《G ワールド オンライン ~ユニークすぎるユニークスキル~》第二十五話 制不能

ユウトの手からは強いを放つ電気が不安定な様子で輝いていた。

思うようにることが出來ず、ユウトは困する。

「どうしたんだ? ユウト君」

ジャックが心配そうに聲をあげる。

そういわれても、ユウト自、どうなっているのか分からない。

というより、ものすごく怖い。

「あの、全然れる気がしないんですが」

「そうなのかい? ううむ……」

ユウトの不安そうな聲を聴いたジャックは顔をしかめて考え込んだ。

その前に一刻も早くこの電気を消す方法を教えてしいのだが。

「あのー、魔法を消すにはどうすればいいんですか?」

「うぅむ……」

ユウトの聲はジャックに屆かない。

集中すると周りが見えなくなる人のようだ。

そこへ、今まで黙っていたファオが口を開いた。

「魔法を消すには、手のひらを閉じてみてはどうかのう?」

「何故、疑問系なんですか」

「いや、ワシ達は魔法が使える前提で進めとったからのう、れるようになれば消すのも造作も無いことなのだが……」

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「ということは、消す方法は分からないと?」

ファオは申し訳なさそうに頭を下げる。

まさか、憧れの魔法がこんな形になってしまうとは。

そして、この電気を消すには手のひらを閉じてみるという案しかない。

となれば、そうするしかないのだが、電気にれるという験をしたことが無いユウト、怖いのも當然である。

「一気にやれば大丈夫なはずじゃ」

「他人事だからって……」

ファオは明るい聲でユウトを勵ます。

今はそれよりもジャックの案が聴きたいのだが、案の定未だに瞑想中である。

「はぁ、やるしかないか」

ため息をつき、目を閉じるユウト。

目さえ閉じれば大丈夫だろう。

見えてなければ怖くない、まさにオバケの原理だ。

そして、思い切りユウトは手の平を閉じる。

「いてっ」

ユウトの手のひらに靜電気のような地味な痛みが襲った。

恐る恐る目を開けてみると、手のひらから電気は消えており、無事に魔法は消えたようだ。

「あれ? ユウト君、魔法は消せたのかい?」

今更ジャックが復活し、勇人へ聲をかける。

もうし早く帰って來れなかったものか。

「はい、手のひらを閉じて」

「なるほど、でも、何でれなかったんだろうか、鑑定ではしっかりと屬の適正はあったのに」

「なんででしょうね」

ユウトのその言葉に反応したかのように腕時計が震えた。

十中八九あの現象だ。

ため息をつきたくなる気持ちを抑えて腕時計にれる。

すると、やはり単語帳の畫面が出現し、今知りたい単語が出てきた。

『魔法』

エンガイスト人によって発明された力。

魔力によって発言し、人によって適正屬がある。

異星人には制が困難のため、使われてこなかった。

案の定、異星人が魔法を使えないということがはっきりと書いてあった。

それも、當然のように。

「はぁ、異星人には魔法は使えないみたいです」

「そうだったんだね、なるほど、納得できたよ」

ユウトの報告に、頷いて納得するジャック。

勇人が魔法を使えないという結果よりも、原因を知れたことの方が大事のようだ。

これで、憧れの魔法は使えないということが分かった。

はっきり言ってショックである。

「そう落ち込まないで、ユウト君は魔法なんか無くても強いんだから」

ジャックから勵ましの言葉がかけられる。

事実そうなのだが、やはり魔法は使ってみたかった。

だが、異星人が『才能』と魔法を使えばあまりにもエンガイスト人と不平等であるため、この世界らしいといえばそうなのかもしれない。

「魔法以外にユウト君がやりたいことはあるかな?」

「やりたいことですか? ええっと……」

突然そんなことを言われて答えられるわけもなく、とりあえずあたりを見渡すユウト。

そういえば、気になる部分があったんだよな。

と思い、ユウトはステータスを開いた。

ネーム ユウト

種族 地球人

才能 取捨選択

技能 鑑定眼 練度1『レアアイテムが手にりやすくなる』

練度2開放條件『――贄――――』

そう、この練度2の開放條件だ。

何処かで見たことがある漢字なのだが、思い出せない。

「あの、この文字なんですけど」

思い切ってジャックとファオに見てもらうことにした。

