《異世界で始める人生改革 ~貴族編〜(公爵編→貴族編》第93話 一人じゃダメ
案された天幕に連れて行かれシバかれてしまった。
「どうしてあんな事したの!」
とか、
「凄く恥ずかしかったんだから!」
とかを延々と言われてしまった。
そんな時間が二十分ほど続き、やっと怒りがおさまったのか、
「フゥ……、今度からはちゃんとしなさい!」
と言って締め切った。
そうすると、この天幕という場所でとある違和にあっさりと気付いてしまった。
そう、俺のフードと仮面である。
「ねぇリドル。何でまだフード被ってるの?」
あどけない表で俺にそうきいてきた。
先程の怒りの表もどこへ行ったのやら。
「……恥ずかしい」
そう呟く俺に対してまたしてもあどけない表で聞き返してきた。
「え?さっきはあんなにんでたのに?」
「う……」
そう言えばそうだった。
あんな風にんでた奴が恥ずかしいもクソもない。
まさかこんなところで響いてくるとは……。
仕方ないので誤魔化すことにする。
「仮面を取るのは恥ずかしいので」
「じゃあフードは?」
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「フードもちょっと……」
「むうぅ……」
二度ほど斷ったらむくれてしまった。
そんなこと言われても外せないものは外せない。
ターニャさんはまああの時はあの手を使わないと泥沼の論爭になると思ったからだ。
まあそれは置いておくとして、今顔見せたら、あれ、さっき會った人と顔似てない?となってしまう。
俺がそんなことを考えている間もリリーは話しかけてくる。
「ねぇ、ちょっと、ちょっとだけ顔見せて?」
指をちょっとだけ開きながら頼んでくる。
「嫌だ」
「むうぅ……」
普通に拒否したらまたもやむくれてしまった。
隠されたら余計知りたくなるのだろう。わかります。
でもダメ。
頼まれてもダメなものはダメなので天幕のハジに行き、橫になり神眼でお父様の様子を見る。
正確にはお父様とターニャさんのやりとりを見る。
変にこじれてはいないはずだ。
さっきの俺のおふざけをカバー出來る程の話はお父様にある筈だ。
上手くいっていると信じたい。
しかし神眼を飛ばす途中、ターニャさんが急ぎ足でこちらに戻ってくるのが見えた。
顔は……なんとも言えないな。
特に険しいわけでもないから大丈夫だろう。
ターニャさんのの進行方向とは逆の方に眼を飛ばしお父様の天幕の中を見る。
お父様は天幕の中で一人、椅子に座り腕を組みジッとしていた。
だが機の上には紙が置いてあり、そこには「ちょっと來い」と書いてあった。
「……」
俺に、だよな?
そんな連絡方法あります?
いや、呼ばれた以上は行くけどさ。
忍者じゃないんだから機の上に紙を置いたら來るって確信しないでほしいよ。
仕方なく重い腰を上げてお父様のもとに向かおうとする。
だが、
「え?リドル!どこ行くの!勝手にお外に出ちゃダメ!」
とリリーに怒られてしまう。
「おトイレ行きたい」
「んもうー、仕方ないなぁ、お姉ちゃんが一緒について行ってあげる!」
(……誤魔化す為に噓をついたのだが変な方向に転がった)
「いえ、一人がいいので。
一人でしたいから……」
なおも拒絶する俺にリリーはなおもグイグイくる。
正直言うとこういうの子は苦手だ。斷る事が申し訳なくなる。
たがしかし、そんな俺のお願いも虛しくリリーは泣きそうになっていた。
「ダメなんだよぉ、一人でいちゃダメェ……」
(えぇー……)
何か深い事がありそうだ。
「何かあったのですか?」
きっと王城から逃げ出す時に何かあったのだろう。
近付いていき、顔を抑えて座り込むリリーに聞いてみる。
するとしゃっくり混じりに呟き出した。
「お兄ちゃんが……妹を探すって言って、帰ってこなかったのぉ……」
暫く話を聞いていたが泣き疲れたのかその後すぐに寢てしまった。
要するにリリーには五歳年上の兄ともう一人腹違いの同年齢の妹がいたらしい。
偶々その兄とリリーとルナとターニャさんの四人でいた所、異変に気付いた兄が外への城の抜け道近くまで彼達を案した。
「指定した時間まで僕が帰って來なかったら妹達は任せました」
そうターニャさんに告げ、もう一人の妹を捜しに行ってしまいそのまま戻って來なかったらしい。
だから俺が出て行ったらまた戻って來ないかもしれないと心配しているのだろう。
外に出るとターニャさんが出り口の橫に立っていた。
「……」
「……」
暫く二人の間に沈黙が流れる。
「ええっと…」
沈黙していても仕方がないので俺の方から切り出す。
「彼達はまだ子供ですからしょうがないと思います」
時間が來た時、ターニャさんはリリーとルナを問答無用で抱え込み隠し通路を走って森の小屋まで逃げた。
ターニャさんは正しい判斷をした。
だけどリリー達がそれを理解するにはしすぎた。
そういう意味で気を使って言ってみた。
だが、
「無用な気遣いです」
と言われてしまった。
(そうでっか……)
珍しく気を使ってみたのに、と思わなくもない。
まあいいけど。
そう思い、お父様の元に向かおうとすると……。
「お待ち下さい。リドル様」
ターニャさんに止められた。
「申し訳ございませんでした。
貴方様がオリオン家の子息様であるとロンド元帥直々に仰られておりました。
我が國がどれ程オリオン家に助けられた事か。
そうとも知らずあの様な失禮な態度をとってしまい誠に申し訳ございませんでした」
そう言って深々と頭を下げてきた。
(えっ、今?信じてなかったの?
んじゃなんで付いてきたんだよ……)
「いえ、それは別に構いませんが。
それなら何故付いてきたのですか?」
そう疑問に思う俺にターニャさんはこう答えた。
「ロンド様のお顔を昔何度か拝見させていただいたことがあったからです。幾度となく言われました。
彼への恩を忘れるな、と。
そのお顔に貴方様があまりにも似ておりました故付いてまいりました。それに頼る他に手段がなかった、というのもあります」
(なるほど……。
自分じゃよくわからないが顔似てたのか。このまま大人になっても似続ける事を切に願う)
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