《異世界で始める人生改革 ~貴族編〜(公爵編→貴族編》第142話 最後の日

ポルネシア西部軍にてーー。

「來たか」

ポルネシア西部軍の本陣、その中央で堅く守られている天幕にて西部大將軍、ロンドは呟く。

時同じくして元リュミオン軍からの連絡が來たのだ。

その知らせを聞いたロンドは即座に軍略會議を開き、そこにいた全ての者達に伝える。

「皆の者、時は來た! 北より援軍の報せだ! 防陣を解き、全軍攻撃陣形に切り替える!」

「「「「はっ!!!」」」」

「オリオンの本領は攻撃にこそ現れる! 躙するぞ!」

「「「「おおおおぉぉぉぉぉ!!」」」」

ロンドの言葉にその場に集まった貴族達が一斉に敬禮し解散した。

そんな中、一人の真っ白な獣人のだけが天幕に殘っていた。

「アイナ。報工作の方はどうなった?」

「はっ。予定通り」

「ほぉ。そうか」

ロンドはその言葉にニヤリと笑う。

「それと、レインとスクナが抜けているが問題ないな?」

「スクナのは元リュミオン軍魔導団長のセイロが務めます」

「ぬかりないであろうな?」

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「彼もレベル7の火魔法使いです。例の魔法の使用には何ら問題ないかと」

「よかろう。では、お前も配置につけ」

「はっ」

そう言うとロンドは一つ瞬きをする。次に瞼を開いた時には、すでにアイナは消えていた。

(私のレベルで影すら追えんとはな。全く、常識が覆される)

そう呆れたものの、一呼吸空けた時にはもう西部大將軍の顔つきになり、天幕を抜ける。

見渡す限りのポルネシア兵が鶴翼陣形を敷きながらロンドの號令を待っている。

対する帝國軍の陣形は騎兵を前面に出した橫陣。

だが、長年帝國軍と戦をし、彼らを研究してきたオリオン家の當主、ロンドにはその陣形が歪であることがすぐにわかる。

陣形の所々にがあり、攻めやすい箇所が多々あり、それらの弱點を他の部隊がカバー出來るような陣形になっていない。

あの陣形ではオリオンが率いるポルネシア軍の突撃には勝てない。

しかし帝國軍の將軍も歴戦の將。そんな単純な失敗はしない。

ならば他に狙いがあると言うことだ。

「フンッ」

そう一つ鼻を鳴らすと、ロンドは自分の定位置に移した。

そして、両軍の陣形が整い、戦が始まろうとした時だった。

「伝令! 見から報告! 帝國軍六魔將がいたとの報告がりました!」

慌てた様子で一人の男がロンドの元に見からの報告をしてきた。

「ほう、六魔將がいたか」

しかし、ロンドは慌てることなくその報告を聞く。

「大將軍!」

「分かっておる」

周りの參謀や貴族達がロンドに進言しようと聲をかけるが、それを制し「十萬軍」にて指示を出す。

鶴翼陣から一転、ポルネシア軍は各千人將毎に距離を空け大きく広げる対英雄級魔法陣形になる。

距離を空ける事で犠牲を最小限に抑える陣形であり、現代の地球及びこの世界でもオリオン家以外では使われることのない陣形である。

何故なら、部隊を細かく分けては大軍の突撃には耐えられず、報や指揮系統の混から各個撃破されかねないからだ。

しかし、ポルネシアにはオリオンの「十萬軍」がある。大陸最強と言われる指揮スキルによりどの軍隊よりもな対応が可能なのだ。

故に、このような通常であれば下策となる様な陣形も上策となる。

両軍共に陣形を組み終わりいざ戦爭が始まろうとした瞬間、自陣の見から報告がる。

「帝國軍六魔將土のバスター、火のキャンティスが詠唱開始確認!」

「ロンド大將軍! 使用MP、おおよそ30000! こ、これは……」

魔力眼を持つ貴族の側近が信じられないものを見たと言う表で報告してくる。

スキルレベル4・魔力眼とは、味方や敵が使ったMPがオーラのようなもので測る事ができるスキルだ。

「分かった」

そう言うとロンドは「十萬軍」を使い、自陣の一部に指示を出す。

すると、ポルネシア軍前面に配置された戦車隊が左右に分かれる。そして、ポルネシア軍の魔法部隊が魔法詠唱を開始する。

數秒後、魔力詠唱の終えたポルネシア魔法部隊が魔法を放つ。

一瞬にしてポルネシア全軍の姿が霧によって覆われ、帝國軍から見えなくなってしまった。

レベル1水魔法「霧ミスト」

水魔法の才能がある者なら例外を除いて誰でも唱えられる簡単な補助魔法。軍略においても重寶する事が多い魔法なので、ポルネシア王國の水魔法が使える者は覚えることを必修としている。

レベル1の魔法なので詠唱も一瞬だ。

ポルネシア軍全が霧で覆われたことを確認したロンドは、ポルネシア軍最大戦力の六人に指示を出す。

この日、この時のために溫存し続けたのだから。

靜かな靜寂。だが、魔力眼を持たないロンドですらじる膨大な魔力の本流が両軍かられ出ている。

そんな時だった。ポルネシア軍全を覆っていた霧が一瞬にして晴れてしまった。

レベル1風魔法「そよ風ブリーズ」

ロンドが指示したものではないし、ポルネシア軍の誰かが暴走して勝手やった事でもない。

ならば答えは一つ。

ロンドが前を向いた瞬間、空が真っ赤に燃えた。

そのあまりの輝きに目を腕で隠しながら上を見上げたポルネシア・リュミオン連合軍の目に移った

それは真っ赤な太なようなり輝く球であった。

そして……絶が空から降ってきた。

一戸建ての一軒家にも相當するほどの巨大な塊が、無數の隕石となりポルネシア・リュミオン連合軍へと落下を開始する。

あまりの景に一瞬直していたポルネシア・リュミオン連合軍は、次の瞬間には半狂となる。

ある者は絶からしでも距離を取ろうと持ち場から離れる。

ある者は絶に生きることを諦め、武を落とす。

ある者は自分には落ちないようにと神に祈る。

そして、ロンドの側近達は顔面蒼白にしてロンドに逃げるようにぶ。

そんな中、ただ一人、ロンドだけは歯を剝き出しにして嗤い吐き捨てるようにぶ。

「愚か者どもが!」

と。

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