《》第67話 再覚醒
――意識が再構築される。
現実が歪み、捻じ曲がっていく。
広場の地面で潰れていた頭と、十字架に拘束されているはなかったことになり、頭が潰れていた場所にオレのが再現される。
今ここに、運命は歪曲した。
「…………」
誰も、オレの存在に気付いていない。
皆がそれぞれ異なる表を浮かべながら、キアラのほうを見つめている。
どうやら、キアラの手枷は外れているようだ。
彼がどうやって拘束を外したのかは興味があるが、今はいい。
「――我が名の元に集え、風霊シルフぅうう!! 『空の刃エアー・カッター』ァァァァッ!!!」
後のことなど、一切考えない。
しでも多くの風霊を集め、しでも多くの『空の刃エアー・カッター』を生み出し、放つ。
オレが死んだことで油斷していたのか、先ほどまでよりは霊の拘束がずっと緩くなっている。
オレの周囲に十數個の『空の刃エアー・カッター』が現れ、標的めがけて飛んでいった。
Advertisement
「――ッ!?」
しかし、敵も『大罪』の魔師。
エーデルワイスは迫る不可視の刃をので防ぎ、カミーユはミューズを呼び出してその一撃を防いだ。
ロードも、七霊を纏った剣で刃を切り落とす。
だが、不意打ちの一撃をお見舞いしたのは、奴らにだけではない。
「――『炎霊刀』」
『空の刃エアー・カッター』でアミラ様とクレアの手枷てかせを外した瞬間、炎の突風がエーデルワイス達を襲った。
「ちっ!」
さすがにそちらの不意打ちまでは対抗できなかったようで、エーデルワイスとカミーユが極大の炎に呑み込まれた。
あれで倒せるほど甘い相手ではないが、なくとも時間稼ぎにはなるはずだ。
ひとまず、奴らの相手はアミラ様に任せるとして、
「ラル! カタリナちゃんを……!」
「わかってる――」
クレアの言葉をけて、彼が何を言わんとしているのか理解する。
再會を喜ぶのは、後でいくらでもできる。
今やるべきことを確実に功させるのが先だ。
「ロードォ!!」
「っ!?」
オレの聲に、驚愕の表を隠せていないロードが反応する。
何が起きているのか、理解が追いついていないのだろう。
その腕の中には、いまだに縛られたままのカタリナがいる。
「いくぜ――」
亜空間から、一本の剣を取り出す。
どこにでもあるような凡庸な剣だ。
ロードが冷靜に見れば鼻で笑うであろうそれはしかし、もはやただの剣ではなくなっている。
剣の周りに、小さな巖を含んだ竜巻が発生しているからだ。
牙獣のに風を開けられるだけの力を持つ『巖竜巻トルネード』を、剣に纏うことで、威力と殺傷力を底上げする。
風霊の力を借りて目にも留まらぬ速さでロードに薄し、その一撃をお見舞いした。
「――『巖竜巻の大槌トルネード・ハンマー』ぁぁあああ!!」
「ぐっ!?」
『巖竜巻の大槌トルネード・ハンマー』を咄嗟とっさに剣でまともにけたロードのが、遙か後方へと吹き飛ぶ。
勢いを殺しきれず、そのまま進行方向にあった住宅に激突した。
その衝撃をまともにけた剣もまた、オレの手の中でボロボロと崩れ落ちた。
それに心の中で謝の言葉を伝えると、惚けたような顔をして倒れているカタリナのほうを見る。
「カタリナ! 無事か?」
「……あ、れ? らる、さま……?」
カタリナに呼びかけてやるが、反応が鈍い。
頭でも打ったのだろうか。
とりあえず、カタリナの手枷を外してやる。
その景を見ていてもなお、カタリナは半信半疑といった様子だ。
「でも、ラルさまはさっき……」
「オレならピンピンしてるぜ。あんまり神衛生上よろしくない景なんて忘れちまえよ。オレは生きてる」
