《異世界戦國記》第八十七話・加納口の戦い13
長良川から撤退し、南側へと逃れてきたわけだがそれを狙ったかのように俺の軍勢は稲葉山城から降りて來た斎藤家の兵に奇襲をけた。日が登りかけていた事もあり敵のきはギリギリのところで察する事が出來たものの、佐藤忠能と戦ったばかりの兵は劣勢であった。敵は指揮の腕がいいのか士気が高く俺たちを倒そうと襲い掛かってきている。
「殿! このままここに留まるのは危険です! 撤退するなり味方と合流するなり選択した方がよいと思います!」
「そうだな。味方との合流を図る、と言いたいところだが今からでは無理だろうな。誰か伝令を出せ。味方に伝えるのだ。稲葉山城から撤退すると」
「っ!」
稲葉山城からの撤退。それが何を意味するのか。そんなものは言った俺が一番分かっている。濃侵攻の失敗。多大な犠牲を出し織田家は危機に陥るだろう。もしかしたら斎藤家からの逆侵攻をけるかもしれないし東國の今川がくかもしれない。
「急げ。手遅れになる前にしでも力を殘して撤退するんだ!」
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「は、ははっ!」
「きけぃ! 我らは撤退する! 敵と戦っている者は敵を抑えつつ隙を伺え! 後方は先方が逃げられるように弓で援護!」
俺はすぐに指示を飛ばす。この狀況でどこまで聞こえているかは分からないが指揮には伝わっただろう。あとは現場の判斷に任せるしかできない。
「殿! 長良川を渡河した佐藤忠能はこちらには向かわずに信康様の後方をつくきを見せています!」
「くっ! そちらに行ったか……。信康は?」
「わかりません。ですが敵の大將と戦っていたようでいまだに稲葉山城の外で軍勢同士……」
外にいる以上こちらか信康が標的にされると分かっていたがこれは本當に危険な狀態だな。このままでは全滅する可能も高いか……。
「最悪、斎藤家が尾張に逆侵攻する可能も……」
「殿! 稲葉山城より軍勢が!」
「なんだと!?」
伝令の言葉に俺は新手かと構える。ここで新手が現れるようなら俺の命は危ない。敵の方が數が劣っているゆえに何とか保っている狀態なのにそれが覆れば後は坂道を転がるように決著がついてしまうからな。
しかし、稲葉山城から出てきた兵たちが掲げる旗を見て俺は安堵した。その兵たちは織田家の家紋と二つ両引の家紋が掲げられていた。織田家の家臣、林道安の軍勢だ。彼らは斎藤家の兵を後方から強襲したがそれを事前に察知していたのか本陣はわずかな兵とともに北に逃亡していった。
「殿! ご無事ですか!?」
「道安……。俺は大丈夫だ。そちらは?」
「無事、と言いたいですが私よりも……」
俺と合流し、やって來た道安は後ろに視線を向けた。彼の視線の先には傷だらけの権六の姿があった。よく見れば権六の周りには彼の家臣たちが一様に傷だらけの姿でいた。大半が権六以上に重傷のようで自力で立てないのか兵士に支えられている者ばかりだった。それだけで権六の兵士が強敵と戦ったのがうかがえた。
「稲葉山城は地獄です。水野忠政殿、信元殿両名共に行方が分かっておらず、権六は見ての通り傷を負っています。土田政久殿も水野家より右側に展開していた為現在どうなっているのかは分かりません」
「そうか。山口達は?」
「佐久間信晴の方向に撤退したのを見ましたが撤退というより壊走と言った方が良い狀況でした」
「分かった。となると現狀では道安、お前の軍勢以外だとまともな兵は我が織田家に殘っていないという事だな」
「……そう、なりますな」
俺の自嘲気味な言葉に道安は歯切れ悪く同意した。権六はやられ、佐久間・山口達は壊走。水野家は行方不明、土田政久は向不明。信康は敵と戦っている。自由にけるのは本當に道安の兵のみとなってしまった。夕方までは、稲葉山城の陥落まであとしだと思っていたのに、たった一度の奇襲で全てをひっくり返された。
きっとこの損害を取り戻す事は不可能に近いだろう。濃に攻め込む事は當分は無理だな。もしかしたら二度と踏みる事など出來ないかもしれないな。
「殿……」
「道安。元気な兵を集めて信康を迎えに行ってはくれないか? 信康は前後から挾撃をけている。助けられるようなら助けてくれ。だが、無理だった時は……」
俺はこの時、一どんな表をしていたのだろうか?
「……見捨ててくれ」
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