《G ワールド オンライン ~ユニークすぎるユニークスキル~》第十三話 GWO
勇人はあの後GWOからログアウトし、今はベットの上で寢転がっていた。
先程のアテナとの會話を思い出しながら。
「アテナさん、それでその試合はいつあるんですか?」
「それはだな、後7年後なんだ」
「え、7年後ですか!?」
「ああ、直ぐにでもあるように言ってしまったのは謝る、それにいつでも辭退して良いからな、人間にとって7年は、長い時間なのだろう?」
「まあ、そうですね」
「安心しろ、辭退しても何も言わないさ、そうだな信頼の証としてこんなので良かったらけ取ってくれ」
勇人がアテナから貰ったものはオリーブの葉だった。
勇人が困ったときにこれを投げればアテナが手助けしてくれるそうだ。
だが、神をそんなにホイホイと呼び出す気は勇人には無い。
アテナはそれを見越して勇人に送ったのかもしれないが。
「7年かぁ、あの世界ってこの世界と時間の流れ方が一緒なんだよなぁ」
勇人は7年という月日があまりにも長くじてしまっており、ボソッと呟いた。
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7年といえばもう既に勇人は社會人になっている頃だ。
それまでゲームを続けているかも怪しいものである。
「まあ、その時によるか」
勇人は自己完結し、目をつぶった。
ひとまずイベントが順調に進んでいるGWO運営組。
その部署では相変わらず忙しい様子で複數の人が働いていた。
「ちょっとぉ、リュウ、いつまで殘業なのよぉ」
ミカが拗ねたようにリュウに愚癡る。
そんなリュウも彼と同じで殘業しているので文句を言われる筋合いはないのだが。
「うるせえ、まず人數で運営しようとしていること自おかしいんだよ」
「えぇ、そんなこと私に言われても」
「それは俺が言いたいことなんだが?」
リュウとミカは無駄口をたたきながらも順調に作業を進めていた。
すると、ミカが間抜けな聲を上げた。
「あ、なんか変なプログラム起しちゃった」
「はぁ? いい加減にしろよ」
リュウはまた仕事が増えるのは勘弁だとばかりに怒號を飛ばした。
「ごめんって、えっと、何このプログラム、GWO?」
ミカが自分が起したプログラムを見て怪訝な表を浮かべた。
その様子にリュウが近寄ってきてモニターを見る。
「ん? なんだこれは、このフォルダは部長のものじゃねえか」
「あれぇ、間違って開いちゃったのかぁ」
「それにしてもこのプログラムは見たこと無いな、ゲームに関連したものか?」
「って、あれ? なんか変な文字が」
ミカが畫面上に現れた文字列を見て驚きの聲を発する。
リュウもその文字を見て目を細めた。
「Genesis World  Operation だと?」
「まあ、頭文字はGWOでゲーム名と同じですね」
ミカとリュウは互いに見合って、このプログラムを作ったであろう人を思い浮かべた。
その人は滅多にこの場には來ない人で、GWOの生みの親でもある人だ。
「まあ、今はそのプログラムを停止するのが優先だ」
リュウがそう言い、キーボードを打ち作業に取りかかる。
そうしてまたしても仕事が増えた運営組だったのだ。
運営が謎のプログラムを見つけたと同時期、真っ白な空間の住人はとうとうどこを取っても崩れてしまうところまでジェンガを進めていた。
「ほう、面白い、改めて造り直すは面倒だ、それを使わせて貰おう」
その人は怪しげな笑みを浮かべて、ジェンガを指で弾いた。
すると、當然のごとくその塔は崩れる。
「さあ、人間、再び神に近づこうとした罪、をもって思い知らせようか」
その人はそう呟き去っていった。
崩壊したジェンガの塔だけが、その場に殘されていた。
勇人は次の日、運営から何か重要なお知らせがあると聞きGWOにログインした。
エンガイストにはすでに多くのプレイヤーがおり、今か今かとGMを待っていた。
「あ、勇人じゃん、ここで會うのは久しぶりだねぇ」
そこへ勇人に聲をかけたのは、咲空である。
「おう、サラ、お前も來たのか」
「もっちろん、ユウトが來ることは何となく予想出來たけどね」
「はいはい、それで、ミサキはどうした?」
「んー、迷子」
咲空はえっへンとを張り、答えた。
その態度に呆れた勇人は無言で咲空の頭チョップを食らわせる。
「あいた、うぅ、ユウトがいじめるぅ」
「うるせえ、ほんと適當だなサラは」
思わずため息をらす勇人。
対して咲空は満足げに笑みを浮かべていたのだった。
そこへ、聞き慣れた聲が耳にる。
「咲空お姉ちゃん、勝手にいなくならないでよ」
そう咲である。
「ごめんね、ミサキちゃん、ユウトという名の人を見つけて」
「それは言い訳になってないからな」
「あ、お兄ちゃんもいたんだ」
「はい、しのお兄ちゃんですよ」
「気持ち悪い」
咲の言葉に言葉を失う勇人。
その様子にゲラゲラと笑う咲空。
そして咲は引き気味に後退していた。
『プレイヤーの皆さん、お集まり頂きありがとうございます』
そこへ辺りに響き渡るような聲が聞こえる。
その聲は前回と同じように聲は変えられていたので人は同じかどうかは分からない。
『前回と同じように、バグ シヨウです』
同じのようだ。
『今回は誠に申し訳ないのですが、こちらとしましては招集をかけた覚えがないのです』
シヨウのその言葉にプレイヤー達は一斉に批判の聲を発した。
「どういうことだよ」
「わざわざログインしたのによ」
「お前は元からいただろうが」
「う、貴様何者だ」
というように、プレイヤーは大聲をはりあげていた。
相変わらず脇道にそれるやつがいたが。
『ただいま原因を模索している段階でして……』
シヨウは口ごもりながら言った。
そこまではいつも通りだったのだが……
『もはや、この者がこの世界の神だとはな』
シヨウよりも巨大な存在がシヨウの後方に現れ、ドスのきいた聲を発した。
何かのイベントかと、期待したのだがシヨウの困ぶりを見るにそうではないのだろうと勇人は察する。
『我は神とでもいえばいいか、貴様ら人間を罰しに來た』
その人は淡々と述べていく。
衝撃が強すぎてプレイヤーは誰も聲を上げることが出來ていない。
『なに、滅する訳ではない、反省の機會を與えるだけだ、そうだな……この世界でしばらく暮らしていくというのはどうだ?』
その人はプレイヤー達を見下ろし、そう提案する。
だが、誰も答えることが出來ない。
誰もが狀況を飲み込めていないのだ。
『返事も出來ないか……まあ良い、我が再び姿を現すときに反省のが見られていたならば元の世界に返すことを約束しよう』
そう言い殘しその人は姿を消した。
殘された人々はただただ呆然としていたのだった。
次の日、全世界の生命がエンガイストに降り立った。
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