《G ワールド オンライン ~ユニークすぎるユニークスキル~》第九話 変化

GWOが正式発表されてから數日が経過した。

初めはただのゲームという認識だったGWOだが、その考えはすぐに覆されることとなった。

その理由は、運営の正式発表にあったゲームでの現金がゲーム外でも使用が可能となったことだ。

當然のことだが、現実でお金を稼ぐ方法は働くしかない。それに今の世の中はロボットが大半の仕事をこなせる様になっているため、就職率は低水準である。

しかし、ゲームでは敵を倒せば何らかの報酬が貰える。それに、ゲームではの不自由な人たちでも、普通の人と同じように自由にかすことが出來る。そう言う所が魅力となり、今はGWOへ參加する人々がうなぎ上りだ。

もちろんそんなことになれば、経済がおかしくなってしまいそうだがそこはさすがはWTGと言ったところだろう。

そして、教育機関がゲームにも出來たことによって増々プレイヤーは増えている。

今や、GWOをやってない人を探す方が難しいくらいだ。

そんなじのニュースを見ながら勇人は朝ご飯を妹の咲と一緒に食べていた。

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「お兄ちゃん、今日はどこ行くの?」

咲からそう問われた勇人は味噌を飲み干し答える。

「今日は咲空と紅谷たちと一緒に買いじゃなかったか?」

「私に聞かれても」

出かけるといってもゲーム世界ではない。

現実の方の商店街に買いいをけて、勇人は今に至るのだ。

ゲームでない理由は、たまにはリアルでワイワイしたいとの事。

加えて言うならば、みんなチート級の『才能』ユニークスキルであるのに対して勇人は、うん、という配慮もあったとか無かったとか。

「よし、じゃあ行くか」

「はーい」

勇人と咲は、そうして待ち合わせの場所へと向かった。

待ち合わせの場所に二人が到著した時には既に紅谷が待っていた。

相変わらずのイケメンですれ違う子達はチラチラと紅谷へと視線を向けていた。

「すまん、し遅れたか?」

「いや、時間どおりだ、僕が早めに來てただけだ」

「相変わらずだな」

紅谷はわざとらしくを張って答え、勇人は呆れた様子で返事をする。

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咲はその様子を見て微笑んでいた。

「まだ來てないのは咲空か」

からして時間通りに來そうにない咲空だったが、案の定この場にいなかった。

そこへ

「遅れてごっめーん、し寢坊しちゃって」

咲空が到著した。

「あー、予想通り」

勇人が流すようにそう答える。

咲空はその言葉に不満げな表をするが、買いの楽しみの方が上なのか何も言ってこなかった。

「じゃ行くか」

勇人のその言葉で4人は歩みを進める。

すると、一人のし離れたところからあるが見えた。

見る見るうちに勇人の顔が青くなり始める。

それに気づいた紅谷が勇人へ聲をかける。

「大丈夫か? 顔が青いが」

「大丈夫だ、熱中癥かなー、あはは」

ごまかしながら勇人は歩みを早める。

が、そこで妹の咲が死の宣告ともいえる発言をする。

「あれ? 玲奈ちゃんだ、おーい」

「……まじか」

勇人は咲の視線の先を見ると、案の定レナである。

レナの方も咲に気付いて、視線がこちらに向いたときに固まった。

「み、咲ちゃん、やっほー」

レナはぎこちない様子で咲と會話をしていた。

時々勇人をチラっと見ているのは勇人にも気づいていたが。

「と、ところで、どうしたの?」

レナは咲が自分を呼んだ理由を聞いた。

すると、咲はし考えた仕草し言葉を発する。

「今から買いに行くんだけど、一緒に行かない?」

「「え」」

思わず勇人も聲を発してしまい、隣の紅谷が興味深そうに勇人を見つめる。

咲の方も怪訝な表で勇人見た。

「なんでお兄ちゃんが反応するの?」

「い、いや、それよりその子は?」

急いで話題を変更する勇人。

咲は不思議そうな顔をするが、気にした様子もなくレナの紹介を始めた。

「こちらは、二階堂 玲奈ちゃん、私のクラスメイトなの」

「は、初めまして」

まさかの中學1年生を小學生と間違えてしまった勇人なのだった。

「えー、中學1年生なの、もっとしたかと思った」

「あはは、よく言われます」

咲空の相変わらずのアホ質問に勇人は初めてホッとしてしまった。

そこへ紅谷がレナへ挨拶をする。

「こんにちは、玲奈ちゃん、僕は紅谷だ」

「あ、初めまして」

格はともかく顔はとてつもなくイケメンなのでレナも思わず見とれてしまう。

「ところで、勇人とは知り合いなのかな?」

「え……」

「……は?」

