《一兵士では終わらない異世界ライフ》初めての魔

–––☆–––

ノーラとエリリーと別れた後……俺は暫くクロロに弄られた。

「もう既に手遅れな程の男なんですねー」

「…………」

もうがあったらりたかった。いつのまにかソーマの気配がなくなっていたのが何より怖かったが気にしない方が賢明だと思ったので無視することにした。

々あったが、俺とクロロとギシリス先生はゲフェオンの町を出てすぐの平野地にやってきていた。街道外れの場所で魔が狩られておらず、そこかしこを闊歩している。

辺りにいるのは、ほとんどがバウーンという魔だ。

「それでは見ていてください」

クロロとギシリス先生が前に出たので俺は後ろに下がった。クロロは腰から刀を抜刀し、構える。獨特な構えだ……やはり我流か。

ギシリス先生も剣を腰から引き抜くと、半になって剣を構えた。軍の剣の構えの一つだ。俺も習った。

こちらに気が付かず、道草食ってるバウーンに向かってクロロは容赦なく剣技を発した。

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「【斬鉄剣】っ!」

刀が青白いを帯び振り下ろされた。バウーンはそれに気付かず憐れにも【斬鉄剣】によってそのを真っ二つに斬られてしまった。可哀想に……骨は拾ってやる。

が、バウーンは絶命すると同時に骨も殘さず霧散してしまった。すまん、骨拾えなかったわ。しかし、コロンっと紫の小さな石がバウーンが霧散した辺りに現れた。クロロはそれをとって俺に手渡してきた。

「これが魔石です。これをの辺りに押し込んでみてください」

俺は魔石をけ取って、言われた通りにに押し當てると魔石はドロドロと溶けて俺のっていった。すると魔力が増えた気がした。微々たるほどだが……。

「分かりましたか?」

「あ、はい」

俺は驚きつつ頭を整理した。なるほど、これで魔力を蓄えていくわけか……。

「あとは【斬鉄剣】ですね……先程見せたのが【斬鉄剣】です。原理は……って、まだグレイくんには早いでしょうね」

「む……」

今、子供だと思って馬鹿にされた気がした。ちぇ、見てろよ。

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と、視界の端になにやらヤヴァイものが見えた気がして、俺はスッとそっちに視線を向けた。

視線の先には、剣を肩に擔ぎ、魔石の小山に立つギシリス先生……俺の視線に気がつくと、「む?」と首を傾げた。僕の取り分はありますか……?

キョロキョロと慌てて探してみると、何匹まだ殘っていた……よかったよぉ……。

俺はクロロの前に立って背中の剣を抜いた。俺用だからの丈に合わせて作られている。それをさっきのクロロのような構えで構えるとクロロが興味深そうに俺を見た。

それから俺はさっきのクロロのきをイメージする。【斬鉄剣】……しかし、原理が分からないので見た目だけになるだろう。

俺は形だけの【斬鉄剣】をその場で使った。

「【斬鉄剣】!」

ヒュオンという剣が風を切る音。クロロは俺のきをみて驚いていた。

「ま、まさか一度二度みただけで…いえ、しかし完全ではありませんね」

「はい。形だけなら……でも原理が分からなくて」

「原理が分かれば使えるんですか……もうグレイくんを子供と見るのはやめた方がいいかもしれませんね」

おっと、それはそれで困る。

「いや、ですよ。いつまでも子供扱いしてください」

「はて、どうしてですか?」

「子供の特権がなくなりますから」

「特権?」

「はい。人なお姉さんに可がられる……とか?」

「私はグレイくんの將來が心配ですよ……」

クロロは呆れたようにため息を吐いた。まあ、そこは男に生まれた定めというものですよ。

ちなみに、本當の子供の特権というのは遊ぶ権利と休む権利だそうです。前世では、子供の定義が二十歳未満な訳だから、學校とか休んで遊ぶ権利が世界的條約で取り決められている訳ですね!つまり、私が高校を休む(中退)して自宅で遊ぶ(引き篭もり)というこも許されるわけです。

ニートとか呼ばれる筋合いはない!