「――ラルさまっ!」
カタリナが泣き出しそうになったかと思うと、勢いよくオレに抱きついてきた。
その彼にしては珍しい積極さに、オレも戸いの聲を上げる。
「うおっ!? ど、どうした!?」
「よかった……無事でよかったです……」
「……悪い。心配かけたな」
泣き出してしまったカタリナの背中を、ポンポンと軽く叩いてやる。
よくよく考えなくても、カタリナはオレの首がはねられるところをモロに見てしまったはずなのだ。
その神的なショックは計り知れないものがある。
いや、カタリナだけではない。
クレアもアミラ様もキアラも、あの瞬間はオレの方をしっかりと見ていたはずだ。
後で落ち著いたら謝らなければ。
「とはいえ、再會を喜んでる暇はなさそうだな」
狀況は依然として厳しい。
アミラ様とキアラがいるとはいえ、エーデルワイスとカミーユとロードが敵として対立している以上、分が悪いと言わざるを得ないだろう。
「よく無事じゃったな。間違いなく死んだと思うたわい」
「実際、一度死んでましたけどね」
聲の先に、炎霊刀を構えて厳しい目つきでエーデルワイス達のほうを見るアミラ様の姿があった。
その姿は頼もしいの一言だが、彼が相対している敵もまた恐ろしい存在であることを、他の誰よりもオレが一番よく知っている。
カミーユは、炎を呼び出したミューズ一で完封。
エーデルワイスは、アミラ様からけた一撃を『リロード』で復元すると、こちらを見て険しい表になった。
「……なんで生きてるの、あなた」
「さあ、なんでだろうな」
おどけた様子でそう言ってのけるオレに対して、エーデルワイスは警戒を強めているようだ。
まあ、無理もない。
『リロード』は無いはずなのに、首を撥はねられたオレが生きているのだから。
「それよりも、今はあちらを気にしたほうがよさそうじゃの」
アミラ様が苦々しげな顔で見つめている先を、オレも見る。
そこでオレは、いま最も頼れる味方の存在を思い出した。
「キアラっ!」
「っ!? 待て、ラルフ!!」
オレがキアラのほうに駆け寄ると、アミラ様が妙に焦っていた。
そのことにし違和をじつつも、その場に突っ立っているキアラの肩に手をかける。
「キアラ、大丈夫か? というかその拘束、一人で外せたんだな」
エーデルワイスにつけられたの拘束をまともに解くのは、オレには無理だったことだ。
それだけ見ても、キアラとオレとの間にある実力差をじずにはいられない。
「でもよかったよ、キアラが無事で。ちゃんとも取り戻せたんだろ?」
キアラのすぐそばに、空っぽになった赤い棺が置かれている。
それが意味するのはつまり、キアラの復活がうまくいったということに他ならない。
だが、そこでふと、オレは違和を覚えた。
オレが話しかけているのに、キアラがさっきからなんの反応も示さないのはどうしてなのだろうか。
「……キアラ?」
オレがキアラの名前を呼ぶと、
「――『混沌球カオス・スフィア」
たしかに、そう聞こえた。
次の瞬間、オレは空中に放り出されていた。
「はぁ――!?」
慌てて風霊をコントロールし、なんとか無事著地することに功する。
そして、改めて眼前にあるものを見て、
「……なんだよ、これ」
巨大な、黒い球。
そうとしか形容できないものが、空高くに浮かんでいる。
よく見るとその黒は均一ではなく、場所によって微妙にの濃さが違うようだった。
あまりにも濃な闇霊の気配に、オレのは直してしまっていた。
格が違う。
あれが、キアラ……?
在りし日の、『終焉の魔』の姿だというのか……?
