《一兵士では終わらない異世界ライフ》転生

晴れやかな晴天の下……とあるアパートの一室に、俺こと後藤ごとう弘ひろしは今日も今日とて引きこもり。

もう三十路となるこの歳で結婚はおろか、仕事もしていない。つまりニート。

親の脛を齧って生きるクズだ。俺はそのことを承知している。俺はクズだろう。クズということがわかっているクズだろう。しかし、どうしようもないことというのは確かに存在するのだ。俺は仕事をしようとワークがハローなところへ行こうと一歩外へ出た瞬間……震えた。

日のが俺を照らした途端、俺はけなくなったのだ。道を行く人々が皆んな悪魔に見えた。怖かった。俺はもう外には出られない……そう悟った瞬間だ。

家でも出來る仕事を探してみたがどれもこれも俺には出來ない。所詮、俺にはこうやって自室に引きこもってはゲームをする能しかないってこった。

俺は今日も怠惰な毎日を送っている。姉と弟がいるが、既に俺のことを見捨てている。當然だよなこんなクズ……でも母さんは……母さんだけは俺のことを今でも心配してくれている。仕送りもしてくれる。

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俺はその好意をけ取る度にクズだと自分を罵った。だから、俺は変わろうと思ったんだ。今日も今日とて引きこもり……そんな生活から抜け出してやるんだ。

あまり食事を摂らないせいかやせ細った自分のには、どの服もダボタボといったじで合わない。仕方ないだろう。あまり顔を見られないようにサングラスをかける。これでマスクと帽子を被ったら怪しい者この上ないため、さすがにしない。

準備が整うと俺は玄関にいって靴を履く。張した。トラウマがフラッシュバックした。でも変わらなくちゃいけないんだ。俺をここまで信じて心配してくれた母さんのために。

俺はなけなしの勇気を振り絞って玄関を開けた。

晴れやかな晴天の下……俺は震える足を一歩一歩進める。歩みは遅いし、震えは止まらない。そんな俺は周りから奇異な目で見られているだろう……でも何年も歩いていなかったせいで歩くのが辛い。歩くだけで一杯なせいで、逆に周りの目は気にならなかった。

道行く人々、車や自転車、変わってしまった街並み……俺はしだけ外に出ることを克服できたのかもしれない。

數十分歩いたところで疲れて、近くの公園で休むことにした。やはりまだ外に出るのはなれないな……。でも、外に出れた。出られればいくらでも、なんでも出來る。まずは母さんのところに……そうだ実家に行こう。

そしたら、まずは謝るんだ。今までのことを。そしてこれからのことを話すんだ。仕送りしてもらった分のお金は返すんだ。

それからそれから……姉と弟にも迷をかけたし、謝らなくちゃいけないな。

俺はまだやっと一歩を踏み出しただけだというのに、そんなことまで考えてしまった。でも考えずにはいられない。もしかしたら、これが変われる最後のチャンスかもしれないから……。

と、公園で子供が遊んでいるのが目にった。ボール遊びをしていた。自分も小さな頃はあんな風に遊んでいたなと俺は思った。そんな懐かしさについ子供達を眺めてしまった。傍からみたら不審者に見えてしまうかもしれないと思った俺は慌てて目を逸らそうとすると、とある子供が蹴ったボールが道路に飛び出した。

この時、俺の中でアラームが鳴った。よくあるシチュエーションだ。アニメや漫畫なんかじゃ、こういうときに颯爽と主人公が助けにるのだろう。

だが、今ここには俺しかいない。

俺は咄嗟に走り出した。子供は案の定ボールを拾おうと道路に飛び出す。そこへ運悪く車が走ってくる。

 

くっそ!アニメや漫畫じゃねぇんだよ!これは現実だ!