思いがけない紅谷の発言に呆然とする二人。

対して紅谷の方は面白そうに勇人の顔を見ていた。

「おにいちゃん、玲奈ちゃんと知り合いだったの?」

「ま、まあな」

誤魔化しきれないとじた勇人は潔く告げる。

レナの方もコクコクと頷くだけだ。

「へえ、一どんな関係なのかな?」

紅谷がにやりと笑みを浮かべながら質問をする。

その質問に言葉を失う二人。

「偶然GWOで會ってな、それだけだ」

「そ、そうです」

下手に噓をつくよりはマシだと勇人は告げる。

紅谷は若干考えたそぶりを見せて口を開く。

「……まあいっか、じゃあ買いに行こう」

珍しく深く追求しない紅谷に不気味さを勇人はじながらも素直に従う。

レナもホッとした様に咲と會話を始めた。

さっきから靜かな咲空が気になって勇人は振り返ってみると、何故か咲空はそこにおらず遠くでソフトクリームを頬張っていた。

いつからいなくなったのか、そんなことにも気が付かないほど勇人が焦っていたのかが分かった。

「おーい、何やってんだ、早くいくぞ」

「はいはーい、話が長いのはそっちでしょー」

「すまん、紅谷がうるさくてな」

「勇人君、いい度じゃないか」

咲空と話したことで調子が戻った勇人はいつものように紅谷に振るが、紅谷はニコッと含み笑いを浮かべて勇人を見つめる。

「お前なぁ」

「ふふ、使えるものは使わないと」

改めて紅谷の腹黒さを実した勇人だった。

その後の買いは問題なくことを進め、男二人は荷持ちにさせられていた。

主に咲空のだが。

「買い終わり―、買った買ったー」

「買いすぎだ!」

咲空の買いはようやく終了し、そんな咲空に文句を言う勇人。

もちろん、そんなことは気にしないのが咲空なのでノーダメージだ。

あの紅谷でさえ、疲れたようで膝に手をついていた。

そんな紅谷へ勇人は話しかける。

「お疲れ様、相変わらずだなあいつは」

「だね、さすがに疲れたよ」

そう二人で健闘を稱えあっていると咲空が近寄ってきた。

「勇人、明日の試験だけど……」

咲空の言葉に一瞬頭が真っ白になる勇人。

「へ? ってああああ」

すっかりそんなことを忘れていた勇人。

そもそも明日が試験なのにわざわざ遊びにったのか。

そんなことを思っていると、紅谷が笑いを堪えているようで肩を震わせていた。

咲空はポカンとしたままだ。

「おい咲空、今日の買いは誰が言い出した?」

「えっとー、紅谷君かな?」

「お前が犯人か」

咲空の言葉で確信した勇人が紅谷の肩をガシッと摑んで問い詰める。

「いやいや、誤解だよ、試験が明日っていうのはそもそも噓だし」

「え? どういうこと」

「どういうことだ?」

紅谷の言葉に困する咲空と勇人。

そこへ咲と咲空が會話にってくる。

「ニュース見てなかったのお兄ちゃん? GWOがあまりに流行りすぎて學校とかが機能してないんだって」

「そうみたいですよ」

咲とレナの言葉に初耳だとばかりに驚きの表を浮かべる勇人と咲空。

実際の所、學校に行く理由は義務だからとか就職のためとかが多數であり、勉強が好きだからという理由で行く人もいるだろうが數だろう。

そしてWTGが出來たことにより、就職しなくても良くなり、もはや學校に行く理由が無くなってしまったのだ。それにしても、安易だとは思うが。

「まじか、知らなかった」

「私たちの生徒もかな?」

「多分違うんじゃないかな? 不登校になった人たちは悪く言えば績が悪い人とかいじめられてる人とかだと思う」

紅谷が冷靜にそう言い放つ。

「だから、僕たちの學校が一日休校になったのはGWOに學校を作るためらしいよ」

「え、なんでだ?」

唐突に意味の分からないことを紅谷に言われ困する勇人。

「恐らく、WTGと協力して未年のプレイヤーたちのアカウントに何か細工でもするんじゃないか?」

「怖いこと言うなよ」

「ありえるよ、天下のWTG様だからね」

茶化すように紅谷がそう言った。

そう言われると無いこともないような気がしてくるのが、WTGマジックともいえる。

そんなこんなで、今日の買いは終え、みんな家に帰宅した。

――――――――

ここは人間たちでいう天國、または天界、神界ともいわれる場所。

そこに不満そうに頬杖をついてる一人の人影があった。

その人影は一人でジェンガを行っていた。

「人間たちは僕がせっかく作ってあげた世界が気にらないと……」

一つ一つブロックを指ではじいていく。

當然ながらバランスはだんだんと悪くなっているが、未だその塔は倒れていない。

「まあいいか」

そう呟いて人影はジェンガを続けていた。

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