね、優馬君♪」
春香も普通に喜んでいた。
「というか、毒味先生も休み……か。しかも無斷で……」
考えすぎだとは思う。だけど雫の欠席と重なる部分があった。共通點もしばかりはある。
でも、大丈夫だ。明日まで我慢すればまた可い雫の事を見られるはずなのだから。
そう信じ、俺は化學の自習プリントに黙々と取り組むのだった。
☆☆☆
「よし、次は數學だな。」
化學の時間が自習で終わり、気楽な気持ちで教室に帰ってきた俺は、數學の用意をしていた。
そんな時、
────ガラガラガラッ!!!!
教室のドアが勢いよく開けられ、1人の生徒が堂々とって來た。
見た目は華奢だが、放つオーラが大を漂わせる。
その生徒は真っ直ぐ俺の元まで來る。
「やぁ。お前が神楽坂 優馬か。
私か?私は月ノ高校、現生徒會長の九重 空そらだ。これからお前の上司になる存在だ。まぁ、よろしく。」
第一印象から、なんとなくヤバい人だと分かるけど、この人が……大地先輩の姉……そしてこの高校のトップ。
生徒會長か……!
學式の時にモニターで挨拶をしていた人だ。大地先輩の姉だということもあり、よく覚えていた。
モニターで見た時よりも、人さんで何処と無く大地先輩に似ている。やはり姉弟なんだなぁと思う。
「それで、今日は何をしに來たんですか?」
「ん?ただ新しくる生徒會のメンバーの顔を見に來ただけだが?」
え…………あんなに豪快にって來て要件はそれだけかよ?
ツッコミをれたくなるが、先輩だと言うこともあり我慢する。
「本當にそれだけですか?」
「あぁ、それだけだが………もしかして、お前私に何かやってしいのか?ドMなのか?」
「いえ、違います。」
俺はドMでは無い。そう斷言する。
「まぁ、そうか……………これで男が2人か……!これからの生徒會。中々、面白くなりそうだ!」
謎の笑い?面白くなってくるってどういう意味?
俺の事を、玩を見る様な目で見てくる生徒會長。
えっと……
生徒會にるの……まだ正式に決まってないけど、なんだかもう不安になってきたんだけど?
冷や汗をかきながら俺は思うのであった。
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