《超迷宮奇譚伝 『このアイテムは裝備できません!』》斷章取義な談笑?
『さて……どこから話しましょうか?』
人間……あらため親ドラゴンは、空中をフワフワと浮かびながら、子ドラゴンの面倒を見ている。
「えっと、別に説明はいいよ。子供を探していたってことでしょ?」
『流石!この子の恩人! ヨイショ! ヨイショ!』
「……」
なんだろう? 神話生、隨分と世慣れてないか?
いや、『ヨイショ!』ってなんだ?
そんな僕の心を知ってか、知らずか、神話生は話を続けてきた。
『私、ほらドラゴンでしょ? 自分の住処っていうか、持ち場? 離れられなかったんですよ。のサイズ的に他の階層を移できないってもあるんですが…… ぶっちゃけラスボスなんですからね。このダンジョンの』
「え? なんだか、現実のない言葉をすごい軽々と言ってないか?」
  ラスボスと言うのは、寡聞にして知らない言葉だが、何か剣呑な雰囲気だけは伝わってきた。 
『まぁまぁ、気にせずに。 だから、魔力の擬似的なを――――今のですね。人間タイプの。この子を探していたのですよ。たった30年足らずの時間でしたが、心配で心配で!』
あーダメだ。 頭がパンクする。 現実がなさ過ぎる。
いや、子ドラゴンの年齢30以上なのか!? 年上!?
……落ち著け、落ち著くんだ、僕。 ここはチャンスだぞ。 一度のミスも許されない。
この會話……選択肢を間違わなければ地上に生還できる!
慎重に―――― 慎重に―――― 選択肢を考えるんだ。
「ドラゴンさん、ドラゴンさん」
『どうしたのですか? そんな急に畏まって?』
僕は拙い知識の中、中間管理職のイメージを自らので現化させる。
み手。 左右の手の平をすり合わせる。
お辭儀。 必要以上に背を曲げず、相手に重苦しい印象を與えず、されど回數は多く。
顔は過剰なほどの笑み。 下から上に角度をつけて、可能な限りのを演出する。
肩は若干、強張りをじさせ、お辭儀を続ける毎に背に丸みを與えていく。
これが効かなければ……もう一段上がある。
弱者だからこそ有す、圧倒的な威圧を持って、意志を貫き通す儀――――
『土下座』
その解すら視野にれ、僕は渉という戦いに挑む!
「もしも、もしもで宜しいのですが……」
『はいはい、なんですか?』
「できればで良いのですが……地上に送ってくれませんか?」
『え? えええええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇ!?』
予想外に驚かれた。 その驚きは、予想外と言うより想定外。
『え』という発音が竜の咆哮によって理的なエネルギーに転換され、ダンジョンの通路という狹い空間に豪風を出現させている。
咄嗟に僕は、地面に伏せたまま狀態でやり過ごそうとするも、その圧力に負けたが浮かび……
背後へ弾き飛ばされた!
「……死ぬかと思った」
『すいません!すいません! 気が転してしまって!とんだ相を仕出かしてしまいました』
飛んだだけに……とボソッと付け加えてたけど、聞かなかった事にしよう。
「それで、なんで驚いたの?そんなにも?」
『そりゃ、驚きますよ!無ですか?貴方は! ドラゴンの子供を救ったんですよ? 七つの石を集めて葉える願いクラスの要OKですよ?』
「そんな事言われても……」
例えるなら、砂漠で生きるか死ぬかの水狀態で、水をもらえるなら有り金全部……どころか借金しても構わないって狀態であって、それを無と言われても……
『ラスボスドラゴンが恩を返すって言ってるんですよ? 伝説作りましょうよ?』
「伝説って? 例えば?」
――――本の神話生と出會い、予想外な事ばかりだったが。僕の質問に対してのドラゴンの返答こそ、最大の衝撃だった。
『あなたに、ダンジョン攻略の恩賞を與えましょう』
スクール下克上・超能力に目覚めたボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました★スニーカー文庫から【書籍版】発売★
西暦2040年の日本。 100人に1人の割合で超能力者が生まれるようになった時代。 ボッチな主人公は、戦闘系能力者にいじめられる日々を送っていた。 ある日、日本政府はとあるプロジェクトのために、日本中の超能力者を集めた。 そのタイミングで、主人公も超能力者であることが判明。 しかも能力は極めて有用性が高く、プロジェクトでは大活躍、學校でもヒーロー扱い。 一方で戦闘系能力者は、プロジェクトでは役に立たず、転落していく。 ※※ 著者紹介 ※※ 鏡銀鉢(かがみ・ぎんぱち) 2012年、『地球唯一の男』で第8回MF文庫Jライトノベル新人賞にて佳作を受賞、同作を『忘卻の軍神と裝甲戦姫』と改題しデビュー。 他の著作に、『獨立學園國家の召喚術科生』『俺たちは空気が読めない』『平社員は大金が欲しい』『無雙で無敵の規格外魔法使い』がある。
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