《視線が絡んで、熱になる》episode4-2

♢♢♢

柊に仕事があるから先に店に行っててくれ、と言われ琴葉と涼は會社近くの居酒屋を探していた。

定時ではないが19時に仕事を終えてモヤモヤしたを攜えたまま歩道を歩く。

せっかくの金曜日、もうし軽やかに歩きたい。

「ここは?お灑落だし、てんぷらが味しいらしいよ。マネージャーのおごりだろうから多高くてもいいでしょ!」

と涼が言うので、琴葉は彼に続いてその店にる。

予約をしていなかったが、席へ通された。

「もう一人來るので」

と涼が店員に伝えたため奧の個室へ通される。六人ほどはれる個室に二人向かい合うようにして座った。

「とりあえず、生ビールでいいかな?琴葉ちゃん飲めるんだっけ?」

「強くはないですが飲めます」

「了解」

すぐに涼が最初の乾杯用に生ビールを頼んだ。

予約しないでれたが、個室へ案される間辺りを見渡したがどの席も埋まっていた。人気店なのかもしれない。

店員は浴のような恰好をしていて、メニュー表を見ても和食が多いイメージだからそういうコンセプトなのかもしれない。

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お通しと生ビールが運ばれる。二人で先に乾杯をして一気にそれをに流し込んだ。

ビールグラスを片手に顔を上げる涼と目が合った。

そして、彼が言った。

「琴葉ちゃん、マネージャーのこと好きでしょ」

「……」

存在しないのにえくぼが出來そうな勢いで口角を上げる涼に呆然と口を開ける。

數秒の間があった。

どうしてそれを知っているのだろう。彼が実はエスパーで人の心を読めるのではと思ったがありえない。そんな非現実的なことを考えてしまうほど琴葉は焦っていた。

「違います違います、それはないです」

「だって今日結構な頻度で不破マネージャーのこと見てたよね」

「…それは、」

「まぁまぁ、俺は誰にも言わないよ」

いくら否定したところで、涼にとってそれはもう事実らしい。首を橫に振るがその力もどんどん弱まり最後には俯いた。顔に熱をじるから恐らく頬は真っ赤だろう。

涼しい顔して否定出來たらいいのに、涼の発言に揺しすぎて無理だった。

「とりあえずなんか頼もうよ!ここてんぷらが味しいらしいよ~何が好き?」

「…あの!マネージャーには言わないでください…」

「今言わないって言ったじゃん。俺口軽いように見える?」

「いえ、一応確認を」

ふふっと笑う涼にさらに琴葉は顔を赤らめた。

お通しのイワシの南蠻漬けをいただきます、と言って口に含んだ。

カリッと揚がるイワシに甘酸っぱいタレが絡んで味しかった。柊が來るまで適當にメニューを頼んだ。

「で?どういうところが好きなの?」

「その話はいいじゃないですか」

「いいじゃん、いいじゃん。仕事の話なんかつまらないんだからさ」

「…どういうって、別に」

口をもごもごさせて、控え目に涼を見ながらビールをに流し込む。

涼も隨分酔いが回っているようで、饒舌になる彼は琴葉の話から離れる気はないようだ。

柊と一夜を過ごしたことを言うことはできない。

「とりあえず!食べましょう!冷めないうちに」

「そうだね」

運ばれてきたてんぷらの盛り合わせは確かにどれもおいしくてお酒に良く合う。涼が早く日本酒を頼みたいようで柊が早く來ないか何度も時計を確認していた。

「不破マネージャーと琴葉ちゃんか~お似合いだな」

「…え、そんなことは絶対にないです」

「そう?似合うけど。だって眼鏡取ったら可いし。いや、眼鏡してても可いよ?でも外した方が俺好み」

「…」

涼の頬は琴葉よりも赤い。相當酔っていることは誰の目から見ても明らかだ。

そして、突然琴葉の眼鏡を取る。

急に視界がぼやけて見えなくなる。これを涼にやられるのは二度目だ。妙に子供っぽいようなところがある。

「ちょっと!涼さん!やめてください!」

「んー、コンタクトにしよう!ね?」

「勝手に決めないでください!とにかく返して―…!」

涼の手首を摑んで返してもらおうとしていると、個室のドアが開く。

「…何してるんだ、お前たち」

「…あ」

柊の不機嫌そうな聲が聞こえる。すぐに涼が琴葉に眼鏡をかけてにんまりと妙な笑みを浮かべる。琴葉は、一人であたふたするが涼はいたって普通だった。

柊は琴葉の隣に座り、ビール、と一言いい放つ。

琴葉がすぐに店員を呼んでビールとその他てんぷらを中心に注文をする。

(どうして機嫌が悪そうなのだろう…)

不安げに柊にチラチラと視線を向けるがそれがわることはない。

「今、ちょうど琴葉ちゃんの話してたんですよ」

「藍沢の?」

「そうです。琴葉ちゃん綺麗になったような気がして何か理由があるのかなって」

「…涼さん!!何言ってるんですか?やめてください!!」

「だって本當のことじゃん」

琴葉の顔がみるみるうちに青ざめていく。本當のことを簡単に話してしまうのならば、柊に好意があることも伝えてしまうのではないかと更に慌てる琴葉に、柊は冷淡な目を向ける。

「何だよ。緒の話か?」

「違います!」

それでも目を細めて、訝し気に琴葉を見る柊。

この好意は絶対に隠さなくてはいけないのに、涼のせいでバレたらどうしてくれるのだ。

涼に怒りの目を向けるものの、涼しい顔をして知らんぷりをする。

「…もう…」

「琴葉ちゃん、コンタクトにすべきですよね?マネージャーもそう思いません?」

「そうだな。確かにそれはそう思う。だが、お前に言われるのは癪だ」

柊の発言に、涼はクツクツとを鳴らして笑う。

「なんだ、そういうことか」と意味不明のことを言って、ちょうど頼んでいた日本酒がったグラスでぐいっとそれを飲む。

琴葉は柊に自分の好意がバレていないか気が気でない。そのため、ビールを飲むスピードが上がっていく。

「おい、飲みすぎるなよ」

「…わかっています」

涼と柊は仕事の話で盛り上がっていた。琴葉も適當に合図を打つが気づかれていないか心配で終始上の空だった。

二時間半ほど店にいて、その後解散した。琴葉は何を食べたか記憶がおぼろげなほど酔っていた。

涼は「じゃ、頑張ってね」と言って、琴葉に耳打ちをすると気に去っていく。

ずんと重い瞼を必死に開いて立っていると、柊に腕を摑まれる。

「行くぞ」

「…はい」

どこに、とは聞かなかった。おそらく柊の自宅だということは想定していたし琴葉もそれを期待していた。

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