《異世界で始める人生改革 ~貴族編〜(公爵編→貴族編》第121話 久しぶりの會議

そこにいたのは昔見た時よりしだけ大人びた雰囲気を持ったアリアンロッド王だった。

「お久しぶりです、アリアンロッド王様」

心で突然の再會に驚きながらも、努めて冷靜に禮をする。

「うん、久しぶり!」

大人びていながらも、その昔ながらの天真爛漫な笑顔は変わっていないようだ。

「アリアンロッド王様におかれましては、お変わりないようで」

「もう、さすがに三年も経てば変わるよ!レイン様はし……逞しくなったね」

「そうですか?有難うございます」

と、挨拶も終わったところで、

「逞しくでは、私は陛下に呼ばれていますのでこの辺で失禮させていただきます」

そう言ってお父様を追おうとした。

「ちょっと!久しぶりなのにもう言っちゃうの?」

「え、あ、陛下をお待たせしておりますので」

「むぅ、後でまた話せる?」

「分かりました。後でそちらに向かわせていただきます」

「分かった。じゃあ待ってるね!」

「はい」

やけに素直だな……。

などと思いながら俺は一禮をして今度こそお父様を追う。

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「王殿下との話はよかったのか?」

そうお父様は意地悪な質問をしてくる。

「後で會う約束をしましたので」

「ほぅ?そうかそうか、プリムだけじゃなくて王殿下にもちゃんと気を配りなさい。いい男は妻が何人いても満足させてやるものだ」

と、お父様が上機嫌に言ってくる。

とか言って俺の許嫁増やしたらマジ怒りますからね?

事あるごとに送られてくる許嫁候補の似顔絵にはいい加減うんざりしているのだ。

二人で十分だ。

と、増えるフラグを立てたところで、會議室の前まで來た。

既に俺は神眼を使って中にいる人達を確認している。

陛下や宰相などは既に著席をしており、他にもプリタリアや王國騎士団団長のアルフレッドが座っていた。

「陛下!オリオン公爵様、レイン様の両名がご到著されました!」

れ!」

中から聞こえた聲に先ほどの従者が扉を開ける。

三年前と変わらない配置で席についていた。

しかも、魔眼持ちのフロリダまでいる。

「遠路はるばるご苦労」

「は!お呼びとあらばいつでも參上致します!」

「うむ、期待しておるぞ!まずは座るといい!」

「畏まりました」

お父様はそう言って、前回と同じようにアルフレッド側の席に座り、俺もその橫に座る。

俺達が座ったのを確認すると、陛下が早速口火を切る。

「では、早速本題にらせてもらおう」

早速來たか。戦爭の件か……。この三日間、言い訳ならたくさん考えて來たからきっと大丈夫だろう。

そう思って意気込んでいたのだが、陛下が話したのはそれではなかった。

「報告で先に聞いておるが、レイン、順調に魔法レベルは上がっておるみたいだな?」

「はっ!日々の鍛錬を怠ってない故……」

「うむ!褒めてつかわす」

「勿無いお言葉です」

心ドキドキしながらも表面上は努めて冷靜に答える。

「早速だが、フロリダ、魔眼でレインを見よ。ロンド、構わぬな?」

「はっ!もちろんでございます!」

三年前は信用されていなかったフロリダも、俺の知らないところで陛下の信頼を得るためにがんばっていたみたいだ。

お父様も三年前と違って追い出そうとしない。

「では、失禮させていただきます」

陛下に一禮すると、フロリダは俺の方に向き直り、魔眼を発させる。

恐らく、今彼の瞳には俺のステータスの一覧が見えているだろう。

何故だろう。しムズムズする。

前世の検査の結果を人に見られているような気分だ。

自分で言うのはいいのだが、覗かれているとなるとし複雑な気分になるあれだ。

フロリダの妖艶な瞳が揺れ、恐らくMPを見たあたりで口に手をやり、驚きの表に変わる。

瞳がゆっくりと右から左にいっているのは桁を數えているのだろう。

(二、二千じゃない……?いえ、一十百千萬……えっ?もう一回、一、十、百、千……萬。……一萬七千、ですって……?)

