《異世界戦國記》第三十五話・籠城
「殿!信友軍が見えてまいりました!」
最近小姓とした柴田権六の報告をけて俺は本丸の館から外を見る。確かに東の方から黒い影がこちらに近づいてきているのが分かる。俺は権六を含めた小姓たちに指示を出していき最終的に一人となる。
「…稲沢城の方はどうなっている?」
「…手筈通り進んでおります」
勿論俺が一人になる筈もなく天井裏には忍びが潛んでいて逐一報告をくれる。因みに俺が伊賀から雇いれることに功したのは五十人ほどだ。十人ほどが中忍で殘りは下忍らしい。流石に上忍は無理だったがそれでも今の狀態なら人では足りている。後は実際の仕事環境を伊賀に報告してもらいより親な関係を築いていきたいが今は目の前の事に集中しよう。
敵は速攻で落とすつもりの様で本陣だけ整えると直ぐに攻城戦に突してきた。俺たちは無難に弓などで近付けさせないように迎撃していくがそれだけでは距離を簡単に詰められ城門への攻撃を開始し始めた。
とは言えこちらも焦る必要はない。信友軍が來る方向にある門にはあいつを配置している。
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「ぎゃぁ!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「ひ、ひぃ!た、助けてく…!」
突如として門の方から悲鳴が聞こえ本丸館からも信友軍の足軽が恐怖で顔を歪めながら城とは反対方向に逃げていくのが分かる。
「おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!もっと歯ごたえのあるやつはいねぇのかぁ!?」
それと同時に氏興のび聲が聞こえてくる。…やはりあいつは人ではないな。刀を振り回しながら信友軍を追いかけていくよ。本當に味方にしてよかった。
「これなら氏興一人で信友軍を撃退できそうだが…」
余りあいつ一人に活躍させると他の者の活躍の場がなくなってしまうな。今後はなるべく控えさせるか。
しかし、流石の信友軍も対応してきて氏興を避けて再度城を攻撃してくる。今度は氏興がいた東門だけではなく南北の門も攻撃してくる。流石に分散されると対応が追い付かないがそれはほぼ兵數が一緒の信友軍も一緒だ。そろそろ氏興を戻そう。これ以上は敵に袋叩きにされそうだからな。…と言うか既にされつつあるな。槍で突いてくるものは槍をへし折り刀なら刀を折り弓なら避けて…、まだまだ大丈夫そうだな。
「殿、稲沢城の兵が到著しました」
忍びの報告に俺は南側を見る。確かに煙を立てながらこちらに向かってくる軍勢の姿がある。流石は忍び。稲沢城の兵の進軍すら簡単に防諜出來るか。稲沢城の兵五百は雄たけびを上げながら城南部を責め立てる信友軍の後方に襲いかかった。來るはずのない敵の援軍、北としてもだいぶ先のはずの軍勢に信友軍は一気に混に陥る。南部の兵は散り散りとなり五百の兵は城から出てきた兵と合流して東門にちらほらいる敵兵に襲いかかりそのまま氏興の援軍へと向かった。それと同時に信友軍の本陣は後方へと下がりだし北門を攻めていた兵は城から出てきた兵を撒き氏興の救出に向かった兵の後方に襲いかかる。敵もそう簡単に士気が砕け散るわけではないと言う事か。とは言え勝敗は決した。
後方から攻めた兵も力盡きたり逃げ出したりし始め途中からずれて撤退していった。それを確認した俺は右手に作った握り拳を天に突き上げてんだ。
「我らの勝利だ!勝鬨を上げよ!」
「えい、えい、おぉぉぉっ!」
信秀のびを聞き兵士たちは勝鬨を上げた。こうして信友軍を退けた俺は更に進軍を進めるのであった。
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