《一兵士では終わらない異世界ライフ》壊れる未來
俺がトーラの學舎にってから二年が経過した。俺は八歳になって慎重も割かしびたし、児型だった俺のも年のに近づきつつある。
まあ、やっぱりまだガキ型だが……。
この二年で変わったことは特にない。ギルダブ先輩はあの年に卒業してしまった。卒業した後は軍にったという。この二年で三階級特進とかしたらしい。しかし、俺は軍階級に関してあまり詳しくないのでよく分からん。でも多分凄いんだろうなってのは想像に難くない。
二年も通うとトーラ學舎にはかなり慣れてきた。後輩なんかも出來て毎日が非常に充実しているじ。
今日はもう午前の一般教養が終わり、これから午後の選択科目となる。今日は野営の授業だ。ギシリス先生っ!
俺は意気揚々と野営の授業でいつも集まっている川辺にやってきた。エリリーは既にいつもの巖のところに座っていた。エリリーも多長しているもののは平たい。
當然だ。俺は八歳児になにを求めているのだろうか……。
「よし、では授業をはじめる」
俺が來て揃ったのでギシリス先生が野営の授業をはじめた。今日はいつもやっている野草の授業だ。
「いつも言っているだろうが、山には沢山の食料があるな?それはなんだ?」
「と植です」
エリリーが俺より先に答えた。ぐぬっ。
「その通りだ。しかし、は捕らえるのに時間がかかる。私ならば見つけた瞬間仕留められるが……お前たちにはし荷が重いだろう。そういうときに山でどの草が食べられるかを知っていると飢えに苦しまなくて済む
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それ……実験ですよねぇ?俺は気になったが敢えて聞かなかった。
と、ギシリス先生は橫目で俺を一瞥すると何か思いついたように顎に手をやった。何か……私に不幸が訪れる予。
「よし……まずはをどうやって狩るか……それをグレーシュに実踐してもらおう」
「え……」
「出來るな?」
拒否権はないんですね……。まあ、ここはギシリス先生のパイの実に免じて……人ぐことにしましょう。俺は、「はい」と返事をしてからギシリス先生に剣をお借りし、しだけエリリーとギシリス先生から距離を取り、俺はの気配を探るために意識を集中させる。
と、野うさぎの気配を察知した俺はダッと駆けでいき……。
「ふんっ!」
剣を両手で振るって、剣先だけで上手く野うさぎの急所を的確に斬った。出來るだけ外傷を失くし、食える部分を多く……それは俺がギシリス先生のスパルタな剣指導で習ったことだ。意味が分からない……なぜ剣指導が野営の授業にらなっていたのかが。
しかし、どういう訳か……俺はこの二年で剣の腕を數段上げていた。小手先の技もそうだが、この小さなで効率良く剣を振るう方法……力の込め方、その全てを自然の中で俺は覚えていった。
俺は得意気にら仕留めた野うさぎをエリリーに見せびらかした。
ふふ〜ん。どんなもんよ〜あっはははは。
………………。
ちょっと、引かれました……。
それからギシリス先生の教えに従って野草を観察したり、とって調理して食べたりした。
「これは毒のある野草だ。だが、水に浸しておくと毒が抜ける。これも食用として使えるぞ」
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と、ギシリス先生が指し示したのはギザギザの葉っぱだ。一見どこにでもありそうだが、野営の授業で散々野草を見てきた俺とエリリーは細かい違いまで見抜くことができる。
「葉脈が赤いですね。それが毒ですか?」
エリリーが訊くと、ギシリス先生は満足気に頷いた。
「うむ。この赤いのが抜けたら食べられる。これはとくに調理の必要はない。毒抜きの手間さえかければ十分に有用だな。覚えておけ」
