《異世界で始める人生改革 ~貴族編〜(公爵編→貴族編》第99話 対ウィンガルド 後編
「グッ!?ウオッ!」
ウィンガルドは倒れながらも右手に持っていた刀を即座に左手に持ち替え、お父様の矛を防いでしまった。
だが、俺の支援魔法は勿論お父様にも掛かっている。ただ打ち合うだけなら力負けしない。
更に、予想外の攻撃によろけて踏ん張りの利かない狀態の所への攻撃だ。
ウィンガルドは刀を左手で持ったまま吹き飛ばされ、空中で立て直す事もせずそのまま地面に激突する。
俺の貫通は相手の魔法を吸収したり消したりするものではない。
ウィンガルドの鎧は健在だった為、地面に激突はしたものの、そのダメージはない様だ。
俺の矢はウィンガルドの肩を貫いた。刺さったのではない。
矢は奴を貫通した後、そのまま真っ直ぐに飛んで行って地面に見えなくなるまで埋まってしまった。
右肩からはかなりのが出ており、ほっといても死ぬんじゃないか、と思ってしまう。
だが、お父様はそんなに甘くなかった。
「殺せぇ!」
お父様自が駆け出しながら兵達にそう口で命令する。
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十萬軍で飛ばしたいと思えば喋らなくても指示を飛ばせる。
恐らくはつい口から出たのかもしれない。
周りの兵も慌てて、前に踏み出し、二歩目には仲間の仇を討つ怒りの形相となっていた。
だが、眼ではウィンガルドが見えなくなるほどポルネシア兵が集した瞬間、ウィンガルドの辺りを中心に飛沫が上がる。
(殺ったか!?いや!違う!)
一瞬殺したのかと思ったのだが、すぐさまのその言葉を取り消す。
明らかに上がっているの量が多過ぎるからだ。
「オオオォォォォォォーーー!」
その飛沫の中心には死の淵に立っているとは思えない程、猛々しく咆えるウィンガルドがいた。
右肩からは夥しいほどを流し、口からもが出ている。にもかかわらずその眼は爛々とり輝いていた。
そしてその眼は……俺の方を見つめている。
ギンッ!
一際その眼が輝いたと思うとウィンガルドは走り出した。
此方側に向かって。
「ヒヒィィーーン」
「うおっ!?」
堪らず俺の乗っていた馬が両足を持ち上げた。
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その拍子に俺はバランスを崩し馬の上から落っこちてしまう。
「やべっ!」
俺は空中でを捻り何とか頭からぶつかる事だけは防ぐ。
落ちている最中にお父様の「そいつを止めろぉぉ!!」と言う聲が聞こえた。
恐らく俺の方に向かってきているのだろう。
地面で若干よろけ、慌てて立ち上がり、ウィンガルドの姿を探す。
その間、僅か四秒。
そんな短い時間の間にウィンガルドは、目の前まで迫って來ていた。
右半をで染め上げ、穿れたその右肩をダランと垂れ下げながらもその眼はしっかりと俺を睨んでいた。
そして、そのに塗れた腳を更に踏み込もうとしたその時だった。
「行かせません!!」
「!!??」
後ろから追ってきていたランド隊長が俺に追いつき、ウィンガルドに槍を突き刺した。
真っ直ぐに俺に向かって走ってきていたウィンガルドが慌てて橫に避ける。
「リドル様、お逃げ下さい!私が時間を稼ぎます」
そう言ってランド隊長は槍を上段に構える。
だが、そう言われる俺はけずにいた。
「無理だ!ランド隊長こそ逃げて!そいつの狙いは俺だ!」
目の前まで來ているウィンガルドに揺し、素が出る。
俺とランド隊長の會話を止めたのはウィンガルドだった。
一言も喋らず、流れるようにを居合の構えにするとフッとその場から消えた。
「シッ!」
唐突にランド隊長が槍を前に突き出す。
だが、地をるようにその槍を避ける。
避けきれなかったのか左手で持っていた刀と槍がぶつかって火花が散る。
「死ね」
ウィンガルドがそう呟き、槍を避ける為に右側にあった刀をそのまま袈裟型に振り下ろす。
「ランドッ!」
キンッ!!
んだのは俺じゃない。俺はけなくも眼を閉じてしまった。切られる想像しか出來なかったからだ。
だが、振り下ろされる刀はランド隊長の首筋を薄く切っただけで止まった。
リサさんだ。
ランド隊長が俺を抱えた瞬間、一緒に撤退した筈だったのだが、いつの間にか戻って來ていたのだ。
剣士の心得により、リサさんの剣は折れにくくなっている。
更には、俺の一番近くにいるリサさんの持っている剣がそこらで売っているである筈がない。
だが、それはウィンガルドも同じ。
ランド隊長とは違い、俺にれていないリサさんのステータスは倍近くになっている。
しかもウィンガルドの腳の速さは先程とは比べにならない。
今までが全力じゃなかった?
