《一兵士では終わらない異世界ライフ》進撃の狼煙

–––☆–––

暫く時が経ち、俺が義勇軍にって三週間が経過した。この三週間、俺がやっていたことは魔の討伐だ。魔石を手にれて魔力の向上にこの三週間を費やした。ちなみに野宿だ。その方が効率がいい。ギシリス先生の授業で野営の知識がある俺にとって三週間の野宿生活は全く苦にはならなかった。一種のキャンプ気分だった。

そのおかげもあり、俺の魔力量が目まぐるしく増加した。【斬鉄剣】を本気で放つ計算だと計五回放てるくらいには魔力が増えた。

これくらいあれば、ある程度魔と併用することはできるだろう。俺はとりあえず一度ゲフェオンに戻るために帰路に立った。

三週間ぶりにゲフェオンの町に帰るとなんだか慌ただしかった。

なんだろう?

気になったが俺は領主邸の方にいって、クロロのところに顔を出していくつもりだったので、そのときに聞くかと思って俺は気にせず領主邸に向かった。

領主邸までいくと、義勇軍の本部に行くというのを門番の人に言って通してもらい義勇軍本部のある一室へ向かう。本部の扉を叩き、中にると、そこには意外な人がいた。

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「ギルダブ先輩?」

「む?お前は……」

ギルダブ先輩は呼ばれて、俺の方に目をやると思い出してくれたらしい。

「お久しぶりですね」

「そうだな」

俺はギルダブ先輩に簡単な挨拶をしておく。それから本部の面々に目を向ける。ナルクとギシリス先生と……アリステリア様とアイクがいる。

「アリステリア様もお久しぶりですね」

「えぇ、お久しぶりですわね」

「アイクさんも」

「あぁ」

アイクとはあまり喋ったことがないから俺は軽い挨拶に止めておく。にしても、アリステリア様とギルダブ先輩のカップリングがここに……いや、弄るのは後でいいや。

それよりも、何故ギルダブ先輩がここにいるんだろうか。たしか王都の方で軍にったんじゃなかったか?

それを訊くとギルダブ先輩が真剣な顔で言った。

「トーラの町の襲撃に対して、王都へ援軍要請があってな。二週間前にここへ來たのだ」

「あ」

そういえばそんな話があったな……俺は納得して頷いた。

「それじゃあギルダブ先輩の軍なんですね!」

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「いや、俺はそこまで階級が高くない。俺の所屬する師団が援軍として來たんだ」

「師団ですか……」

「あぁ」

なるほどね。なんか騒がしいと思ったら。師団が來てればそれだけんなものが必要になるし、人も増えて騒がしくなるのも頷けるよな。それから暫くしてコンコンと本部を叩く音。その後にってきたのは皮の鎧著る兵士だ。

「義勇軍の方々に伝令です。トーラの町を占拠するオーラル皇國軍にきがあったと」

「ついにか……準備は出來てぜぇ……おい、誰かクロロを呼んでこい!それと、至急同志達を領主邸の広場に集めさせろ」

ナルクのいつもと違う真剣な雰囲気に伝達を頼まれた義勇兵も真剣な顔で、「了解しました」といって本部から走り去る。ギルダブ先輩も真剣な面持ちで腕を組み、唸っている。

「ついに……始まるのですね」

アリステリア様の言葉に、俺も何となく察しがついた。俺が修行に費やしたこの三週間……無駄にするつもりはない。

俺が確固たる決心をにしたところで、ギシリス先生が俺の方に寄って歩いてきた。首を傾げて、何の用かと尋ねると、ギシリス先生は訝しげな目で俺を見ながら口を開いた。

「見ない間に……隨分と変わったな」

「え?そうですか?

「あぁ……」

ギシリスはどこか複雑そうな表をしている。どうして、そんな表をしているのかは、俺には分からない。ただ、以前のような心配してくれるような目ではなかった。

「本當に……見ない間に立派になったものだ」

最後に、しだけ不用な笑みを浮かべて俺の頭を雑にでてきた。雑にだけど……それでも、剣の師匠にこうして認めて貰えたのは、素直に嬉しかった。

–––オーラル皇國軍対策會議–––

ゲフェオン領主邸のとある一室。円卓を取り囲むようにして座るのはゲフェオン伯領の領主ウルスラー・ゲフェオン伯爵。向かい側には義勇軍の代表のナルクとクロロ……そこに加えて、冒険者であるクロロと同業者である二人、ワードンマ・ジッカとアルメイサ・メアリールの四人が代表して並んで座っている。

ワードンマ・ジッカは、妖族炭坑ドワーフ種の男であり、年齢は三十六歳と……そろそろ四十路に差し掛かろう年齢ではあるが、クロロと同じく長壽の種であるために的能力は最盛期を迎えている。だが、種族がら見た目は大柄で厳ついおっさんというイメージであった。

