《異世界で始める人生改革 ~貴族編〜(公爵編→貴族編》第3話 転生についてのメリット、デメリット
違った。即答だった。恥ずい。死にたい。(もう死んでるけど)
「言い忘れていたが我はお前に微塵たりとて同していない」
恥ずかしさに悶えている俺に神様はそういった。
(えっ? そうなの?)
「うむ」
(だから頭の中を読むのマジでやめてください!)
俺の懇願を無視し、神様はこう言った。
「たかだか2人の命を救った程度でわざわざこの我がその手で異世界に転生させるわけないだろ。お前にとって「二人も」かも知れないが、お前より多くの人の命を救った人間の數は數えればキリがない。もちろん、我は數えられるが。
例えば外科醫。
ガンなどは放っておけば死に至る可能の高いものだ。
では、その外科醫はお金をもらっているとはいえ、人の命を百、人によっては千、一萬に達する數を救っている。
その全員が満足した人生、納得のいく死に方だと思うか?
そんなわけないだろ。
では、わざわざ彼らが納得するような場を我が整えねばらぬのか? 違うだろ? それが人生というものだ。
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故に二人救ったからという理由でお前をここに呼んだのではない。
同もまた同様の理由だ。
お前より多くの人の命を救って、お前よりよっぽど不憫な人生を送った人間も數えればキリが無い。
故に神はお前に微塵も同していない。と、言うより、この世のすべての人間に等しく同などしない。これもまたキリがないからだ。
因みにお前が救った子高生だが、お前が助けなかった場合二人が即死、一人が、跳ねられた二人のがクッションになり事件から二三日後に目覚める意識不明の重で、最終的には助かる予定だった。
故に助けた命の數は二だ。
では、お前をここに呼んだ理由を詳しく説明しよう。
お前の様に人の命を救った直後に死んだ人間はたくさんいるが、お前の様に救った事を全く気にせずに自の死を嘆くだけで終わった人間はそうそういない。ゼロでは無いがな。
だが、そこにお前の様な人生経験を合わせるとこれはきっかり一になる。
つまりお前だ。
この者の人生をもう一度やり直させたらどの様になるのかが非常に興味がわいてきた。
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故に我はお前を呼んだ。ここまでのところで質問はあるか?」
「――ない、ですか、ね。」
(別に無いよな? 言い方はともかく、納得はいく話だ。異世界転生の話のインパクトがでかすぎて、ぶっちゃけ話半分にしか聴いてないけどな)
俺に異世界小説の主人公並みの勇気とふてぶてしさがあったら、「そんな事はどうでもいいから異世界の説明を早くしてくれ」と、言っていただろう(そして消されていただろう)。
「うむ。ではリクエストにお答えして異世界の話をしよう。」
「……」(もう何も言うまい……)
「お前が転生する大陸の名前はオルシオン大陸という。
そこには大小八十を超える國々があり、今なお世界中の國々が大なり小なりの戦爭をしていていつ爭うのかわからない迫した狀態が続いている。
解りやすく言うと、昔の戦國時代の日本のような狀態だ。
夜も眠れないというほどではないが悠長にもできないといったじだな。
そこで我はお前に幾つかのスキルと魔法の才能を授け転生させたいと思う。
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オルシオンではかなり珍しいスキルなども含めてな。スキルの容について転生してからのお楽しみにさせてもらおう。
質問はけ付けるが、基本的には転生して自ら學べ。
本の普及率は日本よりはるかに悪いが、無いわけではないし、でなければ人伝にでも頼れ」
と、堂々と言い切った。俺は張しながらも、
「は、はい! 畏まりました!
では早速質問の方をよろしいでしょうか?」
「うむ」
「まずは魔法についてなのですが、授ける? ということはどういったことなのでしょうか?」
他にするべき質問があったが、一番気になった部分をつい先に聞いてしまった。やっぱ、聞くならまず魔法の事だろう。
「ノーコメントだ」
出だしからノーコメントをもらってしまった。
(ふむ、何となくだけど、言葉から察するによくある魔法を使う才能が必要ってことかな?)
