《異世界戦國記》第五章・加納口の戦い 第六十七話・5年の時

俺は20歳となった。この5年で的にも神的にも大きく長したと思う。聲はすっかり大人の聲となり総大將としての威厳がついてきたと思う。

織田家は大きく変わってきている。利昌と権六は俺の小姓から兵を率いる侍大將として活躍している。清州織田家は滅亡し清州城は尾張守護斯波義統の居城となった。殘った領地は俺預かりとなり領土は更にデカくなった。既に伊勢守織田家巖倉織田家を超える領土と影響力を持っているが彼らは従う気は無いらしい。信康は斎藤家に備えるためにボロボロだった城を改修しそこを拠點に北部の守護を行っている。孫三郎、織田信となった弟も俺の補佐としていている。蹴鞠を習わせたせいかそう言った文化好きとなったが公家との渉や接待では役に立つため咎めたりはしない。

俺の織田家は信友の死や尾張の大半を領有するなどの理由から斯波義統より織田宗家として認められる事となりその影響力や権威を大きく増す事となった。今は従わない伊勢守織田家巖倉織田家も近いうちに頭を下げる事になるだろう。

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そんなじで織田家の拡大と新たな家臣や親族が活躍している中、外でもきがあった。濃では土岐家が滅亡一歩手前の狀況にまで追い込まれており斎藤家がほぼ手中に収めていた。三年前辺りから土岐家から救援要請が何度も飛んできたが一度も答えた事は無い。何しろ信友と戦っていた時に攻めて來た事を謝罪していないからな。それを伝えたら「過ぎた事をぐちぐちと……!」と使者が逆切れしたので答える必要はナイなと思っている。

三河では清康の息子広忠が松平家の家督を継いだが清康が急速に勢力拡大をしたせいで松平家は空中分解した。松平信定が後見人を務めていたが今は今川義元に従屬している。今川義元は北條家から奪われた領土を取り戻し同盟を結んでいた。駿河の北部にある甲斐を領土とする武田家とは同盟を結んでいた為今川義元は東側に敵がいなくなっていた。そうなれば必然的にこちらに攻めてくるのは目に見えていた。

松平家を従屬させ三河を手にれた今、今川義元が何時攻めてきてもいい様に備える必要があった。今川家の員兵力は5萬を軽く超えているだろう。流石にうちでもそこまでの兵を用意するのは難しかった。故に、信繫には國境部に砦を築き今川家の襲來に備えてもらっている。

伊勢は相変わらず北部と中部は中小大名が立している。とは言えもうこちらに兵を向ける余力はないようだがな。北畠家も派兵した六千のうち半數に及ぶ三千の兵を失っていて伊勢における影響力を大きく喪失していた。五年前のように伊勢の國人衆を率いてこちらに攻めてくることはないだろう。

そして、織田家最大の同盟國水野家は知多半島を統一した。これで水野家は南、藤左衛門家が東を擔當し北と西を織田家が擔當する事となった。

「三郎様!」

「雪……」

俺が勝幡城の庭を眺めていると雪がやってきた。五年前とは違い子供っぽさが消えて大人の魅力あふれる人に長している。そして、そのお腹には俺の第一子が宿っている。分かったのは半年前で今は安定期にっているようだ。たまに部屋から出て歩いていたりする。

「また日向ぼっこですか?」

「ああ、ここはとても気持ちが良いからな」

「確かにそうですね」

雪はそう言うと隣に座る。今となっては定位置と言っていい俺の隣。俺は雪の手を握る。ピクリと反応した雪は抵抗する事無くれ優しく握り返してくる。これだけで俺の心は晴れやかなとなり今日一日の気力があふれ出てくる。とは言え、それを発揮するのはもうし後の事で今は二人で穏やかな時を過ごすのだった。

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