「「はい!」」
そんなこんなで野営の授業も終わりに近づいてきた。俺とエリリーは最後に川でギシリス先生と遊んだ。これはもう授業というかキャンプだな……気にしたら負けか。
「よし。では今日の授業は終わりだ」
ギシリス先生の締めの言葉に、俺たちは呼吸を合わせて口を開く。
「「ありがとうござ––––––」」
俺とエリリーが合わせて終わりの挨拶をしようとした時である。俺の脳に危険を知らせるアラームが鳴った。
同時に背中に冷水をぶっかけられたかのようなヒンヤリとした寒気が走る。危険……その言葉が俺の頭をよぎる。
咄嗟に俺は空を見上げた。
「ん?どうした?」
ギシリス先生がそんな俺の行に訝しげな顔をした。が、ギシリス先生の耳がピクピクとくと、表が一変した。その表は、まるで鈍に毆られたかのような驚愕に染められ、俺と同じように空を見上げた。
その間もずっと、ギシリス先生の耳やら尾がピクピクと忙しなくいていた。それは獣人特有の危険を察知したときの行だ……そしてこの場で狀況が理解出來ていないのはエリリーだけだった。
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「え?どうし –––––」
エリリーが言いかけた瞬間……空に巨大な巖・が突如として現れた。否、飛んできたというべきか……。
その巖は俺たちの真上を通過し、そして學舎に衝突した。凄まじい轟音と衝撃が俺たちを襲う。
「っ!」
ギシリス先生は咄嗟にき、飛んできた巖の破片から俺とエリリーを守るようにして拳で々に砕いた。俺はできるだけ負擔にならないようにとエリリーを腕の中に抱いた。やがて、轟音と衝撃がなくなり、あたりに土埃が舞うと俺はエリリーを解放した。
「な、なにが……」
エリリーは狀況の判斷に頭が追いついていないようで混していた。俺だってそうだ。
「お前たち、怪我はないかっ!」
ギシリス先生の怒聲にも似た聲に俺は答えた。
「はい、なんとか」
「そうか……よかった。しかし、これは一……」
「巖が飛んできたように見えましたが……」
俺が言うと、ギシリス先生は頷いた。
「恐らく魔だな。グレーシュはここでエリリーといてやれ。私は……」
ギシリス先生が何か言う前に、カンカンカンというような音が町中に響き渡った。この音を俺は知っている。そしてもちろんギシリス先生やエリリーも當然知っている。
「こ、れは……?」
「まさかっ!?」
エリリーとギシリス先生の顔が驚愕に染められた。
この音は敵襲を知らせる音だ。つまり、何者かによる攻撃をけたということ。。あの巖は……そういうことだろう。
「ギシリス先生……」
エリリーは俺の制服の裾をぎゅっと摘んで、不安げにギシリス先生を見上げた。ギシリス先生はどうしたものかと悩んだ末に、俺たちと一緒に狀況確認をすることにしたようだ。
もしここで俺たちを置いていき、何かあったりでもしたらヤバイからだろう。いま、この瞬間はなくとも俺たちにとっての安全の場所はギシリス先生の近くだ。
「まずはどこへ?」
「まずは學舎の方へいく。しかし、この有様では……」
ギシリス先生は言葉を濁した。たしかに……巖は完全に學舎に命中している。この中で果たして生き殘っているのはどれくらいいるのだろうか……。
ギシリス先生に付いて學舎の中へると、見るも無殘な學舎の景が目にった。巖に直接押しつぶされた先生や生徒……さらには巖の破片が突き刺さっているものもいた。
「私から離れるな」
俺たちはギシリス先生にぴったりくっついて學舎を探索する。と、廊下の上でよく見知った顔のの子が橫たわっているのを見つけた。
「ノーラっ!」
俺はギシリス先生の制止も聞かずにノーラの元へ駆け寄った。脈をはかるとちゃんと鼓してるのがわかった。