俺がくだらないことを考えている間にも、クロロは【斬鉄剣】に関してのことを教えてくれた。

「で……えっと斬鉄剣の原理でしたね。特別に教えますよ」

お、ラッキー……もしかするとここで強力な剣技を習得できるかもしれない。そしたら俺の切り札として役立ってくれるかもしれない。あの剣すらも斬る魔技……【斬鉄剣】がな……。

「まず……斬鉄剣は風屬の魔技です。風を利用し––––––ということです」

「なるほど……」

俺はクロロから【斬鉄剣】の原理を教えてもらい、実行に移す。風を利用して……その力で真空の狀態を作って……というのを一連の行に組み込むのは非常に困難であると俺は思った。

ふむ……これは生の俺では難しいかもしれない。例のアレ・・を使えば、剣速、威力、太刀筋、魔力制……その他もろもろの能力値を大幅に底上げし、クロロと同等かそれ以上の剣技が使えるようになるだろうが、生の俺では、が出來いないため、難しいかな。試しにやってみたが、やはり功は出來なかった。

とりあえず、剣技について纏めるが……剣技ってのは魔の剣バージョンだ。剣に魔を付與したものと考えると一番手っ取り早い。まあ、説明したと思うけど……想像し易くするとソードなオンラインのソード的なスキルだ。

ちなみに【斬鉄剣】の消費魔力は俺の魔力だと半分だ。今の俺は最大で斬鉄剣が二回しか使えないというわけだ。これから地道に魔力を上げていかないとダメだろうなぁ……。

–––クーロン・ブラッカス–––

グレーシュ・エフォンスという年はどうにも子供という印象が薄い。會話の中に子供らしさはなく、仕草の中にも子供らしさというのがじられない。

私と同じ・・・・長壽の種族では、子供の姿で中は妙齢數百歳という者もいるが…イガーラ王國には人間以外の種族はないし、なによりグレーシュという年は人間だ。

だからこそ私は困した。この年の子供らしくない言や仕草に。言はなんだか男のようなじだ。仕草はあまりにも禮儀正しい。

や仕草もそうだが、驚くのはそれだけではない。剣や魔を併用する戦闘スタイル……全く才能というは恐ろしい。

ちなみに今、その問題のグレーシュという年はバウーン相手に戦っている。

私はそれを眺めている。足運びや剣は洗練されているが、私からすればまだまだだ。さすがは、『白虎』と呼ばれたギシリスさんが剣を教えただけはある……と、私はバウーンと戦っているグレイくんを心配そうに眺めるギシリスさんに視線を移した。

私はギシリスさんのことを見ながらも、さらにグレイくんのことについて視た。。

の方は魔力がないからか、あまり使わないのかもしれない。

「ふぅ……」

と、グレイくんは額の汗を拭いながらこちらに戻ってきた。私は側のポケットにハンカチがっていたのを思い出してそれをグレーシュに渡すとグレイくんが鼻の下をばしていた。

「どうしました?」

「あ、いえ」

グレーシュはし鼻息荒くハンカチを鼻にくっつけた。あぁ……そういう……。

「グレイくんはエッチですねー」

「男ですから」

キリッとした顔で言われた。

「本當に……將來が心配ですよ……」

「大丈夫です……俺は將來父さんみたいな立派な男を目指しているので」

「グレイくんのお父さんというのは……エッチな方なのですか?」

「違いますよ」

グレイくんは苦笑した。

「兵士ですよ。トーラの襲撃で僕たちを守って……」

「あ……」

悪いことを聞いてしまった。もしかすると、わざと明るく振舞っているのかもしれない。そうでもしないと……この子にも子供らしい一面があるのですね。

私は何も言わず無言でグレイくんの頭に手を乗せてでた。グレイくんは私を上目遣いで見上げ、目が合うとし恥ずかしそうに目を逸らした。

「優しくされたら好きになっちゃいますよ?」

また、そんな子供らしくないことを……。

「グレイくんが結婚できる歳になったら考えてあげますよ」

「えーそしたらクロロさんもうオバサンじゃないですかー」

「おや、私は長壽種ですから暫くはこの姿のままですよ」

「え?」

グレーシュは驚いたような顔をした。そんなに驚くことなのだろうか。

「私は人族夜髪コクヤ種という種族で、その種族はみんなが私と同じ闇の髪をしている長壽の種族なんですよ」

「あ、じゃあ僕が結婚できる年齢なってもクロロさんお若くて綺麗なままですね!」

「ふふ、そうですね」

笑顔でいったグレーシュが可笑しくて、私も笑ってしまった。なんというか面白い子だ。

綺麗と言われて悪い気はしませんよね。

私とグレイくんは、暫く笑いあった。

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