《G ワールド オンライン ~ユニークすぎるユニークスキル~》プロローグ いつもどおりの日々
はるか昔、人々は神に挑戦するべく大きな塔の建築し始めた。
そのころの人々は、言葉の違いが無く作業は順調に行われていた。
しかし、それに気が付いた神は塔を壊し、そして人々の言語を別々のものにしてしまった――
「神様ねえ……」
『創世記』という名前に惹かれてその本を手に取った青年が呟いた。
この青年の名前は、神川 勇人かみかわ ゆうとだ。
勇人は、特に勉強がすきという訳ではないが、勇人が通っている町枠學高校では、優秀な績を収めた生徒には世界一の大企業『WTG』の推薦が貰えるため、決して裕福とはいえない勇人はそれを目指して勉強していたのだ。
「勇人? こんなところでどうしたの?」
図書室にってくるなり勇人に向けて聲をかけたのは勇人の馴染である、春風 咲空はるかぜ さらだ。その聲を聞いたのか、図書室にいた複數の男子生徒がチラチラと咲空に注目していた。
このことから分かるように、咲空はとても人気があり、學校でも五本指にるほどだ。
対して、勇人の方は特別、顔が良いという訳でもなく天才というわけでもない。
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そうなると、自然と他の男子生徒からは嫉妬の対象となるのだ。
「しは周りに気を使えよな、ここ図書室だぞ」
勇人は周りに聞こえないように小さな聲で咲空にそう言った。
咲空はハッとした表をし、手を口に添えて、咲空を見ていた男子生徒たちに向かって笑顔で會釈をし、満足げに勇人の前の席に座る。
「で、どうして勇人は勉強なんてしてるの?」
咲空は、座るなりそう勇人に質問をぶつける。
勇人にしてみればとても失禮な質問に、若干口元をゆがめて答える。
「あのなあ、この時期に俺が勉強するのはいつものことだろ」
勇人がそう返すも、咲空は首を傾げたままで分かっていない様子だ。
「おい、その反応はまさか、來週テストだってこと忘れてないか?」
勇人は半ば、呆れた表で咲空に向けて言葉を放つ。
それを聞いた咲空は、初めはニコニコと笑みを浮かべていたが次第に顔が曇り始めた。
最終的には――
「ねえ、どうしよ、すっかり忘れてた、勇人、勉強教えて」
と言った調子で、勇人に懇願していた。
「あのなあ、俺だってそこまで優秀なわけじゃないんだぞ?」
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勇人は呆れと疲れが混じったような顔でそう言った。
咲空は目をうるうるとさせながら勇人を見つめていた。
馴染と言えど、人なにこうもずっと見つめられると男子は居心地は言い訳が無く、加えて周りの視線もあり、勇人に殘された選択肢は一つしかなかった。
「……分かったよ、一緒にやろう」
その言葉を待ってましたとばかりに、咲空はニコニコと笑みを浮かべ喜びを表現していた。
こうも、あからさまだと勇人の嫌な気も紛れるのだった。
しばらく図書室で勇人と咲空が勉強していると、晝休みの終了五分前の予鈴が鳴り響いた。
「あ、もう終わりかー」
「そうだな、早く戻らないと遅刻するぞ」
咲空は不満げに呟き、勇人はせっせと片づけをする。
そうして、二人は図書室を後にした。
ちなみに、二人は同じクラスではなく、勇人は二年一組、咲空は五組である。
「じゃ、また」
勇人は小さく手を上げ、咲空に告げる。
咲空も続いて、告げる。
「じゃあね、また放課後ー」
「おい、放課後はさすがにな……」
勇人は、今日は家事の當番を任されていたため、その願いは厳しい。
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「ん? 勉強じゃなくて、一緒に帰ろうって事だよ」
咲空は笑顔でそう言って走り去っていった。
殘された勇人はポカンと立ち盡くし、周りで聞いていた男子生徒からの嫉妬の視線だけが殘った。
世界一の大企業『WTG』とは、ロボット産業によって発展した企業である。
そして、今現在は人間と同等かそれ以上の人工知能の開発に功したことによって世界的注目を浴びたのだ。その他には、醫療、研究目的で作られたVRマシーンの開発も『WTG』の長に大きな影響を與えた。そういった様々な発明によって世界最大の企業に上り詰めたのだ。
今や世間の『WTG』の評判は、ものすごく高く、誰もが『WTG』に社を希したがるほどだ。
しかし、『WTG』には謎に包まれている部分を多々あり、どこの國から生まれた會社なのかもハッキリしていない。というのも『WTG』と言う會社は突然、世界の至る所から同時多発的に世界を驚かせるような発明を発表するのだ。
そういったことも重なり、『WTG』には様々な噂が飛びっていた。
いわゆる、都市伝説というやつだ。
例えば、あの會社は人工知能が経営しているというものから、あの會社の社員はみんなロボットだ、といったぶっ飛んだ容のものまである。
それが、真実かは『WTG』だけが知っていることだろう。
「じゃあ、授業を始めるぞ」
先生がそう言いながら、モニターに教材を表示させる。
先生は、モニターに表示された事柄を一つ一つ丁寧に説明していき、授業が順調に進んでいった。
今の時代、ほとんどの人は家に人工知能を持ったロボットがおり、その大半が家庭教師や家政婦のように働いている。
それならば、人間の教師はいらなくなると思われがちだが、やはり人間に教えるには人間が一番という結論がなされ、教師は人間のままとなっている。
噂では、『WTG』が脳に直接データを力することで、勉強をしなくてよくなるような夢のような裝置を開発しているという話もあるが、あくまで噂だ。
