《一兵士では終わらない異世界ライフ》戦爭の兆し
昨日は々あったが、今日は朝から午後まで特に何もなかった。変わったことはノーラちゃんと仲良くなったことだ。今じゃ気軽にノーラと呼んだりするし、ノーラも俺のことをグレイと呼ぶようになった。
そういえば、アルフォードパパンにソーマについて聞こうと思ったのに、昨夜は珍しく帰ってこなかったんだよな。まあいっか。
さて、今日の選択科目は野営だぜっ!ギシリスさぁん!!
俺はギシリス先生のいる、學舎裏にあるちょっとした森へやってきた。小さいが川も流れていたりして自然かだ。まじトーラ學舎ってぼっちゃん校だな。
いつもの場所にくるとギシリス先生が仁王立ちでたっていた。あぁ……その褐に逞しい筋と大きなパイの実が素晴らしいですねぇ……。
他にも一緒に野営の授業をけているの子が既にいた。名前はエリリー。
エリリー・スカラベジュムというの子だ。ノーラと比べてしまうと普通の子に見えるが十分可い子だ。
そんなこんなで、本日はこの二人の生徒と一人の先生によって野営の授業は構されています。
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すくねぇ……。あ、いや……いつもこれだけしか居ない訳じゃないよ?他の授業とのスケジュール合わせの結果、こうなっちゃったんだよ〜?本當だよ?
「揃ったな。始めるぞ」
ギシリス先生が、俺とエリリーが揃ったのを確認してから、そう言った。
どうでもいいことを考えていた俺は、一拍遅れてから返事をする。
「あ、はい」
野営の授業は自然で生き殘るためのを知る授業だ。野宿するはめになったときなんか非常に役立つ知識だと思う。
俺の場合は単純にギシリス先生目當てだったが、エリリーはどうしてこの授業をけているんだろう?
エリリーとは一ヶ月も一緒にこの授業をけていたので多なりとも仲良くなっていたりする。
そんなわけで聞いてみることにした。
「どうしてエリリーは野営の授業をけたの?」
「えぇ?ちょっと気なってけてみただけだよ?」
「そうなんだ。てっきり自分から選んでけたのかと」
「さすがにこの授業を自分からけるのはないんじゃないかな……。人によると思うけどね。兵士を目指して人なんかだとけるんじゃない?」
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「そうだよね〜さすがにマイナーだもんね」
「確かにマイナーだ」
「「ふぁ!?」」
二人で話していたら、いつのまにかギシリス先生が俺たちの後ろに回っていて、そんなことを言った。
怖い……でもあのギシリス先生がこんなに近くにいやがるぜ!えぇ匂いやのぉ〜。
いかんいかん私は紳士なのだから努めて冷靜に……。
それからギシリス先生は俺たちに諭すように言った。
「野営はマイナーではあるが、戦場では非常に役立つ知識だ。もし自軍に帰ることができず野宿することになれば自分で糧を得なければならない。そんなときにこの授業で培った知識が役に立つ」
戦場って……ギシリス先生は一何者なんですか?その疑問を俺の代わりにエリリーが聞いた。
「戦場って……ギシリス先生って先生じゃないんですか?」
その疑問に対して、ギシリス先生は何か逡巡するように顎に手をやり、それから暫くして口を開く。
「いい機會だから教えておこう。今日の授業はそれだ」
そういってギシリス先生は座った。ちなみに俺たちは今、川辺にある大きな巖に並んで座っていて、その向かい側にある巖の上にギシリス先生は座った。
「私は十年くらい前まではイガーラ王國の兵士として戦場に出ていたんだ」
まじですか……ギシリス先生ってなんか普通の先生と違うところがあるなぁって思ってたけど元が兵士だったのか。確かにこう……腰というか雰囲気が戦うだよね。見た目もアマゾネスだし……そう、言うなれば戦乙とでも言っておこうか。きゃーっ!ギシリス先生かっこいい!