初めてディスプレイの文字を見せようとしたためか、はじめは戸いの様子を見せた二人。

だが、決心したかのように二人で同時に覗き込んだ。

「おぉ!」

「これはすごい」

二人とも、ユウトの質問のことを覚えていなかった。

すっかり、目の前に広がる文字列に心を奪われているようだ。

「あのぉ、この文字なんですけど」

このままじゃ埒があかないので、思い切ってみてしい部分を指差す。

二人の視線が自然とそこへと向いた。

そこには當然『贄』の文字が。

「この文字列なんかおかしなことになってるね」

「そうなんですよ、バグなのかもしれませんけど」

「バグ? バグとはなんじゃ?」

ファオがまた話を逸らし始める。

まあ、ユウトが悪いところもあるが。

「それは今はいいでしょ、それよりもここの文字ってなんと読むんでしょうか」

「ええっと……」

ジャックは、先ほど見た集中モードにった。

以外にもパッと出ないのがこの人なのだろう。

とすると、頼りになるのはもうひとりなのだが。

「それは、生贄という単語に使われる文字じゃな」

ファオはユウトの期待にあっさりと答えた。

そしてその言葉を聞いて、ユウトは今までのもやもやが解消された。

「ああ! そうですね!」

そういえば、そんな文字だったような気がする。

だとしてだ、生贄が何だというのだろうか。

「それで? それがどうしたんじゃ?」

「殘念ながら分からないんですよ、自分が強くなるためのヒントだと思うんですけど」

「なに!? ユウト君は生贄を貰わないと強くなれんのか!?」

ユウトの言葉を勘違いしたファオが大聲を上げる。

確かにあの言い方ならそういう勘違いも生んでしまうかもしれない。

「いえ、あくまで可能ですし、何より自分はそこまでして強くなろうとも思ってませんよ」

「それならいいだがのう」

ファオは安心したように笑みを浮かべる。

だが、いざとなれば何が何でも新しい力は必要になるかもしれない。

生贄という言葉しか分からなかったが、それでも十分な果だろう。

「ユウト君はしばらくはこの國にいる予定なんだよね?」

いつの間にか復活したジャックの言葉に、ユウトは頷く。

「じゃあ、學園にってみないかい? 異星人の君としては々肩が狹いと思うけど、世界のことを學ぶなら學園が一番だ、何より友達も出來る」

「そうですね……」

正直、ユウトが日本というかな國に生まれていなかったら喜んで學校にでもなんでもすぐにっただろう。

だが、現代日本人の學生で學校で學ぶのが好きと答えるのは何割いるだろうか。

もちろん、ユウトは勉強が好きというわけではない。

「ユウト君には、この世界の知識はある程度っているんだろう? それに異星人は頭も良いときく、それならすぐに學園の人気者になれると思うけど」

ジャックはつらつらとメリットを述べていく。

だが、ユウトは頷かない。

異世界に來てまで學校に通うのはめんどくさいからだ。

だが、ジャックの次の言葉でユウトの気持ちは揺らいだ。

「別に登校は絶対じゃないし、けたい授業だけけるって言う形もいいんだよ?」

そうなのか、まさに大學のようではないか。

それなら、學園に行くのも悪くない。

いやな授業はサボれば良いのだから。

「……はい、分かりました」

「おぉ! そうか、では、私の學園が君を推薦しよう」

ジャックの狙いが分かった。

自分の學園に異星人がると當然話題になる。

話題になれば、學者が増える。

學者が増えれば、言い方は悪いが収が増える。

と言ったように好循環が始まるのだ。

だが、ユウトにはジャック以外頼る人がいないため、頷くしかない。

「じゃあ、學式は明後日だからね」

「え!? 制服とか何も持っていませんけど」

「そんなものは無いよ、制服なんて貴族の學園ぐらいさ、うちの學園は校章をに著けるだけだ」

それにしても明後日は急すぎて心の準備が全く出來ない。

だが、文句を言って変えられるわけもないので素直に従うしかない。

「分かりました、でも明日學園がどこにあるのか案してもらえますか?」

「もちろんだ、後は生徒を數名紹介しようか、さすがに一人では心細いだろう?」

「助かります」

ジャックの気遣いによってしは楽になりそうだ。

明後日に備えて、々と準備をしないといけないユウトだった。

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