《異世界で始める人生改革 ~貴族編〜(公爵編→貴族編》第104話 始まり

俺達が強くなる事を決意したあの日から暫く経った。

まず、リサさんとランド隊長だが、決意の次の日に二人同時に目が覚め、二人同時に俺に謝ってきて、目を見合わせて沈黙していた。

それを見て俺は悟った目でうんうんと頷いた。

「よかよか」

隣國、リュミオン王國では、ポルネシア、バドラギア、ガルレアン帝國の間で陣取り合戦の様な地獄絵図が展開された。

リュミオン王國には上と下を真っ二つにする様な山脈があり、その上側全域をガルレアン帝國が占領。

下部分の八割がたをバドラギアが占領、殘りの二割をポルネシアが奪取した。

その二割は、エルフの國との國境で非常にかな土壌がある地域だ。

それ故、分割したリュミオンでは戦いが絶えず、散発的になくない數の軍同士が戦闘している。

ポルネシア國からも続々と兵が投されており、戦況は迫していた。

ポルネシアとリュミオンの國境付近では、リュミオン王國の元重鎮や貴族、民衆が押し寄せ、暴徒になりかけており、危険な狀態だ。

安易に國れる事は出來ない。しかし、安易に追い返すことも出來ない。

複雑な事が両國間にあった。

その対処などでお父様は王都から未だに帰って來ず、リリー達がどうなったのか分からない。

ところ変わってオリオン領は、バルドラとバド、そして亡くなった者達の追悼式が終わり、徐々に落ち著きを取り戻していた。

スクナ達はいつにも増して気合をれて訓練に勵んでいる。

俺は、相変わらず自分に魔法をかけては吸収、かけては吸収を繰り返していた。

あの戦の最後、水魔法のレベルと風魔法のレベルが一つずつ上がり、とうとう俺は英雄級になった。

前までなら俺は鼻高々にちょっと自慢げにスクナ達に話していただろう。だが、準英雄級にあんなあっさりと敗北したことをけ、リサさん達に「水魔法のレベルが9になりました」とあっさりと伝えただけだ。

スクナ達は綻んだ笑顔で「おめでとうございます」と言ったが、俺は素っ気なく「ありがとう」と返しただけだ。

特に慨もない。レベルが上がり使える魔法が増えた。

それだけの話だ。俺自が強くなったわけではない。

それを忘れてはいけない。

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