《G ワールド オンライン ~ユニークすぎるユニークスキル~》第十話 イベント
次の日、特に用事も無い勇人はGWOをすることにした。
案の定、學校は休校らしい。
出來るだけ早く、回復してほしいものだと思う勇人だった。
「コネクト」
慣れたように音聲認識でワルグを起し、勇人はゲームの世界へとっていった。
『神話イベント開始のお知らせ』
エンガイストにるなり、目の前のディスプレイにそう表示されていた。
男のロマンをくすぐる文字に勇人は興味をそそられた。
そして、詳細を知るべくその文字にれるも、何も起こらない。
相変わらずの運営だった。
「とりあえず、NPCにでも話を聞くか」
勇人はそこら辺にいるはずのNPCを探す。
GWOではこの星の先住民という設定であり、実際には人工知能で行しているらしい。
たまに、運営が混じっているとかいないとか。
勇人はしばらく歩き、村らしき場所に著いた。
そこはNPCの村のようで、簡単な造りの家が建ち並んでいた。
「すいません」
勇人は近くを歩いていた青年にそう話しかけた。
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正直に言えば、プレイヤーとNPCの見分けはつかない。
だが、こうした村人などは武を所持していないので見分けがつきやすく、逆に冒険者などの役職のNPCはほとんど見分けがつかないのだ。
しかし、NPCの冒険者の數はそこまで多くないという。
「こんにちは、ストル村へようこそ、そのなりからすると冒険者の方ですか」
「はい、そうです」
「そうですか、ごくろうさまです、ところで何のご用でしょうか」
ニコニコとした笑みを崩さないまま會話をするNPCの青年。
本當の人なのではないかと思う程、自然な會話だった。
逆にプレイヤーではそこまでの村人演技は出來ないはずなので、NPCだと確証できた。
「えっと、ここ最近何か変わったことは無いでしょうか?」
改めて思ってみれば、どう尋ねて良いのか分からない勇人。
イベントと言われても、村人という設定のため知らないだろう。
そう思った勇人は雑談のように話をふった。
「変わったことですか? そうですねえ」
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村人の青年は考える素振りをする。
どこからどう見ても普通の人のようである。
「……やっぱり思い當たりませんね」
「そうですか」
「力になれずすいません、もしよければオリンポスの方へ行かれてはどうでしょう? あそこには々な意味で騒がしいですから」
青年の言葉に、勇人は言葉を失った。
オリンポスといえば、ギリシャ神話に出てくる地である。
もしこのゲームの固有名詞でなけれなこれが神話イベントというものではないだろうかと有人は考えた。
「ありがとうございます、早速言ってみようと思います」
「いえいえ、あ、それとこれを持って行って下さい、それではお元気で」
青年と別れを告げ、勇人は村を出る。
もうしゆっくりしていっても良かったのだが、その思いはオリンポスへの思いに打ち負けた。
「オリンポスといえば、ゼウスとかポセイドンとかいるのかなー」
勇人は珍しく興を抑えきれずに笑顔で草原を駆け抜けていた。
走っていける距離なのかというツッコミが來そうだが、実はこの世界には転移する場所が所々に存在する。
エンガイスト風に言えば、古代文明の置き土産と言ったところだ。
転移出來る場所は、実際言ったことがある特定の地點であり、たとえば最初に降り立った草原があげられる。
他にはNPCの作った國の主要都市などという話だ。
そこで何故勇人が転移場所に向かっているのかというと、先程村人に渡されたものが関係している。
先程渡されたというものは、簡単に言えば住所のようなものである。
転移する際表示される、ディスプレイの記欄にそのけ取ったコードをれればその場所に転移してくれるのだ。
何故か、リアルを追求したはずのGWOに不似合いな機能だが、それは移というものにあまり時間を費やしてしくないからなのだそうだ。
なんともよく分からないところで優しい運営である。
「よし、ここでこれを力して」
転移場所に著いた勇人は、さっそく村人から貰ったコードを力していく。
ちなみに転移場所には大きな魔法陣が描かれている。