と、なっているはずだ。

実際、視線が左右に三往復もしたからな。

因みにフロリダのMPは六百だ。

低くはないが高くもない。標準である。

そんなフロリダの揺が見えたのか、陛下が聲をかける。

「フロリダ、どうだ?」

「へ、陛下!ゴホン、失禮いたしました。では、ご報告させていただきます」

「うむ、よろしく頼む」

一瞬ビクリとしながらも、最初からある程度は聞いていたのか、すぐに居住まいを立て直す。

「現在、オリオン卿のご子息、レイン様のステータスですが……、まずレベルから」

「うむ」

「はい……。6……7レベルです」

半信半疑といったじだ。

「ほぉ!やはりそうか!」

陛下は先に知っていたので、その顔を綻ばせるだけだった。

宰相達も多驚きつつも同様の顔をしている。

フロリダは誰も驚かないことに驚きつつも先を話す。

「HPは……1200座います!」

ですから座いますになっている。

俺に敬意を払う必要なんてないぞ。

「1200か……やはりびが悪いな」

「それも仕方のないことかと。恐らくは先天的にHPが上がりにくいのでしょうな」

「MPが高い者はHPが上がりにくいのは統計としても出ております」

と、特に驚きもせずに話し合っている。

本にもMPが上がりやすい者はHPが上がりにくいと書いてあった。その逆も然り。

俺もうんうんと頷いておく。

「あの、先を言ってもよろしいでしょうか?」

「おお、すまんすまん。で、MPの方は?」

「はい、MPは17500……座います」

神妙な顔で言い切った。

「17500!やはり素晴らしい才能であるな、ロンド」

「陛下にそう言っていただけるとは謝の極みに座います」

「うむ。して、フロリダよ、魔法才能は見えるか?」

「いえ、私が見えるのはレベル7スキル、無詠唱までとなっております。それに魔法才能は確かに空欄で座います。正直本當にレイン様が魔法を使えるのか……」

「よいよい、そのことについてはプリタリアの部下達が確認しておる、そうだな?」

「はっ!私の部下で最も信頼のおける男でありますリベルト以下一族の者達もはっきりとレイン様が魔法を使うところを見ております!」

「と、言うことだ。やはりレベル9の魔法才能、魔導王は魔眼では見えぬようだな」

上機嫌に陛下は頷いている。

「して、魔法才能のレベルは報告書通りで間違いないな?」

「はっ!水屬を優先的に上げさせましたので、つい先日……例の件の最中、9へと至りました」

來た。例の件、俺が勝手に戦爭に言ったことだ。

俺は張しながらも頭の中にある言い訳リストをひっそりと開く。

最初に反応したのはプリタリアだ。

「そうか!やはりレベル9へと至ったのか!では、先日私が渡したオールヒールの魔法書は……」

「あ、プリタリア様、その節は大変お世話になりました。一度しか使えないとは知らず、使ってしまいまして!」

「素晴らしい!では、やはり使えたのか!?ということは噂に聞く水の中に埋もれるような……」

と、弾丸のようにプリタリアは質問をしてくる。

「え、ええっと……」

「プリタリア、レインが困っておるぞ。質問なら後にしなさい」

「申し訳ありませんでした……しかし、レベル9になるタイミングといい……ブツブツ」

一応陛下に謝ったものの、その後ブツブツと小さな聲で獨り言を言っている。

「それで……コルディアのところには行ってきたのだったな?」

「はい、コルディア公の息子達のゴブリン病を治しに行ってまいりました」

あれ、じゃ……、いや、そうか、建前としてコルディア公にそう言っただけだったのか。

まあ普通バレるだろうし、報告ぐらいしておくよな、そりゃ。

「ふむ、それで?」

「はい、確かにゴブリン病は治っておりました」

どうやら実験の意味も兼ねていたらしい。

レベル9魔法の存在は公に出來ないから、おいそれと平民を使うわけにはいかないし、だからと言って、未確認のままではし不安が殘るだろう。

コルディア公に言わないのはなんか口が軽そうだからだな。気持ちはわかる。

「そうか、それは重畳。では、最後に……レインをあの迷いの森に行かせることについてだが……」

と、俺が戦爭に行ったことを放置して先に話を進めてしまった。

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