《》第69話 割り當て
「それで、これからどうするかですけど……」
オレは全員の顔を見回しながら、言葉を紡ぐ。
「とにかく、父様と陛下とダリアさんは助けなきゃいけない。ここまではいいですよね?」
全員が頷いたのを確認してから、本題にることにした。
「まず、ヴァルター陛下ですが――」
「お父様のことは、私に任せて。ラル」
オレの言葉を遮るように、クレアの聲が部屋に響いた。
「お父様は、必ず私が正気に戻してみせるわ。だから私を信じて、ラル」
その瞳には、たしかに強い意志が見て取れた。
「わかった。クレアを信じる」
だから、オレの返答もこれ以外にはあり得ない。
オレが信じるクレアなら、必ずヴァルター陛下を正気に戻してくれるはずだからだ。
「でも、ヴァルター陛下は多分まだ広場にいる。だから、『吸収ドレイン』に気をつけて、アミラ様と一緒に行ってくれ」
「うん、わかった。……ありがとう、ラル」
「ワシの方からも特に異存はない。ワシらに任せておけ」
Advertisement
アミラ様が小さいを張るのを見て、し頬が緩んでしまった。
そんなオレの顔を見たアミラ様が一瞬ジト目でこちらを見た気がしたが、まさか気のせいだろう。
「それで次は父様ですが……父様はヴァルター陛下と比べたら、まだ自分の意思が殘っているはずです。なので、一番父様のことを知っている母様たちは父様のことをお願いします。それとカタリナも、そっちについて行ってほしい」
「わかったわ」
「わかりました! カタリナ、がんばります!」
完全にスイッチがってしまっていたヴァルター陛下と違って、フレイズのほうはまだ冷靜な判斷力が多は殘っているはずだ。
さすがに、自分の妻であるヘレナを攻撃したりすることはないと信じたい。
「そして、最後にダリアさん。ここはオレだけで行く」
「……理由を聞いても?」
ヘレナの質問に、オレは「もちろん」と答え、
「ダリアさんはエーデルワイスの分、と言っても過言じゃないくらいの洗脳をけていました。その力も未知數ですし、多その能力に耐があるオレが行くのが適任でしょう……それに、なんとなく、相手の魔の正にも思い當たるものがあるので」
「……の腕か」
アミラ様の言葉に、オレは頷く。
「ええ。オレもエーデルワイスから軽めの神攻めをけたので、もしかしたらって可能ですけど……のをとして強力な洗脳魔を使っていたんじゃないかって、そう思うんですよ」
「ふむ。可能はあるな」
オレで言うなら、『テレパス』に使用している霊結晶がこれに當たる。
用途に応じて魔力を込めることで、同じ質の結晶石を持つ人間とテレパスで繋がることができる優れものだが、エーデルワイスほどの魔的知識があれば、全く別の質を持つとしての腕を使用している可能はある。
「幸いにも、エーデルワイスとカミーユはキアラが押さえてくれています。本人がどういうつもりでやっているのかはわかりませんが、それが効いているうちに三人を助けないと、同じことの繰り返しになる可能もあります。時間との勝負ですね」
今のところ全員無事でいるものの、今の狀態のキアラは何をするかわからない。
それに可能は低いと思うが、キアラがエーデルワイスとカミーユに敗北する可能もなくはない。
とにかく三人を早く救出して、オレがキアラを助けなければ。
「ラル。ロードはどうするの? もし、ヘレナさんと一緒にいるカタリナちゃんのほうとロードが鉢合わせしたら……」
「ロードについては心配いらない。ダリアさんを助けている最中か助けた後かはわからないけど……必ず、オレの前に現れる。今のところ、オレにやられっぱなしだからね」
クレアの心配そうな言葉に、オレは言葉を返した。
ロードはプライドが高い。
カタリナのことを好いているとはいえ、オレにやられっぱなしのままカタリナに手を出すはずがない。
ロードも、オレが近くにいる以上は必ずオレの前に現れる。
そういう確信があった。
「もし危ない場面になったら全力で逃げてください。本來なら『テレパス』が使えるはずだったんですけど、オレの分の霊結晶もエーデルワイスに砕かれたみたいで見當たりません……。合図として、空に火球を打ち上げてもらえればその場所に急いで向かいます」
『テレパス』が使えれば楽だったのだが、囚われていた間にエーデルワイスに砕かれてしまったようで見當たらない。
敵に妨害されて肝心な時に使えないのは、急連絡手段としてあまりにお末すぎる。
この戦いが無事に終わったら改良したほうがよさそうだ。
「……無事に終わったら、ディムール領で落ち合いましょう。最悪の場合、ロミードへ亡命することも考えないといけないと思いますし」
