私にはラスボスとしてダンジョンの様子を知る能力があります。

しかし、セカンドハウスの購に浮かれていたのでしょか？

それとも、単純にダンジョンから離れ過ぎていたから知能力が低下してしまったのでしょうか？

事もあろうに！　この私が事もあろうに、しのサクラさんのピンチを見過ごしてしまうなんて！

娘が見ている鏡。それは、ただの鏡ではありません。高純度の魔力で現化された鏡。

當然ながら、映し出されるヴィジョンはの反ではなく、ダンジョンの様子です。

「これは……なに？」

鏡を通して伝わる報は酷く曖昧。

サクラさんを襲う相手の正が摑めない！

「理無効？うちのモンスターではない？まさか……外來種の魔？？？」

あばばばば……

そうこうしている間に、サクラさんの頭が鷲摑みにされました！

「どどど、どうしよう！どうしましょ？　サクラさん、なんかこう……ぐったりしてます！」

「お母さん？　慌てるなら、どうして助けにいかないの？」

「どうしてって……あっ！」

そうです。行けばいいのです！

距離を無視して、瞬時にんだ場所へ移する方法。それは――――

時空の歪

ダンジョンに幾つも存在して、ダンジョンの主である私ですらその數と場所を正確に把握しきれていません。

しかし、私はソレを知っています。

その理論や存在や質……その全てを知っていると言っても大げさではないのです。

ならば……それを擬似的に作ればいいのです！

あの日、ダンジョンに迷い込んだサクラさんを地上に送った時のように！

まずは、魔力を、大量の魔力を排出。

魔法の技ではない。必要なのは理法則を曲げさせるほどに圧倒的な魔力量。

丁寧に魔力を大気に浸させていきます。

そして、殘り香のようにダンジョンに殘る私の魔力と同調させていく。

魔力の遠隔作。　私ですら超絶技巧と言わざる得ない難易度。

イメージするのは、シンプルな扉。

扉をくぐると、その先は、私のダンジョン。

サクラさんがいる場所へ。

そして、その扉は現化して、私の前に現れました。

「娘よ！　母は戦場へ行くのですよ！　お留守番は頼みましたよ！」

「お母さん、いってらっしゃい」と手を振る娘を背後に、私は扉に飛び込みました。

カラッとした空気から、水分が含まれたジメジメとした空気へ変化をじる。

そして――――

「その手を離しなさい！」

私は怒鳴り聲はあげました。

「あらあら、いつの間に？あなたは……どなたかしら？」

私の目の前には、サクラさんが倒れています。

そして、サクラさんにさらなる危害を加えんようとしているがいます。

私の聲に反応してか、はサクラさんを捕まえていた手を緩めます。

サクラさんは意識がないのか、ぴくりともかない。

サクラさんの容態が気にならないと言うと噓になりますが、敵から目を背けるわけにはいきません。

と実際に対面する事によって伝わる報。

この階層にしては、不似合な戦闘能力。　確かに……サクラさんよりも強い。

しかし、どこか不安定な存在として認識してします。

注目する所は、全的なステータスに対して多すぎる魔力……くらい？

対面したと同時に、私の分析能力が発して、相手の特徴を丸にしていきます。

やはり、このダンジョンで生まれた魔ではないみたい。

サクラさんの攻撃が當たらなかったのは、本は別にあり、彼は魔力によって浮かび上がっている幻覚みたいものなのでしょう。

なら本は？　さらに彼の魔力を分析して、本の位置を探り……

「あら、見た目よりスケベなのかな？　盜み見ははしたないと教わらなかったの？」

「す、スケベですとおぉっ！　」

流石に、本の場所は教えれないとばかりに彼は前進して、攻撃を開始して、さらには挑発で煽ってきました。

私の心は、激おこ狀態ですよ。ぷんぷんムカチャカファイヤーですよ！

でも――――

「消えちゃった？」との聲が聞こえてきます。

彼にしてみたら、そう見えるのでしょう。

彼は強いです。　でも私から見たら中ボスクラス程度。

ラスボスの私に敵うはずはありません。

私の無造作に放った打撃が、クリーンヒットしました。

私の拳速に音はついて來れず、遅れて巨大な破裂音を起こします。

の幻影は、大気ごと削り取られて消滅しました。

「つ、強い。これ、予想外」との聲だけが殘ります。

「へぇ、幻影が保てなくても言葉を発する事はできるのですか。しだけ関心しましたよ」

やはり、本を叩かないと無意味なのでしょ。の幻影は、破壊した直後に再生を始めてます。

さて、私の戦闘スタイルは、真の正であるドラゴン形態と人間形態では大きく違います。

巨大なと膨大な魔力。それをそのままに、ありのままフィジカルを武に戦うドラゴン形態。

対して人間形態の私の戦闘スタイルは、実に人間的です。

人間が戦うための能力として『スキル』と言われる特殊技があります。

それは人間が生きていく上に獲得する技そのものであって、ステータスなどに表示される目安の１つに過ぎないのですが……

人間には、その上の段階が存在しています。

あるいは生まれながらの才能。

あるいは激しい鍛錬の末ににつけるもの。

あるいは勉學に勵んだ結果、天啓の如きの思い付き。

魔法のように技開発された、ある種の學問的ににつける戦闘とは違い、もっと原始的であり、面から溢れだ戦闘。

まだ多くの人類には、その存在すら知られていない特殊技。

まだまだ、人類のブラックボックス的な位置のそれを『ギフト』と言います。

そう、その通りです。

私が人間形狀の時にメインとして使用する戦闘は、この『ギフト』を主軸としたものなのです！