《一兵士では終わらない異世界ライフ》芽生える自覚
學舎にってついに半年が経過しました。皆様はいかがお過ごしでしょうか。私は死にそうなくらい勉強してます。
俺は現在、學舎の図書館を使って勉強會なるものをしている。參加者はこの半年で仲良くなったノーラやエリリーを始めとする同學年の友達だ。この二人以外には俺とよくつるんでいる三人だ。そして、ソニア姉とそのお友達の方々も今回の勉強會に參加している。俺たちの先輩ってわけだ。分からないところは先輩に聞きに行くってことになったんだけど……ねぇ?なんでノーラとエリリーとお前ら三人は俺に聞きに來るの?
「えー?だってねぇ?」
「うん。グレイは頭いいし。それにやっぱりタメの方が聞きやすいよ」
ノーラとエリリーは口々にいって他の三人もそんなことを言った。先輩方のは苦笑していたが、特に怒ってもないようだ。
「グレイって結構モテんだね。やるじゃん」
「やめてよお姉ちゃん……」
肘でつついてくるソニア姉に俺は渋い顔で返し、勉強を再開する。さて、どうして俺たちが必死こいて勉強しているかというと……のこり一週間後くらいに學舎の試しという……いわゆるテストがあるのだ。
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この學舎の試しは年に二回。そのの一回目が差し迫っているのだ。ちなみに、この學舎の試しですこぶる悪い評価をとると進級にかかわってくる。まあ、それはどちらかっていうと二回目の方に関わることだ。
むしろ一回目の場合は學舎の試しの後に學舎の祭が控えているのだが、今回の學舎の試しの結果が悪いと、その祭に參加できなくなるのだ。それが嫌でみんな必死なようだ。
俺はソニア姉や友達から聞いて、その祭がどれだけ凄いかを聞いている。なんでも味しい屋臺とか遊びとか……なかでも目玉なのは闘技大會というものらしい。
學舎の生徒同士で闘い、勝ち進んで見事優勝したものにはこの學舎のアイドル的存在……生徒會長のアリステリア様から褒を貰えるらしい。噂ではキスだとか……。
俺はアリステリア様をまだ一度しか見たことがないが、ソニア姉と同學年にも関わらず、既に生徒會長という座に座る超カリスマを持った人だ。
普通、生徒會長はもっと上の學年がやるもんだろ?そこがまずアリステリア様の凄いところだ。そして、さっきから気になっているかもしれないが、アリステリア様に対してのこの様付けだ。
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アリステリア様はなんと驚いたことに王族の親戚……つまりは公爵様なのだ。彼のフルネームは、アリステリア・ノルス・イガーラ公爵令嬢様……あの王下四家の筋というわけだを俺たち平民と普通こんなところで関わりを持つことは許されないのだが、アリステリア様たっての願いにより、こうしてトーラ學舎で學んでいらっしゃる。
遠目に見たアリステリア様は十二歳とは思えないほど優雅でしく、キラキラ輝く金の長い髪に俺はつい見惚れてしまった。
ちなみに、アリステリア様はどんなときでも様付けしないとアリステリア様のファンとか従者に刺されるらしい。気をつけないとね。
そんなわけでもっぱらの噂の優勝の褒とやら狙って、こぞって猛者達が出場する闘技大會……それが行われる學舎の祭に參加するには、まずはこの學舎の試しを乗り切らなくてはならない。
まあ闘技大會に參加したがるのは主に男子生徒が大半だけど……。
ともかく、俺たちも先輩方もとにかく必死だ。
「グレイ〜この魔の基礎四元素と特殊四元素の違いが分かんないんだけど」
と、ノーラが聞いてきた。ノーラは闘技大會にはあまり興味はないようだが學舎の祭には出たいという。ノーラも結構頑張っているが、やはりまだ魔分野は実技も座學も苦手なようだ。
「えーっとね。基礎四元素は僕たちが普段使うような魔の屬だよね」
雑學として、基礎四元素の地水火風がこの世界の全てを構しているというのは魔的な考え方とされている。他にも々な説があって、こういう分野は割と面白かったりする。
「で、特殊四元素なんだけど……これは基礎四元素から派生して生まれる雷氷闇の元素なんだよ。
地と水からは氷の元素が……
水と火からはの元素が……
火と風からは雷の元素が……
風と地からは闇の元素が……
ってな合に出來るんだ。だから扱える屬が二つあると、派生して特殊四元素の魔も使えるようになるからお得だね」
「「おぉ〜!」」
というのは先輩方……ソニア姉も含めた勉強會メンバー全員の嘆する聲だ。おい、なんで先輩も聞いてんだよ。
「よく覚えてるよねグレイは」
ノーラは俺をそう言って褒めた。なんだよ……照れるじゃないか……。
「覚えるのは簡単だよ」
「どうやって覚えてるの?」
「僕はイメージ記憶で覚えてるよ」
俺は聞いてきたエリリーにそう答えた。人それぞれ勉強の方法はあるだろうが俺はそれを一枚の絵として覚えるイメージ記憶で暗記している。
算は不得意だが暗記勝負の歴史や語學はこのイメージ記憶でかなり助かったりする。細かく説明するとだ。たとえば、ノートに書いたページ……その全ての位置と書いてあることを覚えるのだ。歴史だったらそれをページ順で覚えれば流れで覚えられるし、語學だったらあれの下にあれがあったなーとかってできる。
なくても俺は文系科目に対してこれで十分通用している。だが算は無理。というか算が嫌いだ。前世でも數學は苦手だった。
なに?ルートとかいらないでしょ?
