《視線が絡んで、熱になる》episode1-4
♢♢♢
「今日からうちの部にってきた藍沢琴葉さんです!じゃあ、まずは琴葉さんから挨拶を!」
幹事の奏多から挨拶を求められ、適當に當たり障りのない挨拶をした。
居酒屋は會社から徒歩圏の個人店で行われていた。五人での歓迎會だから普段もこのお店を使っていると涼が教えてくれたことを思い出した。
ビールを片手に皆乾杯をして一気に飲み干す。
「いや~歓迎會とかない限り、毎日殘業ですもんね」
涼が智恵に向かって爽やかな笑みを向ける。真っ赤なを妖艶に開き、そうね、と軽く返事をする彼によくしないなと心した。
智恵と視線が絡むたびに、心臓が激しくく。が好きだったのでは、と勘違いしてしまうほどに。
琴葉の隣には、不破柊マネージャーが座っていた。
上司が隣など一番嫌だが仕方がない。
歓迎してもらっているのだから真ん中に座るのはしょうがないことだ。
奏多が既に顔を赤らめて
「琴葉さんって、どこ大ですか?」
と、訊く。當たり障りのない會話、安心した。パーソナルスペースにり込むような會話は嫌いだ。
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ごほん、と咳払いをして姿勢を整えた。
「H大學だよ」
「へ…」
ところが、琴葉が答える前に不破マネージャーが口を挾む。
驚き、全員の視線が彼に注がれる。
「そうだよな?」
「…はい。そうです」
「あら、同じ大學だったのね?」
智恵の聲に琴葉の隣に座る柊が數回頷いて、気だるげな瞳を琴葉へ向ける。
仕事中の彼とは別人に見えた。未だに彼に視線を向けられると背筋がびるが、會社の中で見た彼とは雰囲気が違った。
同じ大學というのも珍しくはない。
「そうだったんですね、知らなかったです」
「學部も一緒」
「あー、そうですか」
ジョッキに殘っているビールを一気に飲み干す彼の仏につい視線を向けてしまう。
っぽい。
ジャケットをいで、腕まくりをしているワイシャツから覗く腕に浮かびあがる管に男をじる。
正面に座る智恵と同じくらいの気をじて困する。
求不満なのだろうか。そんなわけはない。だって男はもうこりごりだから。
扉側に座る奏多が廊下に顔を出して注文を取っている。その様子を見ながら、ビールジョッキに手をかけた。
「知ってるよ、お前のこと」
「…え、」
「大學時代、同じ學部だろ。経済學部」
「…」
いいじに酔いが回ってきたのに、一気にそれが醒めていく。
琴葉自は不破柊のことは全く知らない。それなのに、相手は知っている。しかも“黒歴史”を。
「えー、マネージャー知ってるんですか。琴葉ちゃんのこと」
いつの間にか下の名前でしかも“ちゃん”を付けてくる馴れ馴れしさを出してくる涼のことなど気にする余裕もないほどに焦っていた。
「知ってるよ、だって…―」
「待って!」
琴葉は自のおしぼりを彼の口へ押し當てた。
それ以降のことは覚えていない。ただ、柊がそれ以上のことは何も言わなかったのは知っている。そのあとは、とにかく飲みまくって嫌な記憶を消すようにひたすら酒をにれた。普段はそこまで強くないアルコールを限界まで摂取すると、記憶が消失した。
心地よい聲で目が覚めた。
それはそれは、気持ちがよくて、ずっとこのままでいたいと思った。
「おい、大丈夫かよ」
「…んん、」
薄っすらと瞼を開けると、琴葉を覗き込む顔と広い天井が徐々に視界にる。しかし眼鏡をしていないから、ぼやけてよくわからない。しかめっ面で目覚める。
あれ、ここはどこだろう。
そう思ったのも束の間、を揺らされてむくっとを起こすと同時に聞いたことのある聲がする。
サーっとの気が引いた。
下著姿の自分と上半の柊が何故か同じベッドにいた。
頭痛がして額に手を當てる。が、そんなことは問題ではなく今のこの狀況を必死に考える。
飲み會をしていたことは覚えている。柊が同じ大學かつ學部で何故か自分を知っていたことも覚えている。しかし、過去を忘れるように慣れないアルコールを摂取したことが原因でそれ以降を覚えていない。
「あ、あ、あの…っ」
「はぁ、なんだよ、飲みすぎてけなくなったお前を介抱したの俺だけど」
不機嫌な聲を琴葉へ向ける。
広い寢室はモノがなくて、黒で統一されている綺麗な部屋だった。
つまり、ここは彼の部屋ということ?
テンパって布団で元を隠しながらベッドから落ちてしまう。
「いった…」
「何してんだよ。ほら、眼鏡」
あわあわとする琴葉とは対照的に、冷靜な聲が屆く。
眼鏡をかけられてようやく視界が鮮明になる。
「あ…噓、」
「何て顔してんだよ」
あからさまに絶した顔をした琴葉を見て、柊は舌打ちをする。
そのまま琴葉の腕を摑み、立ち上がらせると泣きそうな顔をする琴葉へ顔を近づける。
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