《異世界で始める人生改革 ~貴族編〜(公爵編→貴族編》第126話 ルーイン

「レ、レイン様、大丈夫?」

「あ……、あははは……、叩かれてしまいました」

なぜ叩かれたのか、よくわからない。

叩かれた頬はぶっちゃけ蚊ほども痛くない。

しかし、男とが爭ったら大男が悪いと思うので

言い訳はしないことにした。

今はとにかくプリムとの時間を大切にしたい。

そう思った矢先のことだった。

「あ、レイン様、こちらにいらっしゃいましたか!」

突然の聲に振り返る。

オマエハダレダ?

全く記憶にない貴族のおぼっちやんらしき太った男の子がこちらに歩いてくる。

そんな彼に対して俺が思っていることは一つ。

(カーエーレ!カーエーレ!カーエーレ!カーエーレ!)

俺の全細胞がこいつに対して帰れコールをんでいる。大合唱過ぎてうるさい。

「初めまして。僕の名前はルーイン・バロン・ド・ソフリです。以後お見知り置きを」

お前には俺の細胞の聲が聞こえないのか。

バロンということは男爵家ということだ。ソフリ家は確か男爵家では中の上くらいの大きさだったはずだ。

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立ち居振る舞いはよく躾けられているのがよくわかる。

だが、どうやら空気は読めないらしい。

男がと睦言をわしている最中に來るんじゃないよ。

「これはご丁寧にありがとうございます。私の名前はレイン・デュク・ド・オリオンと申します」

そんな心はおくびも出すことなく、ルーイン君以上に丁寧に挨拶を返す。

それを見たルーイン君は、手応えをじたのか、まくしたてるように話しかけて來る。

「さすがはレイン様!惚れ惚れするような立ち居振る舞いです!」

突然、俺のことを上げてきた。

「以前のパーティーでもレイン様をお見かけしたのですが、あまりにも尊すぎて近寄れませんでしたよ」

無茶苦茶褒めて來る。ここまで骨に俺のことを上げて來るやつも中々いない。

そう思うと何だか気持ちがいい……わけがない。

こんな骨に褒められて喜べるほど俺は腐ってない。せめてもうし練ってくれ。

あとプリムを無視するとか、こいつの目の中にある眼球は飾りなのか。

「そうですか?私としてはそのような気は無かったのですが……」

だからと言って邪険にするわけにもいかないので俺は謙遜を返す。

「おお!だとするのならばそれはレイン様が生來持つ天の才能!正しく公爵家跡取りとしての才覚もお持ちのようです」

「そ、そうですか?」

「そうですとも!この私、ルーイン・バロン・ド・ソフリが保証致します!」

をドンと叩き、強くうなづいている。

お前の保証が一何の役に立つんだか。

というか、そろそろ誰か終わらせてくれ。

そんな俺の願いが通じたのか、會場の方からお父様とハーバー卿が來る。

「おーいレイン!そろそろ帰るぞー」

「プリム、レイン君との話は終わったかい?」

俺たちの中で一番の早くお父様の聲に反応したのはルーイン君だった。

風のように素早くお父様の前に立つと、俺にしていた以上に丁寧にお父様に名乗る。

「初めまして!私はルーイン・バロン・ド・ソフリと申します!」

「おお、ソフリ男爵の息子か」

「はい!オリオン卿のお噂は常々お聞きしております!」

「はっはっは!そうか!いい噂ばかりだといいのだが!」

「ご安心ください!素晴らしいお噂ばかりですよ」

「はっはっはっ!」

「はっはっはっ!」

なんか気があっている。というか、お父様がうまくいなしているのだろう。早く帰れとか思っていた俺とは大違いだ。

「では、私の方もこれで失禮させていただきます。では、オリオン卿、レイン様失禮させていただきます」

そう言って自信満々といったじでバルコニーを後にした。

「はっはっはっ、面白い男の子だな。父親にそっくりだ」

どうやら彼は父親似らしい。

「そうですか?ハーバー卿やプリムさんを無視するなんて失禮ですよ」

「いやいや、レイン君。私のことは気にする必要はないよ。よくある事だからね」

ハーバー卿は本當に気にしていないという風に笑いながら言っている。

「まあそうなんだがな、それでもああいう子とは仲良くしておくと特だぞ」

「そうですか?なんかちょっと……」

コバンザメっぽくて、何だか俺は嫌いだ。こっちが不利と見れば、彼は一瞬の躊躇いもなく俺を裏切るだろう。

まあ貴族なんて大そんなものではあるが。

「まだまだだな、レイン。ああいう人間は結構報を持っていることが多い。それに……切り捨てることを躊躇する必要がないからな」

お父様がニヤリと悪い笑みを浮かべて言った。

「……」

お父様、えぐすぎ。プリムパパも引いてるぞ。

プリムは話がよくわかっておらず、俺の腕にくっ付いている。ルーイン君が怖かったんだね、分かります。

袖口を摑まれた時、俺もこっそり腕を摑みやすいようにスペース空けたからね。

そんな幸せな時間はお父様に破られてしまう。

「行くぞ、レイン」

「え、お父様、もうし……」

「無理だ。この後も予定が詰まっている」

「……そうですか」

俺は骨にがっかりしながらも、ごねることはしない。

腕を摑んでいるプリムの方に向き直ると、

「プリムさん、名殘惜しいですが……」

「むー……」

プリムも殘念そうに離してくれる。俺の嫁は素直な良い子だぜ、まったく。

「では、ハーバー卿。私達はこれで失禮させていただく」

「ええ、こちらも有意義なお話を聞けました。ありがとうございます」

「プリムさん、また近くお會いしましょう!」

「うん、待ってるからね!」

ハーバー卿と別れた俺はお父様と一緒に馬車に乗り込む。

「それで、王様と何かあったのか?」

「え?何でですか?」

馬車に乗って目的地に向かう最中、お父様が唐突に聞いてきた。

「いや、バルコニーから肩を怒らせてってきたからな。だが……、今のお前の反応でわかった気がするよ」

お父様は肩を竦めて呆れた表を作る。

「え?本當ですか?教えてください」

「あー、まあなんだ。そういうのは自分で知っていけ。お前なら今後そういう機會が何度も來る。なにせ私の息子だからな」

「……そうですか」

なんかよくわからないが、最後のは余計だった気がする。

そして、貴族のお屋敷が建ち並ぶ貴族街に出る。俺たちの家もこの地域にあるのだが、家に帰るわけではない。

これから行くのは俺の魔法の強化にうってつけの先生に會いに行くのだ。

魔法才能もあり、魔法レベルを上げる才能と努力を欠かさなかった老人。

「おおー、待っていたぞ、レイン!もうしでわしの方から迎えに行くところであったぞ!さあ、さあ!見せてみよ!レベル9の水魔法を!」

屋敷の前に馬車を止めた瞬間、屋敷の中からそうびながら一人の老人が飛び出してきた。

「お久しぶりです。プリタリア様」

現魔導師団師団長、プリタリアである。

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