まあ、それはともかく。
俺も語學の文法で分からないことがあったので隣のソニア姉に聞こうと思って……でも今は他の人を教えているのでやめた。
ソニア姉は人気者だった。まあ、可いしな。それにアリステリア様と同じ金髪だから目立つのだろう。俺は他の人に聞こうと、俺は逆隣に座るノーラに聞くことにした。
「えっとノーラ。ここなんだけど……」
「ん?あぁ〜ここはぁ–––––」
と、ノーラが俺のノートを覗き込んでくる。その表紙にふわりとノーラの短めな髪からいい匂いがした。
その瞬間、俺の頭の中で警報がなる。
敵襲!敵襲!
鳴り響くアラーム。そして、この背中を舐めるようにして押し寄せる威圧……。
クルリと後ろを振り返れば案の定というか……ノーラのストーカーもといノーラのお父さんであるソーマが全タイツで相変わらずノーラをつけ回していた。
どんな過保護だよ……。
「ちょっときいてるのー?」
「あ、ごめん」
どうやら俺以外に見えてないらしい。多分『明化インビジブル』を俺にだけ見えるように発したのかもしれない。もしくは俺の索敵スキルに引っかかったか。
どうでもいいけどノーラに接近しすぎると危ないかもしれない。先日帰ってきたパパンにソーマのことを聞いたのだが……。
『大師長というのは……偉い人だと覚えておけばいい……』
という風に、珍しく父さんが言い渋ったので追求しなかったがソーマにはあまり関わらない方が賢明だろう。
とにかく気をつけよう。
俺は一通り文法容の確認も終わったので、今度は実技の方の練習だ。保健育のな……うひっ。
あ、ソーマから威圧が……。
今日はとりあえず剣の練習だな。俺は野営も剣も一緒であるエリリーとともに一緒に練習することにした。
「せやぁ!」
エリリーは木剣を握り、気合いのった一撃を俺に向かって振り下ろしてきた。だが、殘念ながらそんなに速くない。の子の力だから仕方ないっちゃ仕方ない。
戦闘モードの意識下で、をゲームのコントローラーでかすようなじの俺はけ止めずに半歩足をかしてをずらし、エリリーの攻撃を避ける。
戦闘モードの俺はこんな蕓當が出來るわけだ。ゲームなら負ける気はしないね。格ゲー……どんだけやり込んでると思ってるんだ?
エリリーは驚きつつも、直ぐに切り替えて木剣を橫薙ぎに振るう。とりあえず隙があったので、「てい」と全く気合いのっていない軽い一撃をエリリーの脳天にぶちかました。
「いたぁ」
途端にエリリーは頭を抑えた。あ、やりすぎた?
「ご、ごめんエリリー。強く打ち込みすぎっ」
「隙あり!」
エリリーはび、手に持った木剣を振り上げてきやがった。狡い真似を……。
俺は予想していたのもあり、ひょいっと避けると今度は木剣を持つ手を叩いた。エリリーは木剣を取り落とし、慌てて取ろうとしたところを俺が木剣を彼の首に當てたことで停止した。
「うっ……參りました……」
「はい、參られましたっと」
俺は木剣を引くとエリリーは殘念そうな顔で俺を見た。しゅんとしててカワユス。
「どうしてそんなにヒョイヒョイ躱せるの?皆んなはけ止めてくるのに……」
だろうね。避けるという作は慣れていないと難しい。俺も素の狀態なら無理だと思うけどね。しっかし、自分で言うのもなんだけど……この戦闘モードって凄いなぁ。本當に自分をゲームのキャラクターみたいにかせるんだもの。ただし、能力は六歳児だから、超人みたいなきは無理。
「その技が羨ましいな」
と、先輩が俺のところに近寄って言った。。この人も剣の実技試験があるらしい。だが俺たちとはレベルが違うために一人でイメージトレーニングをしていたようだがさっきの俺とエリリーの手合いを見て褒めてくれた。
「よかったら俺とも手合わせしてくれないか?」
お、ふむ……ここで上級生の力を見ておくのも悪くないか。きっといい経験になるだろうと思った俺はその手合いをけることにした。すると、それを面白がった勉強會のメンバーが周りを囲って騒ぎ出し始めた。おい、お前らの勉強はどうしたんだよ……。
「頑張れーグレイ」
「おうっ!」
ソニア姉の応援で百人力だ!
