《異世界戦國記》第七話・勝幡城外の戦い2
千八百の兵を率いて出陣した俺は城下町を出たところで陣を築き始めた。実際の所勢いよく出陣しても兵力差があるので城外で迎え撃つしかない。籠城したところで城下町を略奪するのは目に見えているし燃やされでもしたらたまらない。それに、ここの方が地理がこちらにあるしな。
「信康、お前は事前に三百の兵を率いて信友の軍勢の橫に行け。合図を送るからそれと同時に敵に討ちるように。信晴、信康の事を任せた」
俺は弟の信康に別働隊の指揮を任せる。贔屓ではないが信康は武勇に優れ肝も據わっているため俺の代理人に慣れるくらいには優秀だ。勿論俺なんかよりもな。これでまだ十四だからな。將來が楽しみだ。妻の雪にはかっこいいこと言ったがあの後無茶苦茶後悔したからな。時間を戻せるなら戻したいしがあったらりたい。因みに信晴とは佐久間信晴と言う者で俺の小姓をしていた。今は侍大將となり弾正家を下から支えてくれている。
「お任せください。信康様の命はこのにかけてお守りいたしましょう」
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ここで絶対に守ると言わないあたり信晴らしいな。信晴は自分の力量で出來ない事はきっぱりと出來ないというからな。命を懸ければ信康を守り切れると判斷したか。だが、信晴に死なれても困るな。
「信晴、お前も出來る限り生きて戻って來いよ。最悪失敗してもいい。伏兵が潛んでいると思わせることが重要だからな」
「ははっ!信秀様にそう言われては生き殘るしかありませんな。まあ、何とかやってみましょう」
よし他にもう一組別働隊を作るか。
「利昌、お前は騎馬隊二百を率いて敵の裏側を突け。あくまで敵の注意を他方に向けさせることに集中せよ」
俺は元服して前田家の當主となった前田利昌に命じた。騎馬の扱いなら利昌が一番だからな。俺?騎乗したら馬上で戦うことは無理だ。怖い。
「ははっ!了解しました!では、直ぐに言ってまいります!」
利昌はそれだけ言うとあっという間に本陣を出て騎馬隊を率いて出陣していった。…いくらなんでも早すぎだろ。
「殿、そろそろ敵も見えてくるでしょう」
そこへ通安がそう進言してきた。確かに敵の速度は分からないがすぐに見えてくるだろう。
「皆の衆、これが織田弾正家の命運を左右する戦と心得よ!」
「「「「「おおぉぉぉぉぉぉっ!」」」」」
「殿、敵は城外で迎え撃つようです!信秀が本陣に見えました!」
勝幡城へと進軍する織田信友は斥候からの報告を聞き口角を上げた。
「信秀め、城に籠っておればいいものを。敵の數は?」
「はっ!大よそ千五百です!」
「千五百?たった千五百か?…ふ、フハハハハハ!甚介よ!聞いたか!?たかが千五百で挑むなど愚かでしかないわ!」
信友は自の勝利を確信して笑うが隣にいる重臣坂井甚介は表を変えずに言う。
「殿、敵を侮るのは勝利を逃す事でしかありません。戦は最後まで何が起こるか分からないのです。気を引き締めなければ」
「全く、お主はいつも固いのぉ。しは喜べばいいものを。二倍の兵力を誇る我らが負けるわけがなかろうて」
信友は甚介の言葉に耳を貸さずに笑い続ける。その様子を甚介は呆れながら見ていたが用心のために兵に警戒するように伝える。信友の無警戒によって命を落としていられないからだ。他の家臣たちも信友の目を盜んで兵に警戒を怠らないように指示を出している。
織田達勝の後を継ぎ當主となったが彼自は子のいない達勝の養子となって継いだに過ぎない。達勝のの繋がらない、ましてや無能の暴君に心から忠義を盡くすものは誰一人としていなかった。しかし、寄らば大樹の影と言う言葉がある通り清州織田家は尾張では十分な影響力を有している。これの元に人々が集まるのは當然と言えた。
織田信友は自が名目上の大將でしかないと分かる事は死ぬまで分かる事は無かった。
6/15発売【書籍化】番外編2本完結「わたしと隣の和菓子さま」(舊「和菓子さま 剣士さま」)
