《高校生は蛇になる》24話 暗闇
誰もたどり著けない、漆黒の闇の中に、その男はいた。
「クラフィスが殺された、か」
男は自分の中にある眷屬との繋がりが消えたことをじていた。
「……暴魔王にまで育っていたのだがな」
勿論、答える聲は無い。
男には闇など関係ないかのように、1歩前に踏み出した。
暗闇の中に、カランカラン、と、足音が響きわたる。
「魔王を殺すほどの者、か。一応監視をしなければな……」
どうやら男は、暴魔王クラフィスがどのように殺されたかを知らないようだ。
そのため、事の重大さに気が付いていない。
「《眷屬召喚》」
男は呟くように呪文を唱えた。
すると、暗闇に1匹、小さな蝙蝠が生み出された。
しかし、それに包される力は暴魔王より大きい。
「お前の名はヴァイスだ。クラフィスを殺した者を監視しろ」
「ギギィー」
主の命をけた蝙蝠は、地上に飛び出して行った。
「さて、できることなら、我を打ち倒せる程の力の持ち主であると良いのだが……」
男はある存在から頼まれていることがあった。
それは、『殺してくれ』である。
しかし男は、その存在を殺せる程の力を持ってはいなかった。
「まあ、そんなことは有り得ぬか……」
その男――不死魔王は、最後に1つ、呟いた。
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