そういう経緯があり、俺と先輩の手合わせが始まった。先にくのはもちろん俺だ。ここは學ばせていただきたいところ……俺が積極的にくのが道理だろう。
足に力を込めて一歩踏み込み、間合いを詰めると先輩は驚いたように慌てて一歩引いた。俺はどうしたんだろう?と思いつつ木剣を振るう。そのときになって、俺は罠かっ!と思ったが先輩は俺の攻撃を辛うじて防したようなじでヨロヨロと下がった。
あれ?
が、きっとこれも俺を油斷させる罠だと思い再度詰める。先輩はそんな俺に対して木剣を振り下ろしてきた。エリリーより速いっ!
けど……避けられないほどじゃない。
俺は、なんとかスレスレで躱して、ガラ空きの先輩の元に木剣の剣先をつきつけた。そこで先輩が、「參った…」と言ったので俺は剣を引いた。
………あれ?
手合いが終わると、周りにいたノーラやエリリーに褒められたり先輩方からも、「凄いねぇ」なんて言われた。
手合いをした先輩も笑顔で俺に握手をわしてくれた。
あれあれ?
「お疲れ様グレイ!やっぱグレイ凄いよ!あたしの學年の中でも一二を爭う人をあっさり倒すなんて!」
ソニア姉は興しているのか俺に抱きついてきた。あ、最近ソニア姉は発育がいいから……そのが當たってます……もしこれがノーラだったら俺はソーマパパンに後ろから刺されていただろう。ふぅ……よかったぜノーラが俺に惚れてなくって。
(閑話休題)
しかし、あれだな。ソニア姉の學年で一二を爭うか……まさか勝つとは思わなかった。………………ねぇ?俺って、もしかして強いのかな?強いってことでいいよね?
自信を持って……いいんだよな……?
上級生に勝ってもなお、俺の中には自分自を信じきることが出來ない不安な気持ちが、心の奧底で押し潰され、固まって殘っていた。
【書籍版4巻7月8日発売】創造錬金術師は自由を謳歌する -故郷を追放されたら、魔王のお膝元で超絶効果のマジックアイテム作り放題になりました-
書籍版4巻は、2022年7月8日発売です! イラストはかぼちゃ先生に擔當していただいております。 活動報告でキャラクターデザインを公開していますので、ぜひ、見てみてください! コミック版は「ヤングエースUP」さまで連載中です! 作畫は姫乃タカ先生が擔當してくださっています。 2021.03.01:書籍化に合わせてタイトルを変更しました。 舊タイトル「弱者と呼ばれて帝國を追放されたら、マジックアイテム作り放題の「創造錬金術師(オーバーアルケミスト)」に覚醒しました -魔王のお抱え錬金術師として、領土を文明大國に進化させます-」 帝國に住む少年トール・リーガスは、公爵である父の手によって魔王領へと追放される。 理由は、彼が使えるのが「錬金術」だけで、戦闘用のスキルを一切持っていないからだった。 彼の住む帝國は軍事大國で、戦闘スキルを持たない者は差別されていた。 だから帝國は彼を、魔王領への人質・いけにえにすることにしたのだ。 しかし魔王領に入った瞬間、トールの「錬金術」スキルは超覚醒する。 「光・闇・地・水・火・風」……あらゆる屬性を操ることができる、究極の「創造錬金術(オーバー・アルケミー)」というスキルになったのだ。 「創造錬金術」は寫真や説明を読んだだけで、そのアイテムをコピーすることができるのだ。 そうしてエルフ少女や魔王の信頼を得て、魔王領のおかかえ錬金術師となったトールだったが── 「あれ? なんだこの本……異世界の勇者が持ち込んだ『通販カタログ』?」 ──異世界の本を手に入れてしまったことで、文明的アイテムも作れるようになる。 さらにそれが思いもよらない超絶性能を発揮して……? これは追放された少年が、帝國と勇者を超えて、魔王領を文明大國に変えていく物語。 ・カクヨムにも投稿しています。
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