「わたしと隣の和菓子さま」は、アルファポリスさま主催、第三回青春小説大賞の読者賞受賞作品「和菓子さま 剣士さま」を改題した作品です。 2022年6月15日(偶然にも6/16の「和菓子の日」の前日)に、KADOKAWA富士見L文庫さまより刊行されました。書籍版は、戀愛風味を足して大幅に加筆修正を行いました。 書籍発行記念で番外編を2本掲載します。 1本目「青い柿、青い心」(3話完結) 2本目「嵐を呼ぶ水無月」(全7話完結) ♢♢♢ 高三でようやく青春することができた慶子さんと和菓子屋の若旦那(?)との未知との遭遇な物語。 物語は三月から始まり、ひと月ごとの読み切りで進んで行きます。 和菓子に魅せられた女の子の目を通して、季節の和菓子(上生菓子)も出てきます。 また、剣道部での様子や、そこでの仲間とのあれこれも展開していきます。 番外編の主人公は、慶子とその周りの人たちです。 ※2021年4月 「前に進む、鈴木學君の三月」(鈴木學) ※2021年5月 「ハザクラ、ハザクラ、桜餅」(柏木伸二郎 慶子父) ※2021年5月 「餡子嫌いの若鮎」(田中那美 學の実母) ※2021年6月 「青い柿 青い心」(呉田充 學と因縁のある剣道部の先輩) ※2021年6月「嵐を呼ぶ水無月」(慶子の大學生編& 學のミニミニ京都レポート)
8 193【電子書籍化】退屈王女は婚約破棄を企てる
☆2022.7.21 ミーティアノベルス様より電子書籍化して頂きました。 「婚約を破棄致します」 庭園の東屋で、フローラは婚約者に婚約破棄を告げる。 ほんの二週間前、「婚約破棄してみようかしら」などと口にしたのは、退屈しのぎのほんの戯れだったはずなのに――。 末っ子の第四王女フローラは、お菓子と戀愛小説が大好きな十五歳。幼い頃からの婚約者である公爵家の嫡男ユリウスを、兄のように慕っている。婚約は穏やかに続いていくはずだった。けれど、ユリウスが留學先から美しい令嬢を伴って帰國したその日から、フローラを取り巻く世界は変わってしまったのだった――。 これは、戀を知らない王女と不器用な婚約者の、初めての戀のお話。 *本編完結済み(全20話)。 *番外編「婚約者は異國の地にて王女を想う」(全3話)はユリウス視點の前日譚。 *番外編「『綺麗』と言われたい王女と『可愛い』と言いたい婚約者」(全3話)は本編から約2ヶ月後のフローラとユリウスを描いた後日譚です。
8 132骸骨魔術師のプレイ日記
全感覚沒入型VRデバイスが一般的に普及した未來。このデバイスはあらゆる分野で利用されており、それはゲーム業界でも同じである。人々はまるで異世界に迷いこんだか、あるいは近未來にタイムトラベルしたかのような経験が可能ということもあって、全世界であらゆるジャンルのVRゲームが飛ぶように売れていた。 そんな好調なVRゲーム市場に、一本の新作タイトルが舞い降りる。その名は『Free Species World』。煽り文句は『あらゆる種族に成れるファンタジー』であった。人間にも、獣にも、はたまた魔物にも成れるのだという。人型以外の姿を取ることが可能なVRゲームは世界初であったので、βテストの抽選は數千倍、製品版の予約は開始一秒で売り切れ狀態となっていた。 これは後に社會現象を起こす程に大人気となったVRゲームで悪役ロールプレイに撤し、一つの大陸を支配して名を轟かせたとある社會人のプレイ日記である。 ◆◇◆◇◆◇ GCノベルス様から書籍化致しました。書籍版のタイトルは『悪役希望の骸骨魔術師』です!
8 92名探偵の推理日記〜君が消えれば〜
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8 50最強転生者の異世界無雙
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