《一兵士では終わらない異世界ライフ》偶然の出來事

–––☆–––

「大丈夫ですか?」

と、俺は後ろを歩くメイドさん二人と……メイドさんに背負われているお嬢さんを見ながら投げ掛けた。二人からは、「大丈夫……」というような返答があったが、全然そんな風には見えない。息も上がって、肩が上がって、「はぁはぁ」と荒い呼吸を繰り返している。

なにこれ卑猥……。

自重しようか!

【ブースト】を使ったままの俺は、クロロに肩を貸して歩いている。金髪の俺に要約気付いたクロロが、俺に向かって問いかけてきたのは今から三十分前……ちなみに、窟から出てきたのも三十分前になる。

おぉ〜?つまりですねぇーまだ三十分しか経ってないのに、この有様なわけなんですよぉ〜。

これ……半日とか無理だろ?

當たり前と言えば、當たり前だ。の人がの人を背負って……ん?ユリユリ……?自重しますねぇ……。

とにかく……メイドさんもの人なのだ、そんなか弱いが、さらにか弱いの子を背負っているのだから、疲れない訳がない。

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俺が背負っていければいいのだが……俺は、背負われているに目を向ける。

どう見ても……貴族だ。俺が無闇矢鱈にれられる訳がない。メイドさん達も貴族の出だろう……。

「はぁ」

と、一息吐いた俺に、クロロも溜息をポツリと吐いた。

「グレイくん……このままでは王都にいつ著くでしょうか」

「さぁ……」

肩を竦め、首を橫に振った俺を見て、クロロはもう一度溜息を吐いた。

「いっそ……グレイくんが全員擔いでいけませんか?」

「えぇ?全員?」

恐らく、クロロからしたら全員擔ぐのは無理というような反応に見えたかもしれないが、そこは問題ない。【イビル】を腕に武裝してぶんまわせるくらいの腕力と腳力……正確にはそういうレベルの補助がけられる【ブースト】狀態の、スーパーな○イヤ人の俺が出來ない訳がない。

が、先ほど言った通り、相手は貴族だ。こっちもそうしたいのは山々だが、果たしてやっても宜しいのだろうか……。

そんな俺の葛藤に気付いたのか、クロロは振り返るとメイドさん達に聲を掛けた。

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「すみません。ここから、こちらのグレイくんに背負って貰って移しようかと思うのですが……」

とクロロが提案すると途端にメイドさん達の顔が明るくなった。あーんでた系なのね?気が利かなくてごめんなさい……確かに、人間楽出來れば立場とかどうでもいいよね!

俺たちは一度立ち止まり、俺は腕を広げて立った。

「じゃあ、しっかりおつかまりくださいね」

そう言うと、まずは背後には気絶なさっているお嬢様が……そして左右に人なメイドさん、そして前にはあのクロロが……。

絵図らを見れば羨ましい限りのこのシチュエーション……らいあれとかあれとかあれとかあれとか、じることだろう。俺はそのに関して言及すれば、この世界の木々を何本切り倒しても紙が足りないというレベルで事細かく詳細に伝える自信はある。

だが、これは一どういうことだ?

目に見えてわかるように、前後左右はパラダイス・オブ・おっぱ○……俺の俺がスーパーサイ○人になっていてもおかしくないシチュエーション……にも関わらず、俺の大事な寶はスタドアップせずに大人しく垂れている。

というかそれ以前にっ!!

(何にもじねぇっ!!!)

俺は心で絶した。

そうだった……【ブースト】により、魔力に包まれたこのは鋼鉄の度によって保護されている。それを雷の元素で脳と直接連結して、その鋼鉄のスーツをかしているわけだが……・・・・はない!

しくじった!なぜ、俺はこのシチュエーションに陥ることを予期することが出來なかったんだ!

いや、無理だろ……。

俺が一人涙を流していたためか正面でクロロが、きょとんと首を傾げていた。

さらばだ……パラダイス・オブ・ヘブン!