一方、アルメイサ・メアリールというは人族紫髪ライテイ種で、出のある服裝をしていた。全的にプロポーションもよく、その満なは男をわす彼の武である。

この二人は、クロロと同業者であるだけではなく、クロロとは普段から冒険者の仕事を共にする仲間でもあった。二人をよく知るクロロは、ワードンマは大雑把な格で、アルメイサはドSであると証言している。

そんな彼らの座る場所から、左に……援軍としてかけつけたギルダブの所屬する師団の長であるヨーレンツ・バルトドス中師長が座り、隣にギルダブが座っている。

そしてヨーレンツの向かい側にアリステリア・ノルス・イガーラ公爵令嬢と、その護衛であるアイク・バルトドス中師兵が座っていた。この場には見えないが出席しているであろう人は、そのアリステリアのもう一人の護衛……ソーマ・アークエイ大師長だ。

これがこの対策會議のメンバーとなる。ちなみに、この対策會議にはもう一人だけソーマのように席には座っていないが、部屋の隅の方で息を潛めている者がいた。

その景をジッと見つめるその者はグレーシュ・エフォンスという年だ。年というには若く、まだ八歳という年齢である彼だが今回、タイミングがいいこともありナルクの計らいでグレーシュはこの対策會議に立ち會うことができたのだ。

グレーシュはせめて邪魔にならないようにと隠スキルで気配を消して隅の方で會議の様子を見つめるのである。

「それでは……これよりオーラル皇國軍対策會議を始める。この場はゲフェオン伯領が領主である私、ウルスラー・ゲフェオンが進行させていただく。異議はありますかな?」

「「「異議なし」」」

この場の出席者達は口を揃えて言った。

「では……本日お集まりいただいたのは現在、我が領地に侵攻するオーラル皇國軍に対する対策を考えるため……」

「平たくいえば戦爭だろ……」

「えぇ……そうです」

ヨーレンツの言葉にウルスラーは肩を竦めた。

「今、分かっていることは敵軍の數がおよそ十二萬といったところでしょうかね。比べて我が領地は王都の援軍を合わせても九萬……數の差で負けているのは明白ですな」

ウルスラーは苦蟲を噛み潰したようにいった。ウルスラーからしたら、援軍のなさに腹をたてるのは無理もないことだが、その援軍であるヨーレンツからしてもそれは歯いことであった。

「大変申し訳なく思っているウルスラー伯爵殿……しかし、將軍も出來る限りの援軍は送ろうとしたのだ」

「分かっていますよ……」

現在イガーラ國では王位継承権を巡るに近い狀態が続いている。第一王子と第二王子派閥に別れたは第二王子派の馬鹿貴族の保主義のために複雑化を極めている。 

第二王子派の貴族共は無理矢理軍にり込み軍権を握ろうとしている。軍を丸め込めばこのを制するのは當然のことだ。だから高い金を払って軍に子息をれる。子息が上級階級に上がれば軍をりやすくなるからだ。

しかし、それを許そうとしないのが現在の將軍でアリステリアの父であるゲハインツ・ノルス・イガーラだ。どちらの派閥でもない彼がいるおかげで大規模なにならずに済んでいるものの両派閥の貴族共の介で軍はメチャクチャだ。

に走る貴族のせいで中々援軍が送れなかったのだ。

加えて、このゲフェオン伯領はそもそも大した重要拠點でもない。ただ、奪われたら徴収できる稅金が減ってしまう程度のこと……上の者達はその程度に捉えてわざわざ援軍を寄越し、費用を馬鹿に支払う必要はないと判斷したのだ。

重要拠點でもなかったために、ゲフェオン伯爵の私兵も三萬となかったのが、問題だろう。

「すまない……アルフォード大師長がご存命ならば窮地をすることもできたはずなのだがな……」

グレーシュはその名前を聞いて思わず聲を上げそうになったが飲み込んだ。アルフォード・エフォンス……それはグレーシュの父親の名前だったのだ。

「あんな突然な襲撃で指揮も取れなかった狀況だ……それでも多くの者を救ったのだ。せめてここを守り切りたいものですな」

ウルスラーが目を閉じて考え込むように言ったそれに、ヨーレンツもアリステリアもアイクも……會議の出席達は喪った者の大きさに思い馳せた。

そしてグレーシュも……。

「アルフォード様の無念も晴らすために今一度、わたくし達でトーラの町を奪還いたしましょう」

アリステリアの言葉に出席者たち全員が頷いた。

–––義勇軍配置–––

◆グレーシュ・エフォンス

擔當:ゲフェオン伯領西部ザスカー林地帯資支給班。

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