「勝手に走るな」
「すいません……」
確かに…軽率な行だった。もしかしたら、何かの衝撃で床や天井が崩れるかもしれなかったのに……しかし、居ても立ってもいられなかったのだ。
「その生徒は生きているのか?」
「はい」
「では私が擔いで行こう」
ギシリス先生はそう言ってノーラを片手で持ち上げてヒョイっと肩に擔いでしまった。やっぱすげぇ……。
いや、心している場合じゃない。ソニア姉が心配だ。他の奴らも大丈夫だろうか。割と悪運の強い奴らばっかりだし……無事を祈るしかないか……。
そしてまた暫く、學舎を探索するが生存者は見つからなかった……しかし、
「ギシリス先生。外に」
「む?」
俺は窓の外に広がる庭に集まっている生徒達を指差した。災害時や非常時には、あそこで集まる決まりだ。さらに外の生徒達を導しているのはアリステリア様だ。橫にはちゃんとアイクもいた。
よかった……無事だったのか。と、導しているものの中にソニア姉がいた。埃を被っているが目立った怪我はないようだ。
「よかっ……た」
思わず力が抜けた。
それから俺たちも外へ出てアリステリア様と合流した。
「ギシリス様!」
アリステリア様はギシリス先生を見るや否や、びを上げて走り寄ってきた。いつも綺麗に輝いていたお姿は、しだけ埃を被って汚れているが、大した怪我はなさそうだ。
走ってきたアリステリア様は、しだけ呼吸を荒くしながらもギシリス先生を気遣うように言った。
「ご無事でしたか」
「うむ……アリステリア嬢も無事で何よりだ」
ギシリス先生が大丈夫だと返すと、アリステリア様は安堵の息をらしてから続けた。
「わたくしはアイクやソーマ様がいらっしゃいましたので……それより何があったか把握しておられますか?」
アリステリア様が訊くと、ギシリス先生は肩を竦めて、首を橫に振った。
「いや、詳しいことは……しかし敵襲の鐘が鳴っていた。聞いていないのか?」
「し前まで気絶していましたの。ソーマ様から聞いておりますわ。それにしても大膽な宣戦布告ですわね……警備は何をやっていたのかしら……」
アリステリア様が親指を加えて怒りをわにすると、どこから現れたのかソーマがひょっこり現れた。
「そのことであるが……どうも間者が混じっていたようだ」
「間者……ですって?」
いつも穏やか何か笑みを浮かべていたアリステリア様が、黒いオーラを纏って、ソーマをギロリと睨み付けた。こ、こえぇ……アリステリア様って怒ると怖いタイプの人か。ふえぇぇ……。
ソーマは、そんなアリステリア様にもじずに報告を続けた。
「うむ……貴族の馬鹿どもが買収されたようだ」
「くっ……大方優遇してやるから軍隊が領土に侵できるようにしろと言われたのでしょうね……でも、様子がおかしいですわね。いくらなんでも見張りの兵が全て買収されたとは……」
何やらブツブツと言いながら、アリステリア様はを強く噛んでいた。が出てしまうんじゃないか?
それからアリステリア様は生徒の導に戻った。ソーマは殘って、ギシリス先生の肩に擔がれている娘を心配そうに見つめている。
「娘は……無事であるか?」
「あぁ。息もしている」
「そうであるか……」
ギシリス先生の言葉に安心したのか、ソーマは再び消えた。こうしている間にも敵は刻一刻と進行しているのだろう。一これからどうなるのだろうか……。そう考えたとき、俺は突然目眩に襲われた。
「うっ……」
俺はグラリと勢を崩してその場で倒れてしまった。
「え……グレイ?」
となりにいたエリリーが心配そうな顔で俺の背中をさすってくれた。いけないいけない……こういう時に男の俺がしっかりとしないといけないのに……。
俺は立ち上がろうと足に力をれるが……らない。足が自分のものじゃないみたいに言うことを聞かない。
な、なんで?
