《視線が絡んで、熱になる》episode6-2

翌日も同様に目を覚ますと隣に柊がいた。

柊の方が早く目覚めているようなのに、琴葉が目覚めるときにはちゃんと隣にいる。

「おはようございます」

「おはよう」

「不破さん朝早いですね…すみません、もうし早く起きたかったのに」

「いいんだ。昨日も無理させたようだから」

そう言って琴葉に手をばし、頬を手の甲ですっとでる。貓にでもなったような気分がした。

今日は天気が悪いのだろう。カーテンの隙間かられ出るがない。

まだボーっとして、半開きの瞼のまま天井を見る。

「そうだ。朝食を食べようと思って起こしに來たんだ」

「え…朝食?」

柊のらかな聲とともに琴葉の聲が若干大きくなった。

柊は“朝食は食べない”と言っていたが、休日は別なのかもしれない。

「昨日買っておいたパンに簡単に何か合わせるか…」

「不破さんって朝食食べないんじゃ…」

「普段は食べない。でも、琴葉もいるしせっかくならと思った。昨日買っておいてよかった」

確かに昨日は、スーパーへ寄る前に駅前のパン屋でいくつかパンを購していた。

レーズンのったハード系のパンなどを購していてお酒に合せていたから(ワインと)てっきりそれが目的だと思っていたらそれ以外にも買っていたらしい。

(そういえば、お腹空いたなぁ)

昨日のセックスを思い出す。途中からいつもの通り記憶が曖昧ではあるものの、様々な位で彼としたことがぼんやりと頭の中に浮かび、赤面する。

の琴葉は、素早くぎ捨てられているパジャマを著て寢室を出る。

柊が朝食を用意してくれているようで、リビングへ行くと味しそうな香りが鼻孔をくすぐる。

「顔、洗ってきます」

「わかった」

琴葉はすぐに顔を洗いある程度綺麗にして戻るとダイニングテーブルにパンや

スープやサラダなどが置かれていた。白い湯気の立つコーヒーに、パン、目覚めたばかりなのに既に食が溢れてくる。

「ありがとうございます。用意してもらって…」

「用意も何もない。昨日の夕食に比べたら料理と言えるものでもないし」

「そんなことありません。嬉しいです!」

柊は琴葉が笑うといつも嬉しそうに同じような表をしてくれた。

だからできる限り、笑顔でいたいと思った。

朝食を終えて服に著替える。しかし今日の天気は一日中大雨で柊と話して家でのんびりすることになった。

「不破さんは、いつもは何をしてるんですか?家で」

「本を読んだり映畫を観る」

「遊びには行かないんですよね」

人混みや煩いところは苦手だから、きっと家からはあまり出ないのだろう。

しかし、柊は首を橫に振った。

「ジムにはよく行く。あとは…溫泉も好きだ。そうだ、今度二人で行こう」

「え…溫泉にですか?」

「うん。いいだろう。ゆっくり出來て」

「…はい」

「それから、いい加減下の名前で呼ぶように」

「あ…ごめんなさい。つい…」

「じゃあ、練習だ。ほら、言ってみろ」

突然の”下の名前呼び強制”に琴葉の顔が引き攣った。それに、こういう時の柊は“上司”の顔をするからピンと糸が張ったようにが増す。

「しゅ…しゅう…さん」

何とか聲にして柊の名前を出すと、彼は優しさをじる瞳で琴葉を映す。

柊は満足そうに口元に弧を描き、琴葉、と名前を呼んだ。

どうしたってくすぐったいのは仕方がないのかもしれない。

日中は大きなテレビ畫面で映畫を観て、夜ご飯は琴葉が手作りの料理を作り、夜は二人で眠る。その日も昨夜と同じく柊に抱かれて眠った。

會うたびにを合わせる。琴葉にとって好きな人と一緒に過ごせるのならばそれだけで幸せだった。

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