《異世界で始める人生改革 ~貴族編〜(公爵編→貴族編》第108話 帰宅直前

「レイン様、旦那様がお帰りになりました」

部屋で魔法の勉強をしていると、ドアをノックしながら、リサさんが聲を掛けてきた。

「お?やっとですか!」

腰を掛けていた金の裝飾をされたふかふかの椅子から立ち、裝ケースに向かう。

お父様が帰ってくるのは數ヶ月ぶりだ。リュミオンの事でめているのは分かるが、戦爭に行ってきた帰りに城に出勤とは同を隠せない。

家に帰って來たということは一段落ついたのだろう。

久々にお父様が帰って來るということで、普段著ている服ではなく、禮服を著る。

絹で作られている外見を重視された服で、俺が本気で走ったら多分バラバラになる。

シワがないことを確認した後ドアを開け、リサさんを部屋に招きれる。

「失禮します」

頭を下げながらリサさんがはいってくる。

「どうですか?決まってますか?」

自分では見えない背中の部分を見せながら確認を取る。

久々のお父様なので恥ずかしい姿を見せたくない。

「はい。きっちりとシワなく決まっております」

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「ありがとうございます。では、行きましょう」

「はい、レイン様」

その言葉に納得した俺はリサさんを連れて、城の階段を下り庭に出る。

「お待ちしておりました、レイン様」

庭には使用人が勢揃いしており、訓練中の俺の部下達もいた。

代表としてスクナが聲を掛けてくる。

服も著替えたのだろう。訓練でついたはずの泥などの汚れなどは一切見けられない。

久々の旦那様のお帰りは全員でのお出迎えだ。あの第二夫人ですらきている。

「第一夫人であるこの私が一番右端。プロウスの位置も勿論一番右端なのは當たり前ですわよね?」

「そんなわけないでしょう?というか、いつから貴が第一夫人になったのかしら?」

しかしながら、いつも通りというか並ぶ順番で爭っている。

夫人も子どもも前からくるお父様から見て、左端から順番に並ぶのが通常だ。

こんなどうでもいい事でも一番の座がしいらしい第二夫人は第一夫人のお母様に食ってかかる。

お母様はお母様で未だに譲れない部分らしく、無視すればいいものを相手をしている。

止めるのも面倒くさいので、俺はいつものその景を橫目に子ども達が並んでいる場所に歩く。

オリオン家の子どもが生まれた順番は上から俺、第二夫人の子どもであるプロウス君、そして第三夫人の娘であるレイシアだ。

なので俺から見て左から俺の場所、プロウス君、レイシアとなる筈だ。

しかし、プロウス君とレイシアの間には明らかな間がある。

ちょうど一人分くらいの間だ。的には俺がれるとぴったりはまりそうな間だ。

その景を見て溜息をつく。

「はぁ……またか、お前ら」

二人に聞こえるように言ってやると、レイシアが先に口を開く。

「だってプロウスお兄様ったらいつも意地悪ばっかりするのよ!」

それを聞いたプロウス君は七三分けした髪をさらっとでながら鼻を鳴らす。

「フン。僕の進行方向にレイシアがいたから退けただけだ。兄の前で立ち塞がっているレイシアが悪い」

キザったらしい態度は第二夫人にでも習ったのだろうか。様になっているのがなんかムカつく。

歩き出し、プロウス君の前に行く。

「まあ、二人の事はわかりました。取り敢えず、プロウス、邪魔だ」

その場所は俺の位置だ。プロウス君の肩を摑みレイシアの方にずらす。

「ちょっ!レイン!おい!今の僕の話を聞いていたのか?」

俺の圧倒的な腕力でなすもなく橫にずらされたプロウス君は抗議の聲を上げる。

しかし、その言葉の中に俺の癪にさわる言葉があった。

「おい?『レイン』?」

肩に摑んでいる手に力を込めながら聞き返す。

「あいだだだ!痛い!痛いですレイン兄様!すいません!」

その言葉を聞いて、頷きながら手を離す。

「お前、俺の見てないところで呼び捨てで呼んでないだろうな?」

凄んで聞く俺にプロウス君は摑まれた肩をりながら、慌てて首を橫に振る。

「そうか……ならいいです」

言っても仕方ない気がしてきた。

「ぷぅ〜、レインお兄様!私の話、聞いてた?」

一件落著とばかりに前を向いてお父様を待とうとした俺の耳に今度はレイシアの聲が聞こえてきた。

仕方なく首をレイシアに向ける。

「聞いてましたよ。今日は我慢してください。久しぶりのお父様のご帰宅なのですから」

「むぅ……」

渋々といった形でレイシアが前を向く。

レイシアは俺の言う事をよく聞いてくれるので助かる。

「僕は納得してないぞ」

しかしいう事を聞いてくれない子もいる。

「プロウス。妹がいう事を聞いているのに兄であるお前がワガママを言ってどうする」

「しかし……」

なおも食い下がろうとするプロウス君に俺はとっておきの言葉を投げかける。

「言い訳をする貴族はダサいぞ」

「グッ……わかったよ」

プロウス君も渋々といったじで前を向く。

こいつは貴族の部分を刺激すると弱い。

どちらも母親の教育の方針の表れだろう。

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