仕方がないので自分で予測する。
「では、次に人口はどのくらいですか?」
「ノーコメントだ」
「では、他に転生者などは?」
「ノーコメントだ」
「では、レベルの上げ方は?」
「ノーコメントだ」
(ノーコメントばっかりだな……)
四連ノーコメントを頂いてしまった。
「我はお前に楽をしてしいわけではないからな、さっきも言ったが基本的に自分で調べろ」
「わかりました。では、次の質問ですが、異世界転生をするにあたってメリットとデメリットについてのご説明をお願いします。」
「うむ。もっともだな。では、メリットから説明する」
とやっとまともに質問に対する返答が來た。
「まずはやはり何と言っても人生を、やり直せることだな。
我は、基本的にお前がその世界で何をしようと干渉しない。
お前が現代日本の技をあちらに持って行ってパワーバランスを々にしたとしても何か行を起こす気はない。
我が與えたスキル群と魔法を駆使して、前世でできなかった事をするも良し、守りたいものを守るも良し、自由気ままに旅するも良しだ。
また逆に、大陸に知らぬものがいなくなるほどの殺人鬼になるも良し、力でねじ伏せを犯すのを生き甲斐にするも良しだ。
悪い事をしたら死後、淡々と地獄に落としはするが、生きている間に我がお前の行を止める事はない」
(後半はやらないだろうな。多分分かってて言っている。俺の人生を端から端まで見たなら尚更だ。後、話から察するに前世の記憶はそのままみたいだな)
「次に、今回は我が直々に手を加えるからな、普通に転生するよりも生きる上での選択肢が多い。簡単に死なれても困るしな。
後は、そうだな……お前、何の階級に生まれたい?」
「?」
(話の途中で質問をしてくるの、本當にやめてほしいっす。話を必死に理解しようと頭フルで使っているんで……)
「階級だよ、王族、貴族、平民、奴隷の中から好きなもの選んでいいぞ」
(奴隷がいるんかい‼)
相変わらず説明不足な方である。
「ど、奴隷はちょっと無いですかね〜……」(明らかに人生ハードモードになるのが目に見えている)
「案外楽しいかも知れないぞ? 奴隷からのり上がり。なくとも気になるジャンルではあるのではないか?」
「た、確かに」(ジャンルって! それは小説の中の話です‼ 現実は小説の中よりも遙かに厳しいのです‼
だからと言って特になりたいものもないな~。
死亡率が一番低いのは、やっぱり王族だろう。
だけどそれだけはない! 斷じてない! 俺の言葉一つで國がくなんて考えただけで吐き気がする。しかも宰相とかにクーデターを起こされるのが目に見えている。それなら、奴隷の方がまだましじゃね?
貴族は位によるな〜、平民は児の病気が怖い。その他にもいろいろ危険がある。でもそんなこと言っても始まらんしこの際そこんとこのリスクは無視で。王族以外なら何でもいいな)
心の中で結論が出たところで返事をする。
「では、王族以外で神様のオススメでお願いします。」
「……うむ。分かった。メリットはこれくらいだな。後は自分で探せ」
(あれ? 今、間がなかった? 気のせいか?)
「ない」
「いや、ない人はないって言いません」
(あったんじゃねーか‼ 怖い! 何かある! これは絶対何かある!)