そう思った時、俺は吐き気を催して咄嗟に口を抑えた。
「グレイっ!?」
エリリーが慌てて俺の肩を抱いた。遠くの方からも俺に気付いたソニア姉が、俺の様子を見て慌てて走ってくるのが分かる。あぁ……心配かけたくないのになぁ……。
「だ、大丈夫……だよ」
心配する二人に俺は辛うじてそう言った。でも、直ぐに吐き気が俺を襲う。
「うっ……」
「無理をするな。あんな景を見たんだ。平然といられるわけがない」
ギシリス先生がエリリーに下がるように促すと、代わりに俺の背中をさすりながら言った。
あんな景……そうだ。學舎の中の景はひどかった。ゴロゴロと転がる死の中には俺と面識がある人もいたんだ。その中でノーラが生きていたからここまでなんとか平靜を保てていた……つもりでいた。しかし、やっぱりダメだ。気持ち悪い……もしソニア姉やノーラ、エリリーも同じようになってあたらと思うと気分が悪くなる。
「とにかくお前たちはここで暫く休んでいろ。私は町の様子を見てくるからな」
「せ、先生……」
エリリーは不安そうな表をギシリス先生に向けた。それに対してギシリス先生は笑って、頭を優しくでた。
「心配するな。ここにはソーマのやつがいる。安心しろ」
「……はい」
ギシリス先生はエリリーを宥め、擔いでいたノーラをそっと地面に橫たえると、町の方へ行った。
俺はなんとか立ち上がって周りの狀況を見てみる。怪我をしたもの、それを治療するもの、誰かと話すもの、泣いているもの……様々だった。
「………」
俺はただ呆然とその景を見ていた。そこへ、走ってきたソニア姉が、後ろから聲を掛けてきた。
「グレイ……無事でよかった」
ソニア姉は立ち盡くすを俺を後ろから抱きしめてくれた。……あ、そうだ母さんと父さんは……。
「お姉ちゃん……母さんと父さんは……?」
「分からない……けど、お母さんは町外れの家にいるはずだから大丈夫だよ。お父さんは軍人だし……きっと……大丈夫」
そういうソニア姉の顔に不安のが浮かんでいる。下手にくと危険だし、探しに行かない方ないいんだろうけど……。
「みなさん。しいいでしょうか?」
そんな折に、アリステリア様のよく通る聲が聞こえ、そっちに視線を向ける。周囲の人々も俺と同じように注意をそちらに向けた。そして全員が自分に注意を向けていることを確認してから、アリステリア様は話し始めた。
「もうお気付きでしょうが、これは敵による攻撃です。ここトーラの町は今、まさに最前線です。ノルス公爵の娘として……わたくしがみなさんを必ず安全なところへ移させますから……どうか心配しないでくださいませ」
アリステリア様の言葉に保証なんてどこにもないけれど……それでもみんな一様に頷いた。アリステリア様は目を伏せてから、言った。
「……ありがとうございます。それではまず狀況の確認ですけれど……アイク」
「はい」
呼ばれてアイクは前に出た。
「およそ數十分前……トーラの町へ向けて上級魔が放たれました」
ザワザワ。と、周囲の人々がざわめき立つ。
「その魔の攻撃はトーラの町の何箇所かに直撃しています。敵の軍隊の侵攻も確認されているために、これから我々は即時トーラの町からの出を試みます」
アイクはそれだけ言ってまた後ろに下がった。
「そういうわけで敵軍がこちらへ到達する前にトーラの町から離れます。ご家族の安否が心配な方もいらっしゃるでしょう……けれど我慢です。まずはご自分の命の安全を考えてくださいませ」
–––☆–––
 
こうしてき始めてからおよそ數時間……トーラの町の南の市壁から俺たちは出することに功した。
トーラの町の中は見るも無殘な狀況だった。いくつもの巨大な巖が建を壊し、人を押しつぶしていた。途中、町の人とも合流したりして俺たちは市壁を超えた。その先には既に町から出している人々の集団がいた。
とりあえず助かったようだ……。
その集団の中にはラエラママがいた。よかった……。
「お母さん!」
「ソニア!」
