《G ワールド オンライン ~ユニークすぎるユニークスキル~》第二話 ゲームプレイ
昨日の出來事が原因で、勇人は寢ぼけ眼で學校にいた。
「勇人、どうしたの?」
勇人が教室の中にろうとしたところで、聲をかけてきたのは咲空だ。
いつものように明るく笑顔で周りの視線を鷲づかみにしている。
そして、勇人へは嫉妬の視線を送っている。
勇人はもう慣れたことだと、割り切れればいいのだがそううまくはいかないものである。
勇人に友達がないのも、これがしだけ関係しているともいえる。
「しな、寢不足だ」
勇人は、あくびをしながらそう答えた。
「へえ、勉強でもしてたの?」
咲空のその言葉に、勇人は固まってしまった。
なぜなら、昨日は勉強を一切していなかったからである。
「あ、うん、そんなところ」
勇人は、咲空の質問に歯切れが悪く答え、その様子に咲空は何かを思いついたのか意地悪げな表を浮かべた。
「分かった!、昨日ゲームでもしてて、勉強するの忘れたんでしょ」
その咲空の言葉に勇人はギクッと肩を竦ませ、後ずさりする。
「あれ? まさか図星だった?」
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咲空は、勇人の思いがけない様子にし驚きの表を見せ、再びニヤッと含み笑いを浮かべる。
「へえ、人には勉強しろって、言ったのに自分はゲームで寢不足かぁ」
「……すいませんでした」
勇人はこれ以上めんどくさい事にならないように、素早く頭を下げてこの場から逃走を図ろうとする、が、そこへ新たな刺客が現れた。
「やあやあ、勇人君、僕の聞き間違い出なければ、君は勉強もせずに夜更かしをしたと?」
そこへ現れたのは、一瞬どこかのアイドルかと思わせるような容姿を持った、荒谷 紅谷あらたに こうやである。
紅谷は、その容姿だけでなく績も良いといった、いわゆる持って生まれた人間で格の捻くれた人間なら確実に嫉妬の対象になる。
勇人とは、以前図書館で勉強しているときに出會ってから比較的仲の良い友達である。
「お前まで出てくるとは……」
勇人は、紅谷の顔を見るなりガクッとうなだれた。
「ひどいなぁ、友達じゃないか」
「なら俺を解放してくれ」
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勇人は、前方に咲空、後方に紅谷という、違う意味での完璧な包囲網に挾まれ、どうしようもない狀態である。
「分かった分かった、なら、昨日の夜は何をしていたんだい?」
「え、勇人、噓ついてたの?」
紅谷の言葉に咲空が驚きの表で勇人の顔を見る。
そして、勇人にしてみれば別に隠すことでもないのであまり、気は重くない。
「正直に話すよ、昨日――」
そうして、勇人は昨日の出來事を話し無事に開放されたのだ。
紅谷と咲空は去り際に
「じゃあ、今日の夜ねー」
「僕も、行くとしよう」
と、言って去っていった。
「まさか、あいつらも、持ってるって事か?」
勇人は、一人でボソッと呟き教室へると、ちょうど扉の近くの席の人と目が合った。
山岡 夕弦やまおか ゆづると言う名前で、基本暗いという評価の人だった。
夕弦は、ほとんど一人でいることが多く、よく本を読んでおり、勇人は過去に一回か二回ほどしか話したことが無かった。
そのときの會話も、勇人は全く覚えてないが。
「おはよう」
勇人は、目が合ったからにはと、挨拶を夕弦にかける。
「……おはよう」
てっきり無視されると思った勇人は、心驚いていたが、それを顔に出すのは失禮だと思い、そのままそこを過ぎようとすると
「……さっきの話って、GWOのこと?」
夕弦がそう勇人へ質問をした。
これには、さすがに驚きの表が顔に出てしまったが夕弦は気にしていない様子でジッと勇人を見ていた。
「あ、聞こえてたんだ、そうだよ、GWOの話」
「じゃあ、俺も今日の夜に行くよ、……よろしく」
ボソッと勇人にだけ聞こえるような聲量で夕弦は言い、そして読書に戻った。
勇人は、あまりの衝撃にポカンとしたが、ずっとそこに立っているわけにはいかないので、自分の席に向かう。
「今夜も勉強は出來そうに無いな」