俺はギシギシと音を立てるを無理やりかして何とか子供を助けようと走った。

車が子供に衝突するその瞬間、俺は子供突き飛ばそうと手をばした。

「間に合えぇっ!!」

そこで俺は激しい衝撃に見舞われて視界が暗転した。

–––☆–––

『亡くなったのは◯◯県の無職男、後藤弘さん三十一歳。事故の當事者である運転手の話によりますと……』

–––☆–––

一面は花畑……青い花だ。もともと花に詳しいわけではないが、見たこともない花だと思う。それでも俺はその花が綺麗だと思った。

俺はキョロキョロと辺りを見回してみる。青い空に星がっている……不思議だ。地平線はどこまでも花畑。綺麗な花と淡い青に満ちている幻想の世界……そのように俺はじた。

ここはどこなのだろう?地獄には見えない……しかし俺のような奴が天國にいけるとは思えなかった。どうしようかと思ったところで俺の前にモザイクのかかった何とも形容しがたい奴が唐突に現れた。

なんだこいつ?

『初めまして。私は神です』

「はぁ…神様ですか…」

なんとも不思議だ……というか唐突。まあ、なんでもいい。神というのなら聞いてみよう。

「俺は死んだんですよね?ここは?」

『貴方は死にました。ここは…そうですね。死後の世界と現世の狹間とでも言っておきましょうか』

ふーん……とりあえず納得。まあ、いきなりこんなところに居たら普通は混するものなのだろうが、俺はそう言った妄想癖があるためにすんなりと理解出來たのだ。

そう考えると日本の創作技が卓越していることに改めて唸らせられる。なぜなら、こうも忠実に幻想の世界を再現出來てしまうような二次元なのだ。そのおで俺は今、平然としていられると言っても過言ではない。

「それで……俺はこれから地獄にいくんでよね?」

と、言った俺に対して神と名乗るモザイク野郎がきょとんとした後にクスリと笑った。

『地獄に行きたいの?』

そんなわけない。

「行きたいわけじゃないですよ。ただ俺は天國にいけるわけないですし…それに生前の償いが出來ていませんから……」

そうだ。やっとこれで償えると思ったんだ。母さんや姉や弟……それに父さんにだって。でも償う前に死んでしまった。きっと俺が死んでも悲しむ奴なんていないのだろうけど……。

『そうですか…だから地獄に?』

「はい。死んでしまった俺が償えるとしたらそこだけですから…」

神様はもう一度クスリと笑うと言った。

『では貴方に償いの機會を與えましょうか』

「え?」

それはつまり地獄に連れて行ってくれるってことなのだろうか?それとも生き返らせてくれるということだろうか?

と、俺が考えたところでその心を読むかのように首を橫に振った。だったら何なんだろう……。

『生き返らせるのは無理ですし貴方は地獄にいけないんですよ』

「え?なんで地獄にいけないんです?」

『貴方の死は予定にはなかったんです』

「は?」

おいおい、これはよくあるパターンなのか?俺が死んだのは無駄死にで、本當はあの子供は俺が助けなくても大丈夫とかそんな落ちか?

『本來なら貴方ではなくあの子供が死ぬ予定だった…』

あぁ……それなら俺が死んだのは無駄死にじゃないか。なら、いいか。

『で、あの子供は死んで天國にいく予定だった。だから地獄には空きがなくってね』

「あ、その子供の代わりに死んだ俺は…」

『そうです。天國にはいけない』

そりゃあそうだ。あれだけのクズだったんだ。天國にいけるわけがない。しかし、これは困った。どちらにもいけずここにいるというのも恐らくないだろう。

ではどうすれば?俺は答えを求める気持ちで神様に目を向けた。

『だから天國にもいけず、地獄にもいけない貴方に償いの機會を與えます。今から貴方は別世界に転生します』

お、異世界転生か。そんなものが本當にあったんだ!と俺はを覚えたがすぐに落ち著く。

そうだ、これは罪を償うためなんだ。浮かれちゃいけない……。

『そして貴方は第二の人生を歩みなさい。どんな風に生きてもらっても構いません。貴方の好きなように行きなさい』

その聲音は優しく、まるで母さんのようだった。俺は異世界で今度こそ間違わずに生きていこう。

それが償いなんだ。異世界の家族を大切しよう。一生懸命生きよう。結婚して子供を作ろう。そしたら母さんは安心できるはずだ。

俺は異世界で一人前になる。

そう決心したところで俺は再び視界を暗転させた。

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