「それじゃあ、ここで授業は終わりだ、分からないことがあったら先生に聞きにくるように、そして家に帰ったら必ず復習すること」
先生はそう言って授業を終えた。
今日の授業は、比較的簡単だったためか、先生へ質問する生徒はおらずほとんどの生徒はおしゃべりを楽しんでいた。
今の時間で今日の授業は終了のため、後は帰りのHRのみとなっている。
その空いた時間に、勇人は復習をしていた。
そうして、いつものように學校は終わり、帰宅となる。
もちろん、帰宅は咲空と帰ると言う半ば強制的に約束したため、勇人は咲空と帰り道を歩いていた。
「今日も、楽しかったねー」
咲空は、満面の笑みを浮かべながら明るくそういった。
勇人の方は、理解できないとばかりに顔をしかめる。
「咲空は試験前って事をもう忘れてるんじゃないだろうな?」
「そ、そんなことないよ」
明らかに勇人の質問に対して咲空は揺し、それを見た勇人は呆れた表を浮かべた。
「ほ、ほら、今日ってたしか、WTGが何かを発表する日でしょ? それが気になって……」
多強引に理由付けをした咲空に、勇人は変わらず呆れ顔を続けて言葉を発する。
「まあ、確かにそれは気になるけどな、それにしてもだろ」
「もう、しつこい男は嫌われるよ」
咲空は頬をプクッと膨らまして勇人へ言葉を投げかけた。
怒っているのだろうが、である咲空がやると狙ってやっているようにしか見えない。
そういうときの対処法は無視かあるいは――
「すまんすまん、何かおごってやるから」
「ほんと!? じゃあ、最近出來たクレープ屋のクレープがいい」
こうやって、食べで釣るのだ。
々腹黒いのかもしれないと、勇人自思っているのだが、この方法が一番手っ取り早かった。
勇人は約束どおり、クレープ屋に連れて行かれちゃっかり奢らされることとなった。
「おいしー、ただで食べられるなんて幸せだよー」
咲空は嬉しそうにモグモグとクレープを食べ続け、その隣で財布の中を見て落ち込んでいる勇人がいた。
まさか、クレープ代が勇人の夕食代並みの価格だとは思ってなかったのだ。
「はぁ、憂鬱だ」
「はぁ、幸福だ」
似たように息を吐いた二人でも、その心は全く違ったものだった。
そこへ、勇人の腕時計に何かの通知がった。
「ん? なんだ」
「勇人のその腕時計って、確かWTG製だよね? ならさっき言ってたあれじゃない?」
咲空が勇人の腕時計を見て、目をキラキラさせながら言った。
勇人がWTG製の腕時計をしている理由は、一度、WTG主催の催しに行ったときに景品として當てただけというきわめて簡単な理由である。
「さっきの話って、あれか、新発表の」
「そうそう、勇人、早く見せて」
咲空はすっかり興して、勇人に早く見せるように腕を引っ張り始めた。
「分かった分かった」
勇人は、腕を引っ張ってくる咲空から離れて、腕時計のボタンを押す。
すると、いつものように腕時計からモニターが現れ、勇人は通知となっている項目にれる。
そうして、目の前に映像が流れ始めた。
その映像の中にはWTGの社員と思われる男が営業スマイルを浮かべて、話していた。
「皆さん、お待たせしました。前回の発表作品はVRマシーンでしたね――」
その男は前置きとばかりに、前回世間を賑わせた発明品のVRマシーンについて熱く語り始めた。
正直な話、ゲーム機のVRマシーンは注目度は高かったものの、何故か肝心なゲームソフトの方が、擬似的に料理を験出來るといったものから、スポーツ系のゲームといったような、現実の世界でも楽しめるようなものばかりだったため、需要はあまりびなかった。
まあ、に障害がある人に向けて開発されたゲームなのだから仕方が無いのかもしれないが。
「では、本題にりましょう、今回の作品の一つ目はこちらの車です!」
男は、後ろの指差してんだ。
それは、誰が見ても普通とはいえない車が置いてあった。
「名づけて、フライング・カー、いわゆる空飛ぶ車ですね」
そう、タイヤが無いのだ。
その男は説明をしながら、車へと乗り込み、運転席へと座る。
すると、勝手に車が持ち上がりき始めたのだ。
そこには勇人たちも驚きを隠せない。
「すっごーい、絶対私買うー」
「相変わらず、ぶっ飛んでるな……」
咲空は興して大聲を上げ、勇人は驚きつかれてため息をついていた。
その間にも、WTGの映像の男は説明を続け、様々な発明品を紹介しては、勇人たちを驚かせていた。
「では、本日最後の製品となります、さて前回のVRマシーンについての話は先ほどしました。
しかし、皆様のご家庭にはあまり普及していない様子、ですが! この製品を見た子ども達はきっと、すぐにでも両親に買ってとねだる事でしょう、保護者の皆様、覚悟はよろしいですか?」
男は、笑みを浮かべて製品があるであろう場所へ歩き始めた。
その様子を、勇人と咲空はソワソワして見守る。
「とうとう最後の発表か、張するね」
「VRマシーンのソフトみたいだな」
そして、男がたどりついたのは以前発表したVRマシーンのある部屋で、そこに見慣れないパッケージの箱が置かれてあった。
それを、男は取り上げて笑みを浮かべる。
「本日最後の製品は、こちら、VRマシーンで楽しめるMMORPG、名づけてVRMMORPGです!
なんだ、ゲームか、と思った大人の皆さん、お子さんの目を確認したほうが良いですよ」
男はにこやかな笑みを絶やさないまま、ゲームの紹介を終えた。
そうして、映像は終わり、勇人たちは冷めぬ興を抑えながら家へと帰宅した。
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