窓際から訓練場を見る。

その中心には、二人のの子が対峙していた。

片方は赤のショートヘアーに鳶の目。普段から來ている侍見習いの服ではなく、道著を著用していた。

手には彼が數年前から用しているレイピアがある。

刃渡り五十センチメル程だが、幅がほぼない為、この距離からは神眼でないと全く見えない。

スクッと天を貫かんばかりに真っ直ぐ立ち、右手に持っているレイピアをの正中線をなぞる様に上に向け構えている。

五歳からこの家で育てられている彼は流石の風格がある。

しかし、だとするならば、彼に相対するもう一人のだって決して負けていない。

普段ばしている白銀の髪を、今は後ろで纏めポニーテールにしている。鳶の眼は向かい合う相手を睨み殺すかの如く細め、腰を屈めている。

幅十センチメル、刃渡り八十センチメル程のロングソードを両手で持っている。

一見普通の剣の様に見えるそれは、よく見ると柄の部分が三十センチと通常の剣の倍以上ある。

彼がその剣を使う理由は、故郷に伝わる剣をモチーフにしているのだそうだ。

向かい合うスクナとアイナは互いを睨みつけたままかない。

まるでく機會をじっと待ち続けている様な、それでいて先にいたら敗北してしまうと言わんばかりである。

その様子を窓から固唾を飲んで見守っていた。

ただならぬ張の中、五分以上の時間が過ぎ、お互いの額に汗が浮き始める。

ピチョン。

スクナの汗が地面に落ちたのが見えた。

「フッ！」

その瞬間、時はきたとばかりにアイナが走り出す。

腰を低く屈めたまま地をる様に走り、持っていたロングソードの程圏にスクナを捉えた瞬間、右下からスクナを切り上げる。

俺はあの二人の実力をよくわかっていなかったのだが、なくとも俺の眼にはその切り上げは全力に見えた。

しかし、スクナも負けていない。

スクナを両斷しようと迫ってくるその剣を持っていたレイピアでけ流す。

スクナの左側に力をけ流されたアイナは剣で空中に弧を描く様に反転させ、今度は左上からの斜め切りを放つ。

最初の一撃は囮、け流される事を前提とした切り上げだった様だ。

俺には全力に見えたのだが、二撃目の方が更に速い。

しかし、その斜め切りも失敗に終わる。

スクナが上半を自の腰の位置よりも低く仰け反らせ、剣がスクナの上を通過した瞬間、上半の位置を戻す。

渾の一撃を躱されたアイナはほんの一瞬の直を余儀なくされる。

その隙を逃さず、スクナが一瞬でアイナに近づきその首筋にレイピアを突き付ける。

「まだまだ甘いわ」

スクナの口がそういていた。

アイナは悔しそうに下を噛んだまま項垂れる。

どう見ても経験の差だろう。

スクナを買ってからアイナを買うまでに二年という間があった。

アイナを買ってからおよそ三年しか経っていない。それに比べスクナは五年。

たった二年。されど二年。

二人の今後に期待できる戦いだった。