勇人はそう呟いて、窓の外の景を眺めた。
そうしてあっという間に放課後、今日は咲空は部活があるようで教室には來ず、勇人は一人で帰宅した。
家には、昨日と同じように咲が帰っており、リビングの椅子に座ってテレビを見ていた。
そして、勇人を見ると、やっと來たかといったような表を見せ、何かのメモをこちらに見せた。
「なんだこれ?」
「お母さんからの伝言」
咲にそう言われ、勇人はその文章を読む。
そこには、出張に出ることとしばらく帰れないと言うことが書いてあった。
「そっか、家事とかはロボットに任せればいいし、後は……」
勇人は、周りを見渡してするべきことを探す。
咲は、落ち著かない様子で勇人を見ていた。
「どうした? トイレなら別に気にしないでいいけど」
「馬鹿、そんなんじゃない、えっと、お母さんがしばらく帰ってこないって事は、ゲームをずっと出來るなって思って、例えば今とか……」
咲は、俯きながら恥ずかしそうにそう呟いた。
初めてともいえる、家庭用ゲーム機に相當期待していたようだ。
それは、勇人も同じなのだが。
「そんなにやりたかったのか、へえ」
「な、何よ、別にいいでしょ」
咲は、含み笑いを浮かべる勇人をキッと睨み付けて大聲をあげる。
「すまんすまん、じゃあ、やるか」
「もう、いい」
咲は、そっぽを向いてそう呟き、自分の部屋へと向かった。
さすがに、ここで眠るのは無防備にもほどがあるので、勇人も部屋へと向かう。
勇人は、ワルグZを手首にはめ、高鳴る鼓をじながら起ボタンに手をかける。
すると、腕時計から機械音が流れ、青く輝き始める。
ここで、勇人はベットに橫になる。
そして、呼吸を整えて、ゆっくりと目を閉じた。
すると、真っ暗なはずの視界に文字列が並び始める。
『脳チップ確認完了 チップ接続 他接続……確認なし エラーなし GWO読み込み中……完了』
「音聲力か、行力をして下さい」
「うわっ」
急にワルグから聲が流れたため、勇人はけない聲を発した。
そして、音聲力や行力と言うのは、誤って起するのを防ぐために決まったアクションをしなければならないというものだ。
勇人にとっては、初めてのVRマシンだったためそのことを忘れてしまっていた。
「えっと、こうだっけ」
勇人は、両腕にはめているワルグをはずし、れ替えて再びはめた。
これが、ワルグの行力で、普段は滅多にしないような行が設定されている。
ちなみに音聲力の場合は、『コネクト』と言葉を発するだけである。
しかし、勇人はし恥ずかしいと言う理由で行の方を選択したのだった。
そうして、勇人の意識はゲーム世界へり込んだ。
イメージでは、真っ暗な空間に、ポツンと立っているようなじだ。
『起正常 ゲームソフトGWOを開始します よろしいですか?』
目の前にメッセージが現れ、『はい』か『いいえ』が現れる。
勇人は迷わず『はい』をタッチする。
『GWOを起します』
そう文字列が並び、それが消えると一瞬で空間が黒から切り替わり、白に変化する。
そうすると、まず最初の設定のような畫面が目の前に現れた。
まず、プレイヤーネームは名前をカタカナ表記にしたもの。
ちなみに、別は変更不可で、顔もあまり変えられない。
リアリティーを追求した結果だそうだ。
自分で決めることが出來るのは、種族のようなものと初期の武程度。
このゲームの見所のユニークスキルはもちろんランダムだ。
しばらくして勇人は設定をし終えると、再びパッと空間のが変わり、今度は青にそまった。
「今度は青か……って、うわあああ」
勇人は、気付いた。
それは、ただの青ではないことに。
そう、勇人は空中にいて、ただいま落下中なのだ。
異星人という設定なので、ありえないと言うわけではないが。
「初っ端から、どんだけ追い詰める気だよおおおお」
落下しながら、勇人は大聲を上げて運営に文句を言う。
もちろん、このまま落下してゲームオーバーとはなるわけもなく、次第に速度が落ちて地上につくころにはほとんど無くなっていた。
そうして、勇人はゲーム世界の古代星エンガイストに降り立った。
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