しかしながら、所詮このは八歳児の……が分かったところで何もじないだろうね。ホルモン的とか、機能的にね。

俺は若干の哀しみを抱え……ついでに三人と一人も抱え、地面を蹴って街道に沿って走り出した。

風を切って走る俺は、四人が振り落とされないようにしっかりと抱える。速度がかなり出ているの中で、この気の遣いよう……もうちょー紳士。決して、変態紳士の方ではない。

「は、はやい!」

「すごい……」

という左右からの驚愕の聲に、「早で候……」なんて心で俺はビクビクしていた。僕は將來どうなるんだろうか……。

俺は頭を振って、一旦煩悩を追い払った。

–––☆–––

半日かかる距離を、驚異の二分の一の時間で踏破した俺は微塵も疲れた様子を見せずに悠然とゲフェオンの前の大門の前に立っていた。

ふっ……と、カッコつけたいところだが、これは【ブースト】を切った後が怖いなぁ……しかし、街にってからも金髪に輝いていたら目立つことこの上ない……俺は【ブースト】を切った。

「ごっ……」

どっと疲れが遅い、今まで掛かっていたすべての負擔が俺を蝕んだ。そのまま俺は膝をついて倒れ、肩で息を繰り返した。

「大丈夫ですか!?……無理をしすぎたのでは……?」

クロロが駆け寄って、俺の肩を抱いて著させ、寄りかからさせてくれた。

ぽよんっ……と何やららかなものが當たった気がするが、そんなことよりも疲れた。

なんだろう……何か大事なことを俺は見落とした気がするが、多分気のせいでしょー。

今度は俺がクロロの肩を貸してもらい、メイドさん達の方へ視線を向けた。

「これからどうするのですか?」

クロロが問い掛けると、メイドさん達は気を失っているお嬢様を介抱しながら答えた。

「やはり……王都へ向かいます」

答えた顔には、疲れが浮かび上がっている。そりゃあそうか……と、俺は苦笑して一つ提案した。

「本日はこちらの町でお休みなさった方がいいですよ。見た所、高貴な方のようですし、領主の方に融通してもらえば……ね?」

隣のクロロにも同意を求めると、「そうですね」とクロロも頷いた。しかし、どうもメイドさん達の表が険しい……どういうことだ?

ふと、俺は気を失ってメイドさんの背中で靜かな寢息を立てているお嬢様に視線を向ける。今まで、こちらの気遣いに表を明るくさせていたメイドさん達が険しい表をしている理由……。

お嬢様の髪は緑だ。しかも、高貴な貴族が著るようなドレス……ただの伯爵位の貴族とは違うさってもっと高い位に見えた。

ふむ……と、クロロに肩を貸してもらいつつも顎に手をやって逡巡する仕草を見せる。

ずっと気になっていた……どうしてアリステリア様はオーラル皇國のを事細かに知っていた?逃げ出したという皇妃達は?盜賊……緑の髪、窟で戦った男の腕に付いていた魔導機械マキナアルマ、それにメイドさん達の表……ふむ。

これは殆ど直だったが、俺はゆっかりと口を開いた。

「もしや、オーラル皇國の皇族の関係者ですか」

俺が問いを投げ掛けると、メイドさん達はくわっと目を見開いて、お嬢様を庇うように立ち位置を変えた。

どうやら、そのようだ。

クロロは頭上にハテナを浮かべて、俺に説明を求めている。俺はメイドさん達を見據えながら、クロロに答えてやった。

「……ずっと疑問だったんですよ。どうしてアリステリア様がオーラル皇國のにあれほど詳しかったのか。そんなの考えれば簡単ですよね……そこにいた人・・から聞いていれば、そりゃあ知ってますよね」

「どういうことですか?」

「これ、僕の想像ですけど……逃げ出した皇妃達は隣國のイガーラ王國に逃れ、オーラル皇國の使節として王都に向かい、救援を求めたんじゃないですか?公爵のアリステリア様ならいち早く気づいてけるでしょうし……まあ、詳しい話はアリステリア様に聞くのが早いでしょうね。

で、王都に向かってる途中に盜賊に襲われてこの人たちは攫われた……護衛がいたのでしょうが、オーラル皇國からここまで來てたら疲弊していないはずがないですから……盜賊にやららてしまったんでしょう。詳しくは知りませんけど……」

俺が仮説を立てて話すと、メイドさん達は困の表を浮かべた。

「ま、全く……その通りです」

そら、來た……どこの世界でも一緒さ。何か大事の前には必ず邪魔はる……盜賊にしろなんにしろ……。

俺は一息吐いてから、メイドさん達に言った。

「大丈夫です。そちらの狀況は理解していますから……一度、ご同行いただけますか?」

一度言ってみたかった!刑事!刑事ぃ!

(閑話休題)

「わかりました……」

と、一応信用してくれたのかメイドさん達は警戒を解いてくれた。さて、じゃあアリステリア様のところに行くか……。

俺たちは領主邸の方へと歩みを進めた。

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