王都がこの有様では、ディムールがこの先やっていけるかどうかすら怪しい。
亡命は視野にれておくべき選択肢の一つだった。
「それじゃあ、行きましょう。皆で、大切な人たちを取り戻す戦いに」
オレは固い決意をたたえた目で、皆を見た。
皆も、オレのことを見ている。
カタリナが、全幅の信頼を持ってオレのことを見ている。
クレアが、その碧眼に靜かな激を宿してオレのことを見ている。
アミラ様が、燃えるような炎を燈してオレのことを見ている。
ヘレナが、慈しむような目でオレのことを見ている。
ミーシャが、我が子の長を喜ぶような目でオレのことを見ている。
それぞれが、そんな目でオレのことを見てくれていることが、何より誇らしかった。
こうして、オレたちは三組に分かれて行することにした。
【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】
※書籍&コミカライズ決定しました!書籍第1巻は8/10発売、コミカライズ第1巻は10/15発売です! ※ニコニコ靜畫でお気に入り登録數が16000を突破しました(10/10時點)! ※キミラノ注目新文蕓ランキングで週間5位(8/17時點)、月間15位(8/19時點)に入りました! ある日、月坂秋人が帰宅すると、そこには三人の死體が転がっていた。秋人には全く身に覚えがなかったが、検察官の悪質な取り調べにより三人を殺した犯人にされてしまい、死刑となった。 その後、秋人は“支配人”を名乗る女の子の力によって“仮転生”という形で蘇り、転生杯と呼ばれる100人によるバトルロイヤルの參加者の1人に選ばれる。その転生杯で最後まで勝ち殘った者は、完全な形で転生できる“転生権”を獲得できるという。 そして參加者にはそれぞれスキルが與えられる。秋人に與えられたスキルは【略奪】。それは“相手のスキルを奪う”という強力なスキルであった。 秋人は転生権を獲得するため、そして検察官と真犯人に復讐するため、転生杯への參加を決意した。
8 151ライトノベルは現代文!
ライトノベルが現代文の教育要項に指定された20xx年。 んなぁこたぁどうでもいい。 これは、ごくごく普通?の高校生が、ごくごく普通に生活を送る物語である
8 97勇者になれなかった俺は異世界で
第四回ネット小説大賞 一次突破 第五回ネット小説大賞 一次突破 第1回HJネット小説大賞 一次選考通過 突然、クラスごと異世界に召喚され、クラスメイト達は勇者になっていたがその中でたった1人だけ勇者になれなかった少年、高理ソラ。勇者になれなかった彼は、女王に見捨てられ半殺しされ亜空間に放り込まれてしまう。何も無い亜空間の中で彼の命が盡きようとしていた時、彼の命は大魔王に救われてしまう。これは、大魔王に命を救われた少年が復讐を目的に成長して行く物語。たぶん。 漫畫の方が1~4巻まで発売されているので、書店やネットで見かけた際は是非! 2022年2月1日から更新再開です。 數日は過去の話を読みやすくまとめたモノを投稿していきます。 そのあとから続きを投稿予定です
8 53最弱の異世界転移者《スキルの種と龍の宿主》
高校2年の主人公、十 灰利(つなし かいり)は、ある日突然集団で異世界に召喚されてしまう。 そこにある理不盡な、絶望の數々。 最弱が、全力で這い上がり理不盡を覆すストーリー。
8 94ガチャで爆死したら異世界転移しました
7月21日、更新しました。 特技ゲーム、趣味ゲームという、ごくごく普通の高校2年生 佐藤 慎也が、ゲームのガチャで爆死したら……。ん?女の子?僕が!? ゲームのキャラになって異世界転移!? ※初投稿、小説初書きなので遅く下手ですが、楽しんでくれれば幸いです。明らかな誤字、脫字などがありましたら、ご指摘よろしくお願いします。
8 177異世界冒険EX
神木悠斗は異世界からの帰還者だ。女神に飛ばされ、無理難題を頼まれては解決してきた。何度も。 おかげでステータスも能力も、チート。だが、悠斗にとってはそれはどうでもいい事だ。 悠斗が望むのはただ一つ。 平和で幸福な生活。 今日も悠斗はそんな生活を求め、女神の呼びかけに応える。この冒険に終わりはあるのか? そんな疑問を持ちながら。 ……更新しようと思ったらアプリが再起動して消えちゃいました。また一萬字近くポチポチする気力が湧くまで申し訳ないですが、停止します。死にてぇ ジュエルセイバーFREE様の素材を使わせていただいています。 http://www.jewel-s.jp/
8 173