《G ワールド オンライン ~ユニークすぎるユニークスキル~》第五話 バグ修正

あの後、勇人は何事も無くログアウトし、今は自分の部屋のベットで寢転がっている。

何をしているのかというと、學校から屆いたメールを確認していた。

実を言うと、勇人の所屬する町枠學高校はWTG社が運営している學校なのだ。

なので、WTG社への推薦権がある。

「えっと……明日は臨時休校となりますね……は?」

學校から屆いたメールにはそうとだけ書かれてあった。

テストが近いというのに何を考えているのだろうか。

勇人は、メールの何処かに補足が無いか視線をかす。

「あった、えっとなになに、テストは予定通り行われます、今回の好績者にはワルグを進呈しますので、生徒の皆さんはがんばって勉強に勵んでください……え?」

勇人は、メールの最後の方に書かれてあった文面を見て固まった。

學校がゲームを推奨するとは何事だろうか。

とはいっても、WTG運営の學校なのでなんら不思議は無いが。

「にしても、既に持ってる人にとってはモチベーションがなぁ」

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そう、勇人は既にワルグを獲得しており、正直景品には興味がわかなかった。

とはいっても、勇人が好績を収められる自信があるというわけではないが。

「ん? 添付ファイル?」

勇人は、メールに添付ファイルが付いていることに気が付き、それを開く。

そこには、勇人のモチベーションを高めるような容が記されていた。

『なお、既にワルグを所持している生徒に限っては、好績を収めた者に対して豪華景品があります。

期待して頑張ってください』

そう記されていた。

豪華景品、なんともいい響きではないか。

そうと決まれば、勉強あるのみ。

勇人はすぐさま勉強をしようとベットから起き上がるが、もう既に就寢時間である。

それに気が付いた勇人は、高まる興を抑えながら、眠りに付いた。

第一回GM會を終えた、GWO運営組は、WTG社のとある場所でPCに向き合っていた。

「やっと、GWOがリニューアルしたってのに、私たちは殘業ですか」

を纏い、メガネをかけたがそうらした。

そして、の隣にいた同じく白の纏った男は、ため息を吐きながら言い返す。

「そもそも、バグを仕様っていうには無理があるだろ」

「えぇ、いい考えだと思ったんですけどねえ」

二人は、指だけは素早くかしながら會話をする。

その様子を後ろで見ているのは、黒い裝にを包んだだ。

その風貌は、GWOに現れたゲームマスターを思わせる。

「いい仕事したぁー、先輩方、どうでした?」

そのは、前方の二人へと聲をかける。

すると、二人は手を止めての方へ歩み寄った。

「最高に良かったよ!、さすがシヨウちゃん」

「最悪だ、途中聲だったろ、お前」

は、彼――シヨウを褒め、男はシヨウをぶった。

「いったーい、先輩、にそれはないですよ」

シヨウは、ぶたれた頭をさすりながら男を見る。

「うるさい、話した容はともかく、聲だけは変えとくべきだったな」

は、シヨウに不満をこぼす。

「す、すいません……」

シヨウは、うな垂れて反省の言葉をらした。

その様子を見て、が聲をあげる。

「また、シヨウちゃんをいじめてぇ、全くリュウは相変わらずなんだから」

リュウと呼ばれた男は、そんな言葉に意にも返さずそっぽを向いた。

シヨウは未だうな垂れたままだ。

「シヨウちゃん、大丈夫だよ、なくともプレイヤーたちを怖がらせないって言う目的は完遂したじゃない」

「ミカ先輩……」

ミカと呼ばれたはそう言って、シヨウの頭をよしよしとでる。

「ミカ、早くバグ修正しないと、部長に怒られるぞ」

リュウはミカにそう言い、再び指をかす。

「あなたも、部長なのに、部長を気にするなんてね」

「それを言うならお前もだろ」

