《超迷宮奇譚伝 『このアイテムは裝備できません!』》エピローグ
「やはり犯人が実在するのか……」
僕の言葉に対して、ドラゴンは肯定するように頷いた。
オーク王を人が集まっていた場所へ導する。
可能としては考えられ、多くの人間が調査している。
そうは聞いていたが、半信半疑だった。
本當に、人間がそんな事を行うのか?
……何のために?
「そうだ! なんのために?なんのためにオーク王を……やっぱり、王族暗殺が目的だったのか?」
目的。
あの場所には、第三王位継承権所持者であるコロロアコロさまがいた。
もしも、あの、自らをコロちゃん様と呼ばす、あの年が死んでいたら……
王子には、次の王さまへと後押しいている勢力が存在している。
権謀數が渦巻く中、暗殺という強手段に及ぶのはあり得る事だ。
いや、それだけではない。
団の主義主張を広めるための圧力としての暗殺――――つまりはテロリズム。
いや、考え始めればきりがない。
しかし――――
「ちがいます」
そうドラゴンは斷言した。
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そして――――
「目的は、貴方にあったのです」
ドラゴンは僕に向けて指を指した。
「……」 「……」
互いに無言で見つめ合う。
僕はドラゴンの言葉の意味がわからなかったのだ。
目的が僕? 心當たりもない。
「私はダンジョンの大まかな出來事を把握できると言いましたが、敵である探索者たち―――― ダンジョンにった人間達のが把握できる能力と言った方が正確ですね」
「……が把握できる?」
「もちろん、ヒヨコの雄雌おすめすを區別する職人さんみたいに、あの場にいた有象無象のを1人1人のを區別するできませんが、知り合いであるサクラさんと、サクラさんに向けられたを―――― あの単純な悪意を把握するなら朝メシ前ですよ」
僕は把握できなかった。 ドラゴンの言葉の意味を……
あの出來事が僕に――――
僕1人に向けられた悪意によって―――――
あの慘劇が起きた。
意味はわかる。しかし、理解はできない。
「一、何の目的で――――ぼくを?」
「おそらくは見られたのでしょう」
「見られた? 何を?」
ドラゴンを僕の腕を指して言った。
「龍の足枷ですよ」
「――――ッッ!?」
「私はダンジョンの外、サクラさんの日常生活をうかがい知る事はできませんが、オーク王との一戦で想像する事は容易くできます」
「―――――何を?」
「おそらくは、深夜。誰もいない校庭―――― サクラさんは、鍛錬に勵んでいた。もちろん、龍の足枷をるための鍛錬ですね」
僕は頷く。
「しかし、それだけではない。使えないはずの武を使うための試行錯誤を行っていましたね」
僕は頷く。
「いい著眼點です。例えばテーブルの上にあるナイフとフォークは言うまでもなく、コップだって皿だって武としての使い方を瞬時に5、6個は思いつくものです。ならば、武として使えない武を武として使う方法も、また――――すでに5、6個は思いついているんじゃないですか?」
僕は――――頷いた。
「しかし、それを見られていた。そして、それを――――龍の足枷をした人がいる。そいつが犯人ですよ」
「それは?だれだ! ……いや 」
心當たりが生まれる。 龍の足枷をした人がいるじゃないか。
「……第三王位継承権所持者 コロロアコロ本人か?」
アリスの贈り。 それを僕が貰った事――――
それでは示しがつかないとか――――
持ちの全てを賭けた戦い。 本命は、こっち?
しかし、ドラゴンは――――
「犯人が誰かなんて、私にはわかりませんよ。ほら、私はドラゴンなんで、人間を正確に區別する事はできませんので」
そう言った。 いつの間にか、あんなにも沢山、運ばれていた食事は片づけられ、食後のデザートすら終わり、ドラゴンはコーヒーに口をつけている。
「――――30分」
「え?」
「サクラさんが友達とお約束した30分がそろそろですね」
僕は時計を見る。
もうそんなに経過したのか。
「では、サクラさん。私はこの店が気にりました。週に2、3度の外出時は、必ずこの店に立ち寄る事にするので、また何か用件があれば……いつでも會えますよ」
そう言って、ドラゴンは娘を連れ、店の外へ――――「そうそう、言い忘れてました」とドラゴンは帰ってきた。
「オーク王を10層へ導した道は、世界樹の枝と言われるで、70層で取れるであって、誰もが気楽に使える道ではありません。 それに導と言うなら……誰が誰を導したのでしょか? それが私からの最後のヒントです」
では、また。 どこかでお會いしましょう。
そう付け加えて、彼は――――ドラゴンは店を後にして行った。
最後の最後までよくわからない奴だったなぁ。
さて、僕もアリス達の元に――――
「あっ、そう言えば……僕にかかっている未知の狀態異常バットステータスってなにか聞き忘れていた」
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