ソニア姉は母さんを見るなり走り、そして抱きついた。母さんもソニア姉を強く抱きしめている。相當心配してくれていたようだ。俺の方もかなり心配していたが、母さんの姿を見るなりの力が抜けてしまった。
「母さん……」
「あぁ……グレイも無事でよかった」
俺もソニア姉と一緒に母さんに抱きしめられた。苦しかったけど暫くを委ねたかった。そこへ聞きなれた聲が聞こえ、俺とソニア姉は咄嗟に振り向いた。
「ソニア……グレイ……」
いつもとは違って銀の鎧を著ており、右にはイガーラ王國の紋章である三つの剣が重ね合わさったような文様を付けたアルフォード父さんが、俺たちの後ろの方に立っていた。
「父さん……?」
見たこともないアルフォードパパの姿に、俺は暫く不思議な覚に囚われた。が、直ぐに我に返って父さんも無事でよかったと、ホッとした。
「あなた……」
「ラエラ……」
父さんと母さんは見つめ合って、やがて父さんがラエラママのにそっとキスをした。こんなときに……いや、こんなときだからか。
「ラエラ。子供達は任せた」
「……任せてよ。でも必ず帰ってきて?」
「あぁ。そうできるよう頑張ろう」
それから暫く経ったときである。町の方からズカーンという音が轟いてきた。キンキンという金屬がぶつかり合う音まで聞こえてくる。
戦闘音だ。戦闘が始まったんだ。
「みなさん!はやく町から離れますわよ!」
アリステリア様の聲に俺たちは足をかした。向かうのは隣町……そこまでいけば援軍が期待できるし、それに保護もしてくれるだろう。
今はとにかく逃げなくてはならない。俺たちは必死に足をかした。だが、それは無意味だった。
「おやおや?皆さんどこへ行かれるんですかぁ〜?」
そこはちょっとした林地帯。現れたのは丸坊主の男だ。この狀況を見て、そんなことを言う奴は狂気の沙汰ではない。俺は本能的に恐怖を覚えた。
「あ、貴方はっ……」
アリステリア様は突然現れた男を睨みつける。アイクはその男から、アリステリア様を守るように剣を抜いて前に出て、ソーマも姿を現した。
「おやおやおや?ソーマ大師長殿ではありませかぁー。五年前の戦爭以來ですねぇ……」
「ふん。吾輩に負わされた傷は治ったのであるか?マハティガル小師長」
ソーマは明らかな殺気を放ってその男を睨みつけている。敵……なんだよな……?
なんでこんなところに……。
「貴方たちは必ずこっちにくると思って待ち伏せていたんですよぉー?いい加減待ちくたびれてしまいましたよぉ」
と、マハティガルという奴の後ろの木々から皮の鎧を裝備した男達が現れた。
「くっ……武を持たない民間人の殺になんの意味があると言うのですか!」
アリステリア様の怒聲がまるで心地いいかのようにマハティガルは愉快に笑った。それはもう嫌悪を抱くような悍ましい笑い聲で……。
「あーっくっくっくっく。楽しスィィィからに決まってているでしょうがぁ!戦いの高揚んんっ!そして、刃がを裂く覚ぅ!最高じゃないですかぁ!」
マハティガルはそう言ってアリステリア様に向かって剣を振った。ガキンっと、もちろんアイクによってその剣は防がれる。
「貴方は知らない子ですねぇ……」
ギチギチと嫌な音を立てて、迫する鍔迫り合いの中でマハティガルがアイクに向かって言った。
「アイク・バルトドス中師兵だ!あの世で覚えておくんだな!」
「遠慮しておきますよぉ」
アイクの振るった剣は意図も簡単にマハティガルに避けられる。だがマハティガルは、それ以上何かするわけでもなく後方に下がった。
アリステリア様は一緒に逃げてきたやつに何か指示を飛ばしている。でも、俺には何を言ったいるのか分からない。母さんやソニア姉も俺に向かって何か言っている……なんだ?
と、俺のが気づいたら飛んでいた。蹴られたのだと気づいたらのは地面に落ちてからだ。あの、皮の鎧を著ている男達の一人に蹴り飛ばされたのだ。
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