「素晴らしいわ。期待以上ね」
エーデルワイスが、嘆の吐息をらす。
そんな彼の様子に、オレは怒りを隠せない。
「エーデルワイス、あれはなんなんだよ! キアラに何をした!?」
「あんなもの、わたくしも見たことないわよ。あれはおそらく、百年もの間高度な闇霊たちに塗れていたおかげで得た、アリスの新しい力でしょうね。それに、わたくしはあの子に何もしてないわ。を取り戻したら、勝手にああなっていたのよ」
「はぁ……!?」
そんなわけがない。
キアラが暴走するような何かが、必ずあったはずなのだ。
「どうやら、正気を失っているようですね」
カミーユがなんでもないことのように言うが、オレは気が気ではない。
オレがすぐ近くにいても、キアラは正気に戻る様子はなかった。
「……もしかして、オレが殺されたからか?」
オレが殺されてしまったと思ったキアラが、そのに纏った闇霊たちにそのを任せている。
今のところ、それが一番しっくりくる推測だが……。
しかし、そんなことを悠長に考えている暇も、あまりなさそうだった。
なぜなら、
「なんだ、ありゃ……」
――空中に浮かぶ漆黒の球から、膨大な數の黒い手が飛び出していたからだ。
Skill・Chain Online 《スキル・チェイン オンライン》
Skill Chain Online(スキルチェイン・オンライン)『世界初のVRMMORPG遂に登場』 2123年、FD(フルダイブ)を可能にするVRギアが開発されてからニ年。 物語の様な世界に期待し、いつか來ると思い続けてきた日本のゲーマー達は、そのニュースを見た瞬間に震撼した。 主人公・テルもその一人だった。 さらにそこから、ゲリラで開催された僅か千人であるβテストの募集を、瞬殺されながらもなんとかその資格を勝ち取ったテルは、早速テスターとしてゲームに參加し、すぐにその魅力にはまってしまう。 體験したSCOの世界はあまりにも、今までの『殘念ソフト』と言われていたVRゲームと比べて、全てにおいて一線を害していたのだ。 來る日も來る日もβテスターとしてSCOの世界にログインする。 SCOの正式オープンを向かえていよいよゲームが始まるその日。SCO専用の付屬部品を頭のVRギアに取り付けて仮想世界へとログインした。 ログインしてすぐ、始まりの街で言い渡されるデスゲーム開始の合図。 SCOを購入する際についてきた付屬部品は解除不可能の小型爆弾だったのだ。 『ルールは簡単! このゲームをクリアすること!』 初回販売を手に入れた、主人公を含む約千人のβテスターと約九千人の非βテスター約一萬人のゲーマー達は、その日、デスゲームに囚われたのだった。
8 51BioGraphyOnline
BioGraphyOnline、世界初のVRオンラインゲーム 俺こと青葉大和(あおばひろかず)はゲーム大好きな普通の高校生、ゲーム好きの俺が食いつかないはずがなく発売日當日にスタートダッシュを決め、今している作業は… ゲーム畫面の真っ白な空間でひたすら半透明のウィンドウのYESを押す、サーバーが混雑中です、YESサーバーが混雑中ですの繰り返し中である。 「いつになったらできるんだよぉ!」 俺の聲が白い空間に虛しくこだまする。 BGOの世界を強くもなく弱くもない冒険者アズ 現実の世界で巻き起こるハプニング等お構いなし! 小さくなったり料理店を営んだり日々を淡々と過ごす物語です 9/27 ココナラよりぷあら様に依頼して表紙を書いていただきました! 2018/12/24におまけ回と共に新タイトルで続きを連載再開します! ※12/1からに変更致します!
8 170魔力、愛、君、私
姉を探すリルと戦士のハルマ、 お互い同じ國の出身でありながらリルには小さな身體で殘酷な過去を抱えていた。 メーカーお借りしました() https://picrew.me/share?cd=cljo5XdtOm 亀さんペースですごめんなさい
8 119規格外の殺し屋は異世界でも最兇!?
幼い頃公園で両親を殺されたごく普通の少年。彼はは1人の殺し屋と出會い《蒼空》と名付けられる。少年は殺し屋として育てられ、高校生になり、彼は裏の世界で「死神」と呼ばれる。 そんなある日、屋上から教室へ帰ろうとすると・・・・・・・・ 1人の少年が描くテンプレ込の異世界転移物語です。 はい、どうも皆さまこんにちは!このたび作品初投稿させていただきましたくうはくと言います。 不定期更新していくつもりですので暖かい目で見守っていただけたら幸いです!いいね、フォロー、コメントなどお願いします!┏○ペコ
8 113闇夜の世界と消滅者
二〇二四年十一月一日、世界の急激な変化をもって、人類は滅亡の危機に立たされた。 突如として空が暗くなり、海は黒く染まり始めた。 それと同時に出現した、謎の生命體―ヴァリアント それに対抗するかのように、人間に現れた超能力。 人々はこれを魔法と呼び、世界を守るために戦爭をした。 それから六年。いまだにヴァリアントとの戦爭は終わっていない…………。
8 176俺の妹が完璧すぎる件について。
顔がちょっと良くて、お金持ち以外はいたって平凡な男子高校生 神田 蒼士(かんだ そうし)と、 容姿端麗で、優れた才能を持つ 神田 紗羽(かんだ さわ)。 この兄妹がはっちゃけまくるストーリーです。
8 57