勇人が力し終わると、運営に呼び出されたときと同じように目の前が真っ白に染まった。
「やっぱり慣れないな」
目を開けるなり勇人はそう呟く。
「おお! ここは」
目を開けるとそこに広がっていた中世のような景に思わず息を飲む勇人。
今までの場所と明らかに雰囲気が違っていた。
そして、多くのプレイヤーと思われる人たちもいる。
「えっと、これはどこに行けば……」
田舎者が都會に來たみたいに勇人はキョロキョロと辺りを見渡す。
すると、人柄の良さそうな老人が話しかけてきた。
「こんにちは、アテナイは初めてですか?」
「え、あ、はい」
勇人はてっきりここがオリンポスだと思っていたのでぽかんとしたまま返事する。
「ああ、もしかしてあなたは異星人の方ですね、オリンポスでしたら神に招待されないとれないんですよ」
異星人というのは有人達プレイヤーの事で、どうやら勇人の反応を見て分かったらしい。
「神様ですか、一どうすれば?」
神に気にられる方法など知らない勇人はおじさんに尋ねる。
老人は笑顔のまま答える。
「神の依頼をけるしかないでしょうな、ちなみにどの神におたずねする予定でしょうか?」
「えっと……」
勇人のギリシャ神話の知識は12神やヘラクレスなどといった一般知識は知っている。
「まだお決めになられてないんですね、別によいことですよ、それに全ての神に気にられれば選ぶ必要はありませんし」
悪戯めいた笑みを浮かべた老人はそう言った。
一だけに決めると思っていたのだが、そこは別にどうでも良いようだ。
「そうなんですか、あの、どうすれば神の依頼をけられるのでしょうか?」
「それなら、冒険者が通常の依頼をけるように冒険者會館に依頼が出ている時があります、しかし人気な為か、すぐになくなってしまうんですけど」
「そうなんですか」
冒険者會館という初単語を聞いた勇人は、冒険者としてこれから重寶するであろうと重い心にとめた。
それと、このゲームは本當に現実と同じようで、同じプレイヤーが同じ依頼をけるという事は起こらないらしい。
本當にゲームらしくない世界だなと勇人は思うのだった。
「後は、神はたまに下界に降りる時がありますので、それを探すという手もありますな」
「詳しい報ありがとうございます」
「いえいえ、異星人の方々にはお世話になる予定ですから」
「?」
老人は不思議な発言をした後、勇人の元から去っていった。
よく分からないが、今は冒険者會館に言ってみようと勇人は歩みを始める。
冒険者會館にると、そこはいかにもというような部構造でけ付けや二階は酒場などがあり、勇人は付近くにある依頼がられてある掲示板へと向かった。
「やっぱないかぁ」
勇人はお目當ての神依頼がないと分かるなりガクッと肩を落とした。
やはり大人気らしい。
となると、ぶらぶらするしかなくなる。
「仕方がないか」
そう言って勇人はアテナイの町を観することに決め、さっそく冒険者會館から外へ出る。
しかし、そこで勇人は誰かと激突してしまった。
「おっと、すいません、大丈夫ですか?」
相手の方は勇人より格が小さかったせいか、倒してしまっていた。
その人へ手をさしのべる勇人。
見たところ勇人と同じくらいの歳のだった。
「ああ、済まない、私の方こそよそ見をしていた」
は痛がる素振りも見せず、勇人の手を取り立ち上がる。
は、赤い髪に灰の目で、かなりのであり思わず勇人も目をそらしてしまう。
「それにしても、私が倒されるとは君はなかなか良い能力を持っているのだな」
はそう言い、勇人のを見つめる。
にを見つめられるという、謎の恥プレイに勇人は顔をほんのりと赤らめる。
そこで勇人はあることに気がついた。
會館が異様に靜かなのだ。
加えて言うと、みんな勇人の方を見ていた。
「あの、皆さんどうしたんですか?」
勇人は照れ隠しのために近くのNPCの青年に話しかける。
すると、その青年は戸ったように言葉を発する。
「どうしたって……アテナ様だぞ? その人」
「え……」
思いもよらない言葉に言葉を失う勇人。
そして有人は前にいるに顔を向けると、そのはニコッと笑みを浮かべていった。
「そうだが? 知らなかったのか?」
「えええええ!」
勇人の絶が會館に響き渡った。
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