否。
まず間違いなくステータス移を使ったのだろう。STR、その他のステータスをAGIに変えて。
結果、両手で剣を持つリサさんと片手で刀を持つウィンガルドの力は拮抗している。
だが、ウィンガルドが一瞬霞む。
「リサさん!!」
刃の輝きすら見えなかった。
その一瞬でランド隊長とリサさんが斬られた。
更にAGIを上げてきた。覗き続ける神眼で見たウィンガルドのステータスはギリギリのHP、更には殘存MPとVITの全てをAGIに振り分けていた。
死ぬ気で俺に突撃してきている。
俺は恐れた。
自覚悟で特攻をしてくるウィンガルドを。自分に狙いを付けて殺しに來ると言う現実を。
俺は咄嗟に手を前に突き出し、ありったけの魔力をつぎ込み防魔法を放つ。
「おおおおぉぉぉぉぉ!!!」
何を唱えたのかさっぱり記憶にはなかった。だが、前に出たのは風の防魔法だったことから風の防魔法を唱えたのだろう。
ウィンガルドは、その防魔法を叩き割ろうと上段から刀を叩きつける。俺の防魔法と奴の魔法が付與された魔刀がぶつかり、ゴゴゴゴゴゴという地鳴りのような音と共に俺と奴を取り巻くように暴風が渦巻く。
そして、その暴風の中、ウィンガルドの刀がゆっくりと、ゆっくりと俺の防魔法を貫いてくる。
怖かった。恐ろしかった。俺を殺すための刀が目の前にあり、それが俺を切ろうと近付いてくることが。
そんな俺の心の隙を見切ったようにウィンガルドは、突然、び聲をあげ、魔刀を振り切る。
「ウラァァァァーーー!!!」
パキンという音がした。
ブワッと猛烈な風が俺とウィンガルドの間に吹き、俺のフードが取れる。
目の前にウィンガルドがいない。
(勝ったのか……?)
目の前がボヤけている。だが、宙を舞う人型のがウィンガルドであるという事は分かる。
そして遅れて、ぽとっ、という音がする。
俺はそれをゆっくりと見る。
次の瞬間、眼の奧からカッと噴き出るような覚があり、目の前が真っ赤になる。
そして、右腕からじる尋常ではない痛みが脳を刺激する。
「ウワァァァァァァァーーーーー!!!!イテェェェェェェ!!!」
そこには、肘から下を斬り落とされた俺の腕があった。
腕を左手で押さえ、を丸める。
(痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い)
前世も含めて27年という人生の中でぶっちぎりで1位になる猛烈な痛みで頭が一杯になり、全く働かなくなってしまう。
そんな痛みの中、どれだけ経ったかわからないが俺が蹲っていると、突然誰かに無理矢理起こされる。
そして、顔をパンパンと2度叩かれ、前の俺を叩いた人間が何か言っているような気がした。
痛みで意識が薄れて気絶しそうな頭を叩き起こし、それをよく聞いてみると
「…イン!レイン!!聴こえるか!?レイン!!」
お父様が俺を呼ぶ聲だった。
俺はれそうな聲で、
「ぉと、さま……」
となんとか絞り出す。
「レイン!エクスヒールを唱えろ!!今すぐにだ!早くしろ!」
とお父様が命じてくるのがわかる。
(エクスヒール?なんだそれ?)と、一瞬思ったが、意味がわかった途端に、俺の頭が突然、カッとうごきだす。
(エクスヒール!)
と心の中で唱え、余っている魔力を全てつぎ込む。
を一瞬だけ魔力が覆った後即座に消える。
尋常ではない痛みの中で俺が魔法を唱え、魔力を込められるのは、ひとえに努力の賜だ。
エクスヒールを心の中で唱えた回數は一萬を超え、魔力を溜め、を覆うというこの単純作業を繰り返した回數は十萬回を超える。
その積み重ねてきた経験がそれを可能にした。
一瞬で魔力が吸収されてしまったが、腕周りの皮が繋がる。
(エクスヒールエクスヒールエクスヒール……)
心の中で何度もエクスヒールを唱える。
痛みが引いていった。
(眠い……気が遠くなりそうだ)
だけど、やらなくてはいけない事がある。
(神眼)
目を飛ばす。
(彼らの……正確な位置を……)
遠くなりそうな意思のまま二人が倒れた位置にまで神眼を持っていく。
二人は何の偶然か向かい合うようにして倒れている。
(エクス……ヒール!!)
最後の力を振り絞り魔法を放つと同時に俺の意識は途絶えた。
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