《超迷宮奇譚伝 『このアイテムは裝備できません!』》その一撃 英雄誕生

視界は黒く染まっている。 には酷い浮遊

意識は徐々に失われていく……

(……ダメだ)

意識の消失。それに僕は必死になって抵抗する。

(ダメだ。ここで意識を失っちゃ……)

しかし、意識の手綱が緩まっていく。

あんなにも高く見えていたダンジョンの天井。それが近くに見える。

天井はむき出しの巖が連なっている。 視點は反転する。……いや、反転したのはの方か。

オーク王は、既に僕への興味をなくしている。 ただ破壊行為を続けていた。

人の手によって作り替えられたダンジョンの構造が、そんなにも憎いのか?

目にの全てを破壊するようにき続けている。

(考えろ……考えろ続けるんだ。意識を留めさせろ。そして、想像しろ……僕が……僕等が憧れた先人たち。彼ら、英雄たちなら……こんな時、どうする?)

意識に火を燈らせる。

そうだ。僕が憧れた英雄なら、こんな時――――

「やれやれ」とため息じりに言葉を呟き、最高にクールでカッコよく……

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あんな、敵なんてやっつけてしまうんだ。

出せ! を吐させろ。 を――――思いをそのまま、聲に出せ!

るんだ! 僕だって英雄に!

「こ、ここまで、僕の――――いや、俺の計算通りだぜ!」

既に浮遊は去り、じるのは落下。全に風を浴びる。

「俺だって考えて続けていたさ。 本當に俺に、コイツを使いこなせないのか?」

手の紋章が揺らめく。 この中に隠された人類最強の武

〝龍の足枷ドラゴンシール„

あまりにもな巨大さ、あまりにもな重量。

人類最強の武は、扱う人間にもそれに相応しいスペックを求める。

駆け出しの探索者である『僕』には扱える武ではなかった。

けど―――― それはまともに武として扱った場合だ。

「この高さ、この角度、一か八かの賭けは勝たせて貰った!」

一か八かの賭け。

サンボル先生がオーク王のアッパーカットで打ち上げられた。

その時と同じような高さと角度で攻撃したら、オーク王は同じ攻撃を俺に向けてくるのではないか?

そんな無謀な賭け。しかし、俺はその賭けには勝った。

結果、自力では到達不可能な高度に俺はいる。

ならば……

俺は腕を後方へ反らす。イメージは槍の投擲。

不可視の武を地上で暴れるオーク王へ投げつけるモーション。それと共にぶ。

「いけぇえええええええええっ!ドラゴンシールぅぅぅぅぅッ!!」

さっきまで質量が存在していなかったに惰の法則が適応されるのか?

そんな難しい話はわからない。しかし――――

突如として現れた巨大なは、持ち主たる俺の意志に従うかのように――――

加速する!

れない武だって、高い場所から、ただ落とすだけなら―――――

俺にだって可能だ!

その姿は、まるで隕石。 黒りしていた鉄球は、赤く変していく。

周囲にも赤いエフェクトをばら撒きながら、進んでいく。

真っ直ぐに―――― オーク王に向かって――――

気づかれた!?

オーク王は自に迫りくる鉄球に気づき、見上げた。

その顔には驚き。 そして、もう避けられないと判斷したのか。

腰を大きく反らして、両手を広げた。

(―――――ッッッ!?け止める気か!やれるもんなら――――)

「やってみろおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」

僕のびに応じて、オーク王もぶ。

「ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」

そして――――

激突

まるで熱烈的な抱きしめ。

比類する言葉も見つからないほどの巨大なオーク王の腕がドラゴンシールを包み込む。

オーク王のからはドロリとしたが、四方八方に勢いよく飛び出している。

無事とは言い難く、全余す事なくダメージが見て取れる。

しかし、その表は――――勝利を確信していた。

オーク王は、俺の切り札であるドラゴンシールをけ止め切ったのだ。

「ウォオオオオオオオオオオオオオオオッ!」

と王者は勝利の雄たけびを上げた。

2つ目の落下に気づく事もなく――――

その巨大さから見失ってしまうかもしれないがドラゴンシールの正は鈍だ。

鉄球から鎖がびており、その先には棒狀の柄――――持つための部分が存在している。

空中で加速しながら落下していった鉄球。そこからびた鎖。そして、その先には何があった。

答えは、當然ながら――――

俺のだ。

鎖を引き寄せながら、落下地點を微調整していく。

俺の下には、鉄球を抱きかかえ、全からを吹き出しながら、倒れまいと踏ん張っているオーク王の姿がある。

そこに向かって――――

「食らいやがれぇぇぇ!」

落下で加速した自分のを武にして、オーク王へ叩き込んだ。

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