はたから見たら奇妙な會話だが、この部署では上下関係を無くすためにほぼすべての人が部長である。

なら、みんな役職なしにすればいいのでは、と思うかもしれないが、そうなった場合誰も権限を持たないため、プレゼンなどの會議にも出れなくなってしまう。

そのため、こういう狀況になっていたのだった。

「はいはい、バグ修正ね、めんどくさいなぁ」

「もうそろそろ、プレイヤーが狩りに出始めるころだろうし、それにNPCが暴走でもしてみろ、大混だぞ」

リュウはミカに文句を言いながら指を素早くかす。

ミカもめんどくさそうに指をかしていた。

その間、シヨウは著替えてさっさと帰っていたのだった。

勇人は顔に日のが當たるのをじて目を覚ました。

今日は休校のため、目覚ましをセットしていない。

そのため、いつもより遅い時間に起きた。

勇人は、寢ぼけ眼で顔を洗い、著替えを終え、歯磨きを終え、朝食を食べにキッチンへ向かう。

「ん? 咲はまだ起きてないのか?」

勇人は既に起きているものだと思った咲が居ないことに気が付き、周りを見渡した。

すると、置手紙があるのを発見する。

『お兄ちゃんへ、朝食はトーストでも食べてください、私は咲空お姉ちゃんのところへ言ってきます』

勇人はそれを読むなり、既に焼き終えたトーストを口にくわえて、飛び出す――わけもなく、自分の部屋へ向かう。

何をするのかは決まっている。

勉――ゲームだ。

即ベットに橫になり、言葉を発する。

「コネクト」

『音聲を確認、GWOを開始します』

初めての音聲力を済ませ、勇人は再びGWOの世界へと旅立った。

「うわ」

勇人は、エンガイストに降り立つなり、すぐに目の前に現れたディスプレイに思わず驚いた。

『メンテナンス開始のお知らせ』

『バグ修正を完了しました』

『バグのお詫び』

『メンテナンス終了のお知らせ』

『イベント開催のお知らせ』

『イベント中止のお知らせ』

といったように、連絡事項がいっぱい浮かび上がったためだ。

「イベント結局無いわけね」

慌しい運営のメールを処理しながら呟いた。

今頃、大忙しなのだろう。

「じゃ、今度こそ、狩りに――って違う、裝備は」

勇人は自分のを見る。

は裝備されている。

そして、やはり武は……見當たらなかった。

「おい、全然バグが直ってないんだが」

勇人は習慣化してしまった、天に呟きをする。

すると、目の前にお知らせが屆く。

『裝備品消滅バグのお詫び あなたのバグは直すことが出來なかったので、お詫びにアイテムを差し上げます』

と、添付アイテムを確認すると、『鑑定のアメ』というものを手にれた。

早速それを調べるとしよう。

『鑑定のアメ 使用することで鑑定スキルを得ることが出來る』

「おお、なんかラッキー」

勇人は、自分の幸運?に喜び、早速そのアイテムを使用、口に含んだ。

すると、ステータス畫面が現れた。

名前 ユウト

種族 神人族

才能ユニークスキル 取捨選択 練度1『レアアイテムドロップ率アップ』

技能スキル 鑑定 『相手のアイテム、モンスターのスキルを覗くことが出來る』

「なんというか、地味ではあるが、便利そうだ、それとアイテムやモンスターにはスキルがあるのか」

勇人は、満足げにうんうんと頷きながら呟いた。

「よし、それじゃあ、狩りに……って、武がねえんだって!」

勇人は気づいた。

が無いことに。

そして、手にれる手段が無いことに。ちなみに、武はお金が必要です。

そしてお金は、初期裝備に含まれません。

そうなると、道は唯一つ、素手でモンスターを倒すしかない。

そして、勇人の才能ユニークスキルでレア武を當てるしかない。

まさに、運でしかない、勇人のたびが始まった。

「運営さん、さすがにひどくないですかね」

勇人は、何度目か分からない天に向かって聲を放った。

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