だが、変更をお願いしようとしたら、
「次にデメリットについて話そう」
次の話題に無理矢理突してしまった。
「異世界転生する上でのデメリット、まず一つ目はお前が天國行きのチケットを手放す事だ」
「えっ⁈ 俺天國行けるんすか⁈」
今さっきの事も忘れ、突然の「貴方は天國行けます」宣言に驚く。
「うむ、先程はたった二人とは言ったが、それでも人の命を救った事には変わりはない。
それにお前は事あるごとに小さいが善行を積んでるしな。
逆に偶に人を馬鹿にしたり見下したりするところがあり、小さいマイナスは多々あるが、人の命を救ったことと比べれば些細な問題だ。
故にお前は天國に行ける。
異世界転生するならこれらのポイントをすべてリセットし、一から善行を積む必要がある」
「……」
口が開いたままポカンとしていた。
俺は電車で立っているご老人がれば必ず席を変わるし、迷子の子供を警察のところに連れて行ったこともある。確かに本當に小さい出來事だがその回數は百はいくだろ。
いわゆる塵も積もれば山となるという奴だ。
(なるほど……天國行きのチケットを破り捨てての異世界転生直通列車と言うことか……)
「二つ目に、いい事ばかりとは決して限らないという事だ。前世よりもよっぽど酷く納得のいかない死に方をする可能もあるという事は念頭にれておくことだ。
我はお前に幸せになってしくて異世界に送るわけではないからな」
そう言われてハッとする。
(そうか、そうだよな……不幸になる可能だって十分あり得る。
天國行きのチケットを破り捨ててまで異世界に行ったのに世界に絶して終わる可能は十分あるわけだ)
「どちらでも構わんぞ? 我の楽しみが一つ減るというだけだからな。
お前が「そんな危険な橋なんか渡れるか!」と、言うのであればそれで構わぬ。強制はしない。
もしくは「神の楽しみの為に遊び半分で送られてたまるか」と、言うのであればそれで構わぬ。
ただ、一つ言わせてもらおう。我は別に人が苦しんでるところを見て楽しむ癖は無いということだ。
不幸にしようとは思わぬ。ただ野に放った以上は手を貸さないだけだ。
あくまでも目的は知的好奇心の部分が多いからな」
(どうしようか……)
危険な橋だ。頭から信じるのはマズイ。だが、俺一人を騙すためにここまで大掛かりなことをするか? と、考えると言っていることは信じてもいいのではないかと思う。
そう悩んでいる俺に神様は追い打ちをかけてくる。
「お前は天國行きが確定している」
「?」
(突然なんだ?)
唐突な言葉に俺が固まってしまっていると、次の瞬間、衝撃的な言葉を神様が口にした。
「お前、確か貞だったな?」
「グハァ‼」
知っているのは當然なのだが、面として言われると結構傷付く。
(そうだ……。俺、貞だったわ……。天國ではもうしでいいから積極的にいての子と付き合いたい。そしてあわよくば……)
そんな不埒な妄想をしていた俺に神様は衝撃的な一言を添える。
「お前のみは葉わないぞ? 天國ではやれないからな。必要が無いからたない」
「な! なん、だと……。そ、そんな、じゃ、じゃあ俺は……」
とあまりの衝撃的事実にショックを隠せない。
「うむ。貞のまま天國にいった奴はそのまま魂ある限り一生貞だ。
即ち貴様は天國で永遠と「えっ? 貞なの? そうか……ドンマイ!」という生暖かい目線をけて過ごさなければならないのだ‼」
今までで一番いい聲で神様はそう言い放った。
「――行きます」
の涙を流しながら俺はからそう絞り出した。
「えっ? 何て?」
「異世界転生します! 是非とも転生させて下さい‼」
若干イラっとくる出來事がありながらも俺は異世界転生を決意した。
「うむ、うむ。そうかそうか。では異世界転生させてやろう。最後に何かあるか?」
「産まれてすぐ死ぬというのだけは勘弁してほしいです」
それは流石に無い。死んでも死に切れない。
「よかろう。そこだけは我も便宜を図ろう!」
「失ったもの、無くしてしまった、手にれられなかったをその手に摑むがいい。
では、良い人生を」
最後に今までとは比べにならないほど優しい聲が聞こえ、俺の目の前は真っ白に染まった。
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