「とある戦では小師長率いる私の所屬部隊は敵の作戦に引っかかってしまってな。敵に囲まれてけなくなって野宿することになったんだ。そのときは野営の心得があったものがいたため何とかなったがあのときの私の役立たずさが悔しくてな。以來こうして野営の勉強をしているんだ。」
そっか。そんな理由で……しかし、
「……なんで兵士やめちゃったんですか?」
俺は恐る恐るそう聞いた。戦場で生き殘るために學んだことを生かさず、今は教師をしているギシリス先生に俺は疑問を持った。ギシリスは薄く笑って答えた。
「私のように戦場に出るかもしれない子供たちが同じ目に遭わないように教えたいと思ってな。そのときに聲をかけてきたのは、このトーラ學舎の學舎長のエドワードだった。今じゃこの職につけてよかったと思っているよ」
ギシリス先生はそう言って笑った。その後もギシリス先生から野営の有用について々聞いた。でも、俺の中では最後にギシリス先生が言った言葉ずっと引っかかっていた。
『この職につけてよかった』
………俺は將來どんな仕事に就こうか。間違わないと決めた、この新たな人生。俺はもちろん家族を養うために真っ當な仕事に就きたいと思っている。でも、俺はまだこんなにも小さい。早いかもしれないけれど……俺は將來について考えずにはいられなかった。
野営の授業が終わった後、その言葉は俺の中に殘っている。
–––アルフォード・エフォンス–––
イガーラ王國トーラの町の領主館に俺は……アルフォード・エフォンスは昨日から続いている會議に頭痛がするように頭が痛い。
領主館の一部屋を使って行われている會議に參列しているのは、この町の有力者達だ。俺はその中でもこの會議の一連の出來事を決定づけることができる権力を有している。
俺はイガーラ王國の兵士で、階級は大師長という。この階級は將軍の次に偉い階級だということを知ってもらえればいい。
この階級は、戦で功績を順當に納めていったものが辿り著ける極地であり、ここまで來ると爵位も與えられる。俺の爵位は伯爵……そして、このトーラ伯領を牛耳っている。そういうわけで、この會議において俺以上の決定力や発言力を持っているものはいない。
そんな俺が參加している、この會議の容は近々起きるであろう隣國との戦爭についての話し合いだった。
「およそ三年以に確実に戦爭が始まります。そのとき、この町の防備はどうなさるのですか?」
という一人の有力者。俺は簡潔に答えた。
「現在會議中だとしかいえん。將軍としては各地に防衛軍を分散させておきたいと仰っている。だが、どうにも軍の中で反対意見が多くてな」
そう、明らかに軍部での反対派の意見が多い。中には故郷すら捨てて他に防備を回せという輩も出ている。
俺としては裏があるとしか思えない。
「なぜ軍はこちらに防衛軍を配備なさりたがらないのでしょうか?」
「反対派の主張では重要拠點の防衛が最優先だと言っている。理にかなってはいるが、そもそも重要拠點の攻略には三倍の兵力が必要だと知っているだろうに。隣國と我らでは兵力に差はない。そう考えれば無駄なことだというのに、何を考えているか全く分からん。とにかく今將軍が説得を試みている。もう暫く待ってほしい」
大、俺にもこの町に家族がいるんだ。娘のソニアは十二歳だがまだ子供だ。息子のグレーシュに関しては六歳だ。する妻もいる。家族を戦爭巻き込むわけにはいかないのだ。
「ふぅ……これ以上はとくにないと見て本日は解散とする」
こうして本日の會議は終わったが今日も帰れそうにない。家族が心配していないといいが……。
俺は會議室に使っていた部屋を出て、自分の執務室へと足を運ぶ。普段は家に帰ってしまうために、殆ど立ちらないが、こういう時に來ると一番落ち著いて寛げる場所である。
執務室の中は、あまり使わないために特に何も置いていない。掃除などは侍がやってしまうので、汚れらしい汚れや埃といったものは、特に目には付かない。
仕事用のデスクと椅子、いくらかの書……奧の方にはイガーラ王國では高価なガラス張りの窓が閉じており、窓辺に夕日が差し込んでいる。もう、こんな時間なのかと俺は苦い顔をした。
椅子の方へと歩み寄った俺は、深く座り込むと一度、深く溜息を吐いた。
「…………疲れた」
あまり弱音は吐きたくないが、こう家族に會えない時間が多いとどうしても気が沈む。早く、會いたいものだ。
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