《異世界戦國記》第二十一話・真相

ふう、無事に撃退できてよかったよ。開戦當初はびっくりさせられたな。誰が予想できるか!あんな規格外!おかしいだろ!神異常者なのか!?氏興は!…ま、まあ。信康が見事倒してくれて助かった。出て言った時は冷や冷やさせられたが無事でよかった。

「殿、今川氏興を連れてまいりました」

「分かった」

俺はそう言うと顔面を包帯で巻かれた氏興と対面した。本來なら敵大將として首を取るべきなのだが殺すには惜しいし怖い。首を切ってもきそうなんだよな此奴。

「…貴様が…信秀か…」

「そうだ」

氏興は両手を縛られ俺との距離をし開けていながらしっかり両の目をこちらに向けてくる。…ここからじゃちょっとしたホラーではあるが。

「…程、信康が言っていた通りひ弱そうだな」

おい、ひ弱ってなんだよ。確かに俺は武勇は全くと言っていいほどない。でもひ弱と言われるほど筋力がない訳ではないぞ。第一、氏興基準で言うならほとんどの人がひ弱にるぞ。

「…それで?俺はどうなるんだ?やはり死罪か?」

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「いや、まだ決めてはいない。全ては那古野城に監されている者たちを解放してからだ」

実際の所氏興をここで殺してしまっても良かったが相手は腐っても那古野今川家の本來の當主だ。敵対しているならまだしも仲良くしている氏の一族を殺すのは気が引けた。それにこいつを使えば那古野城に無城出來るかもしれないからな。

「…俺に那古野城の兵を説得しろと言いてぇのか?」

「…まあ、そんなところだ」

おいおい、こいつが良すぎないか?やはり氏興はかなり有能だな。信康が抑えてくれて良かった。

「殿、秀敏様の騎馬隊が到著しました」

「分かった。騎馬隊を吸収して那古野城に向かうぞ」

俺はその様に指示を出し軍の再編を行って那古野城へと進め今では見慣れた那古野城が見えてきた。城下町は賑わいを失い人が誰一人としていないゴーストタウンのようになっていた。全く、やはり謀反と言うのはこうまで変えてしまうのか。いや、戦が起こるから避難したのかもしれないし氏興が邪魔だから追い出したのかもしれない。

「…俺は何もしていないぞ。城下町の人間はみんな氏を慕っていたからな。殆どの町民が四方へ逃げていった」

が慕われていたというより狂気の氏興を恐れて逃げたという方が正しいような気がして來るよ。まあ、口に出して言わなかったが。

「さて、那古野城に今はどのくらい兵士がいるのかな」

「…大よそ千だな」

氏興は質問していないのに答えてくる。と言うかいつの間に俺の隣まで來ているんだ?俺の後ろにいたはずなのに。そう思い後ろを見れば後ろへ下げようと四苦八苦している兵の姿があった。…氏興を拘束するのは難しいのかもしれないな。意外と大人しいだけでその気になれば逃げだせそうだし。

「いい、氏興はこのまま連れていく。逃げるなよ?」

「はっ、今更何を言い出すんだ?俺がその気ならお前の首はと別れ信友の所へ送られていただろうな」

「…やはり信友に呼応したのか」

「まあ、今更黙る必要もないがその通りだ。し前から信友の使者とあっていた。氏に謀反を起こし信秀をとらえることが出來たら正式に那古野今川家の當主となることを認め信秀、及び藤左衛門家の領地を切り取り自由とすると言ってきた」

「…そしてそれに従い謀反を起こしたわけか」

「俺としては戦えればそれでよかったが氏の奴は俺を戦場に出させなかった。だから俺は信友の話に乗ったのだ」

つまり戦場に出る事さえ葉えばこのような事にはならなかったわけか。とは言え氏も氏興を勝手にさせる訳にはいかなかっただろうからな。

「だが、戦に出て俺は負けこうして敵の総大將と話をしている。人生とは分からないものだな」

「…それについては同意するよ」

俺も気が付きゃこんな世界に転生しているんだからな。ほんと、人生は何が起こるか分からないよ。

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